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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第七章 魔王襲来編
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第二十二話 ニコルっち、遅いよー!

男達がエレナとルチアナとニーナを馬車に乗せようとしたところ、ウェンディとミーリアがその場を目撃した。


丁度出来立てのパンを、スーパーに届けに来たのだ。


「ちょっと、あんた達。三人を何処へ連れて行く気よ!」


「エレナさん、どうしたんですか?」


二人は目の前の状況に、異変を感じた。


「二人共、逃げて! こいつらに、連れて行かれるわ!」


「そんな事言ったって、放っておけない。ミーリア、これ持ってて!」


「ちょっと、ウェンディ!」


ウェンディはミーリアにパンの入ったケースを預け、男達に歩み寄った。



「***** ******* ***** ******* *******」


「ほう、この娘もなかなかだ。それに、向こうの娘は上物だ」


男は品定めをしながら、ウェンディを待ち受けた。


「《水弾!》」


『スッ!』


ウェンディは歩きながら小声で呪文を唱え、不意をついて男に魔法を放った。

しかし、あっさり避けられてしまった。


「危ねーな、このアマ!」


男はウェンディとの間合いを詰め、右腕を振り上げた。



ワン太達を追い掛けると、遠くからスーパーの前に馬車が三台停まっているのが見えた。


「お前達、あの馬車の奴等にやられたのか?」


「「「ワン!」」」


「分かった。お前達は、大人しくしててくれ。シータもな」


「「「「ワン!」」」」


近付くにつれ、人影も見えてきた。


「ウェンディから、魔力を感じる。魔法を使う気か?」


次の瞬間、ウェンディが放った《水弾》は男に避けられ、間合いを詰められた。


「ヤバい!」


僕は言葉と共に、《瞬動》スキルを使った。


『シュバッ!』


『ガシッ!』


そして、男が振り上げた腕を掴んだ。



「誰だ?!」


「ニコルっち!」


「お前は、女の子に手をあげるのか?!」


「何だと!」


『ギュッ!』


「いてー! くそっ、放せ!」


『ブンッ!』


僕が腕を強く握ったせいで、男は痛がった。

しかし、痛がりながらも反対の拳で僕を殴りにきた。


『スカッ!』


『ブオッ!』


『ドサッ!』


「ブホッ!」


僕はその拳をかわし、腕を掴んだまま男を投げ、腹這いで地面に倒し腕の関節を極めた。



「いてー! おい、お前ら。こいつを殺れ!」


「村人にやられるなんて、情けねーな。待ってろ」


そう言って男達は、エレナ姉さん達を馬車に押し込もうとした。


状況を確認すると、男達は足元のこいつを入れて六人いる。

みんなの安全の為、悠長にこいつらの相手をしてる場合じゃなかった。


「《睡眠》」


『『バタン!』』


エレナ姉さん達を捕らえていた男二人が、眠って地面に倒れた。

そして、御者席にいる三人と足元の男も眠ってしまった。


これが、今とれる一番の安全策だった。



「何々、どうしたの?」


エレナ姉さんが、叫んだ。


「魔法で、眠らせたんだよ」


「そっ、そう。助かったわ、ニコル」


「ニコル君、ありがとう」


「ニコルにー、かっこいい」


「ニコルっち、遅いよー!」


「ウェンディ、素直にお礼言いなさいよ」


「ベーだ!」


ミーリアの指摘に、ウェンディは舌を出して拒否した。



「みんな、怪我は無い?」


「私達は大丈夫。でも、スーパーの中でお父さん達が殴られたの!」


「ミーリア、見に行ってくれないか?」


《回復属性魔法》を使えるミーリアに、父さん達を頼んだ。


「うん」


「私も行く!」


「「私も!」」


エレナ姉さん達も心配そうに、スーパーに駆けて行った。


ここに残ったのは、ウェンディと騒ぎを見ていた数人の村人である。



僕は魔法で、男達を捕縛していった。


「こいつら、見覚えがある」


「そうなの?」


「誰だったかな?」


「もー、早く思い出しなさいよ!」


僕が考えていると、騒ぎを聞き付け更に村人が集まって来た。



「ぼく、このおじさんたちしってる!」


「ルーク」


「ぼく、このおじさんたちに《ゆうかい》されて、ニコルにーちゃんにたすけてもらったんだ」


「「「「「「「「「「何だってーーー!」」」」」」」」」」


ルークの言葉に、その場にいたみんなが驚いた。


「ルーク君、本当なの?」


ジーナを抱いて、ルークと駆けつけた母さんが質問した。


「うん。ちゃんと、おぼえてるよ」


「そうなのね。子供の誘拐なんて、許せないわ。プンプン!!!」


母さんは、相当怒ってしまった。



「で、二コルっちは思い出した?!」


「そう言えば、ルークの言う通りだ。こいつら、貴族の手下だ!」


「貴族? 何でそんな大事な事、直ぐ思い出せないのよ!」


「何でって、そんなのしょうがないだろ!」


「ふん。今回は助けられたし、許してあげる。それで、こいつらどうするの?」


「どうしようか? 一つ疑問なんだけど、何でこいつらエシャット村に来たんだ?」


まさか、『ルークを追って』と、いう事はないだろう。


「こいつらは王都からコロネ子爵と、ダンジョン防衛施設の運営に来たそうだ」


「父さん!」


スーパーにいた父さんが、ジーク兄さんやエレナ姉さん達と現れた。



父さんは僕や村人達に、事の経緯を説明してくれた。


そして、僕も王都でのコロネ子爵邸で起こった事を、掻い摘んで説明した。


「僕はその時《変装》してたから、こいつらは気付いてないんだけどね」


「そうなのか。何だか大変な事になったな」


「村の人達を、こいつらの所へ行かせるのは危険だね」


「ああ。特に女と子供はな」


村の人達が、不安な顔になってしまった。



「困った事に、こいつら王国の仕事で来たんだよね」


「逆らったら、不味い事になりそうだ」


「この状況も、充分不味いけどね」


「国ももっとまともな人物を、派遣してくれればいいのにな」


「そうだね」


「ねえ、ニコルっち。また《結界》を張って、こいつらが村に入れなくしようよ」


「それでもいいけど、父さんどうする?」


「うむ。少しみんなで、話し合うか」


こうしてこの場に村人を集め、緊急で話し合いが行われた。

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