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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第七章 魔王襲来編
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第二十一話 召集令

僕はいつもの様に、孤児院で子供達に勉強を教えていた。


「ワン! ワン! ワン! ワン! ワン! ワン!」


すると突然、犬の鳴き声が聞こえた。


「何事だ?!」


僕は異変を感じ、慌てて見に行った。

すると、そこにはゴーレム犬のシータがいた。


「どうした、シータ。何かあったのか?」


「ワン!」


シータは鳴いた後、頷いた。


「そうか。あったんだな」


「ワン!」


「ねえ、ニコルおにーちゃん。どうしたの?」


子供達が、僕を追って集まって来た。


「何か大変な事が、起こった様だ。僕はこれから見に行く。今日の勉強はおしまいだ」


「「「「「「「「「「わかったー!」」」」」」」」」」


「行くぞ、シータ!」


「ワン!」


シータは一鳴きすると、走り出した。


僕は、その後を追った。



シータを追うと、村の入口でワン太とフタバとサンタが倒れていた。


「おい、大丈夫か?!」


「「「ワン!」」」


「お前ら、前足が無いじゃないか!」


切り口を見ると、刃物で切られたような痕だった。


「よし。今、治してやる!」


僕は落ちている前足を拾い、《鑑定》能力で誰のどの足か視ながら、錬金術で修復していった。



「治ったぞ」


「「「ワン!」」」


三匹は、しきりに尻尾を振った。


「いったい、誰にやられたんだ?」


「「「ワン!」」」


ワン太とフタバとサンタは、ついて来いと言わんばかりに走り出した。


僕とシータは彼らの後を追い、再び走った。



コロネ子爵の指示でやって来た男達は、スーパーで働くニコルの姉エレナに目をつけた。


「ねーちゃん。あんた美人だな」


「ありがと。お客さん、見ない顔ね」


「俺達は昨日、王都からフロリダ村に着いたばかりだ」


「へー、王都からなの。凄いわね」


最近ダンジョンができたせいで、エシャット村を訪れる人が増えていた。


「俺達が仕えているコロネ子爵が、ダンジョンの責任者になってよ。その使いで、今日は来た」


「子爵様の使い? 何の用?」


「これを見ろ」


「『召集令』? 何々、『ダンジョン運営の為、貴村から人員を召集する。子爵エドモント・コロネ』ですって」


「ルチアナさん、どう思う」


「なーに。エレナちゃん」


「これ見て」


「・・・・・んー、お義父さんに来て貰った方がいいわね」


「こっちのねーちゃんも、なかなか美人だな。そのお義父さんってのは、村長か?」


「そうよ」


「それじゃ、呼んで来てくれ。コロネ子爵の使者が来たってな」


「分かったわ」


ルチアナは、村長であるジーンを呼びに行った。



ルチアナに呼ばれ、ジーンは男達から話しを聞いた。


しかしその内容は、納得がいくものではなかなかった。


「村長。村の女は、出せねーとぬかすのか?!」


「若い女性限定で住み込み労働なんて言われても、納得いきません。しかも、十五人もだなんて。報酬だって、食事だけなんですよね」


「おい。俺達は国王様が《ダンジョン防衛施設》の責任者に任命した、コロネ子爵の使いで来てるんだ。それでも、逆らうつもりか?」


「いえ。逆らうとかじゃなく、この条件に納得がいかないんです」


ジーンは男達の胡散臭さと一方的な要求に、必死で抵抗した。



「あんた達、勝手な事言ってんじゃないわよ!」


「何だ、ねーちゃん。威勢がいいな。だが、俺は好きだぜ」


「あんたなんかお断りよ! 私は人妻なんだからね!」


「ほう、人妻か。俺は別に構わねーぜ」


「イヤらしい目で、見ないでよ!」


「エレナちゃん、落ち着いて!」


「ルチアナさん」


ルチアナは興奮したエレナの肩を掴み、落ち着かせた。



「この二人は決まりだな。連れて行くぞ!」


「なっ! ちょっと、待ってください!」


「うるせー!」


『バキッ!』


「うぐっ!」


『ガシャーン!』


「「お父さん(お義父さん)!」」


止めに入ったジーンは男に殴られ、商品棚に衝突し意識を失った。



「おい、行くぞ!」


「「おう!」」


ジーンを殴った男に促され、仲間達はエレナとルチアナの腕を掴んだ。


「放しなさいよ!」


「イヤ、止めて!」


『『タッ、タッ、タッ、タッ!』』


「「お前ら、俺の嫁から手を放せ!!」」


そこに二人の夫ジークとハンスが現れ、男達の手を振り払った。


ここで働くロッシとニーナが不穏な空気を感じ、二人を連れて来たのだ。



「チッ、女達の旦那か。こいつらもやるぞ!」


「「おう!」」


『バキッ!』


「うがっ!」


『ガシャーン!』


「ジーク!」


『バキッ!』


「うげっ!」


『ガシャーン!』


「ハンス!」


二人は、あっさりとやられてしまった。



「そこの娘も、若いがなかなかだな。一人追加だ」


そう言って男達は、ニーナも含めた三人を連れ出そうとした。


「お前ら、三人に手を出すな!」


そこに、ロッシが立ちはだかった。


「お前も、痛い目見るだけだぞ!」


「うるさい! お前らの好き勝手に、させない!」


「ほう、粋がるねー」


『バキッ!』


「うっ!」


『ガシャーン!』


「ほら、言わんこっちゃねー」


「おにーちゃん!」


「「ロッシ(ロッシ君)!」」


そして、ロッシもあっさりとやられてしまった。



「あんた達、何て酷い事するのよ!」


「「「「「そうよ、そうよー!」」」」」


今度はこの惨状を見ていたスーパーの客達が、文句を言い放った。


「うるせー。ババアは、黙ってろ!」


「「「「「「ヒィーーー!」」」」」」


だが、男から放たれた《威圧》に、悲鳴をあげ尻込みしてしまった。


結局、エレナとルチアナとニーナは、スーパーから連れ出される事になった。

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