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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第七章 魔王襲来編
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第十九話 ダンジョン防衛施設、運営の一行

魔王襲来から三ヶ月が過ぎ、王都からフロリダ村に《ダンジョン防衛施設》を運営する一行が訪れようとしていた。


「長い旅が終わるのはいいが、随分と僻地だな」


「そうですね。旦那様」


「これも全部、《黒髪》のせいだ」


その《施設長》としてやって来たのは、ニコルと因縁のある《コロネ子爵》だった。


子供の誘拐が原因で、ニコルが屋敷に《結界》を《付与》し、閉じ込めた人物である。



《魔王襲来》を前にして、ある人物の助言で《地中》を確認したところ、深さ一メートルで《結界》が途切れている事が判明した。

その後地下室のある外壁に穴を開け、無事出られたという訳だ。


しかし、《一年》近く屋敷に籠っていたせいで、王城での要職を失ってしまった。

そこで、《裏稼業》で繋がりのある《宰相》に泣き付き、この職を掴み取ったのだ。


ただその見返りも、ちゃんと要求されている。

ダンジョンの《利益の一割》を、宰相に《上納》する契約になっていた。


コロネ子爵は王国の兵士や職員の他に、筆頭執事と裏稼業の手駒を同行させた。


そして一ヶ月掛けて、ようやく目的地のフロリダ村に到着したのである。



「こんな僻地だからどうかと思ったが、開拓は進んでおるではないか」


「リートガルド伯爵家も、なかなか侮れませんな」


「この村の代表は、リートガルド伯爵家のイアン殿だった筈。挨拶をせねばな」


「そうですね」


コロネ子爵と筆頭執事は同行者達を待機させ、村の代表であるリートガルドのところへ向かった。



二人は役場の応接室に通され、紅茶を飲んでいた。


高級なテーブルとソファーでは無く、質素な木のテーブルと椅子だった。

開拓中である為、そこまで手が回らないのである。


「よく、参られた。コロネ子爵」


「世話になる、イアン殿。それにしても、王都から随分離れてるのだな」


彼らは貴族同士という事もあり、王都で何度か会っていた。

しかしリートガルドは、コロネ子爵にいい印象を持っていなかった。


「このような田舎に来られたという事は、ダンジョン防衛施設の施設長になられたのですか?」


「その通り。これが、その《任命書》だ。早速今日から、ダンジョンは私の管轄下になる」


リートガルドは、その書状に目を通した。



「確かに。コロネ子爵、ダンジョンの防衛と管理を頼みます」


「任せてくれ。ついては、これまでの状況を教えていただきたい」


「そうですな。現在我が領の兵士で地下五階層まで探索が進んでおり、生態系はプラーク街のダンジョンに似ていますな」


「プラーク街と言うと、食材をドロップするダンジョンですかな?」


「その通りです」


「食うには困らないが、《財源的魅力》としては、なんとも言えませんな」


「同感です」


「生肉のように日持ちしない物は、遠方への輸送は難しいし、近隣で捌くしかない」


「《氷属性魔法》や《冷凍魔道具》で凍らせば日持ちするが、なかなか人材も物も揃わない」


「その辺の対応は、急務ですな」


この後も暫く話しは続き、夕方には一行の歓迎会が催された。



王都からの一行は、その日ダンジョン付近にテントを張った。


コロネ子爵のテントは他と比べ広くて豪華で、ベッドも備わっていた。

そんな場所で、明日から始まるダンジョン運営に纏わる会議が行われていた。


「イアン殿は、甘い。今の条件でやっていては、利益など微々たるものだ。明日からは入場料を《一万マネー》にし、ドロップ品は全て《半額》で買い取れ!」


「そっ、そんな事をすれば、ダンジョン探索者から苦情が出ます」


「そうです。人が集まらない事には、いずれ廃れてしまいます」


「それなら利益が充分上がるよう、ダンジョン探索者を集めてこい。そうすれば、設定条件も考えてやる!」


「そっ、それはまだ、村の整備が」


「これだけ整っていれば、充分だろう」


「それは・・・・・」


「兎に角だ。今は目標利益を上げる為、先程言った条件を実行しろ。向こうの兵士達からも、入場料を徴収するんだ!」


「わっ、分かりました」



「それと施設を建てる前に、私の住居が欲しい」


施設の建築は、《土属性魔法》の《建築魔法》を得意とする魔法師が同行していた。


「国の方からはスタンピードを警戒し、安全面を優先させろと言われました」


「ここの責任者は、私だ。ここでは、私に従って貰う」


「わっ、分かりました」


「お前達は、もういい。明日から、頼んだぞ!」


「「「「「はい」」」」」


施設職員達は渋々ながら了承し、テントを出た。



「エドモントよ」


エドモントとは、筆頭執事の名前である。


「はい。旦那様」


「来る途中、村があったな」


「はい。ございました」


「我々の飯炊きと雑用をする人夫を、連れて来るのだ」


「対価は、どう致しましょう?」


「我々の食事の余り物を、くれてやればよい」


「それでは、人は集まりません」


「お前も甘いな。奴等を使え。力で従わせるんだ。それと夜の相手をする娘も、忘れぬよう伝えておけ」


「はっ、はい。旦那様」


フロリダ村に厄介な貴族が現れ、その魔の手はエシャット村にも伸びようとしていた。

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