第十七話 ダンジョン周辺の開拓協力
《作者の独り言》
米の国の選挙の真実。
期待していた三月が過ぎても、明かされなかった。
このまま、何も無いのだろうか?
ネットを見ていると、《黒を白に変える超強大な力》が働いてると感じた。
そして、テレビは不都合な事は報道せず、国内外の様々な圧力が掛かった《偏向報道》をしているように感じた。
本当に、何が《真実》なのだろうか?
山の麓を奥へ行くと、石を積み上げ家を建てている集団がいた。
そしてその中に、ハッサンさんを見付けた。
「シャルロッテ。自由にしてていいぞ」
『分かりました。終わったら、呼んでください』
シャルロッテはそう言って、どこかへ走っていった。
僕はその様子を見届け、ハッサンさんの所へ向かった。
「こんにちわ」
「おー、ニコル。早速、応援に来てくれたか?」
「はい」
「もしかして、一人か?」
ここでも、言われてしまった。
「そうですけど、十人分は働きますよ」
「頼もしいな」
ハッサンさんは、信用してないようだ。
「今、どのような状況ですか?」
「そうだな。井戸と便所と炊事場が、何とかできたところだ。今は、仮設住居と道路を作ってる」
「取り急ぎ、仮設住居を建てればいいですか?」
「そういう事だ」
「仮設なら、屋根があってある程度丈夫ならいいんですよね」
「ああ。雨風が凌げればいい。テントじゃ、落ち着かないからな」
ダンジョンの入口前には、テントが幾つも張ってあった。
「それじゃ、あの段差になってる場所に、建てていいですか?」
「別に構わないが、一人じゃ何もできんだろ」
「さっき言ったじゃないですか。十人分働くって」
「そうか。それじゃ、その十人分とやらを見せて貰おう」
「どうぞ見物して下さい」
付き合いが長くなればその内バレるだろうし、少し能力を見せる作戦に出た。
そして、早く終わらせる事にした。
◇
僕とハッサンさんは、背丈程段差のある小さな崖まで歩いた。
「この辺りで、いいな」
僕は土を切り崩して、錬金術で家を建てるつもりだ。
「ニコル。何をしようとしてるんだ?」
「まあ、見てて下さい」
僕は壁面に手を当て、錬金術を発動した。
「うわ! 何だ、この光りは?」
ハッサンさんは、突然の輝きに驚いた。
そして、光りが収まると、そこには《土壁の小屋》が建っていた。
それは六畳程の部屋が二つ並び、それぞれに玄関がついていた。
「こんな感じかな。後は木の板で、扉と窓をつければいいな」
「ニッ、ニコル。これは、《土属性魔法》の《建築魔法》なのか?」
「いえ。土を材料に作った錬金術です。勿論水に濡れても大丈夫ですし、強度もありますよ」
「錬金術か。どれ」
『コン! コン!』
「本当だ。堅い。それにこの広さなら、寝袋で五・六人寝れるな。それが、二部屋か」
「こんな物で、いいですか?」
「ああ、いいとも。みくびってすまない」
「いえ、いいんです。ですが《魔力の関係》で、この大きさだったら《一日三棟》までですね」
「充分だ。十人分の働きどころじゃないな」
本当はもっと立派なものを幾らでも建てられるのだが、そこまで能力を晒したくないのだ。
◇
「おい、すげえな。あっという間に、家を建てやがった」
「俺ら、もういらねーな」
「ダンジョンに行こうぜ」
「《石切り》に行ってる連中に、知らせてやれよ」
仮設住居を建てていた兵士が集まり、騒ぎ出した。
「おいおい。浮かれるのも分かるが、他にやる事あるだろ!」
「だけどよ、道具がねえだろ。石切も木の伐採も道路整備も、魔法に頼るしかねーじゃねーか」
「「「「「そうだ、そうだー!」」」」」
「それもそうなんだが・・・・・」
ハッサンさんは考え込み、こちらを見た。
「ニコル。村から斧やノコギリやスコップ等の道具を、借りられないだろうか?」
「そうですね。多分、大丈夫です。父さんに確認しておきます」
「頼む」
《亜空間収納》に売る程あったが、そこは敢えて言わなかった。
「それじゃ俺達、ダンジョンに行ってもいいよな?!」
「「「「「いいよな?!」」」」」
「うっ、うむ。そうだな。だが誰か、石切の連中に教えてやれ!」
「何言ってんだ。その内、石を運んで来るだろ。そん時、教えてやれよ!」
「全く、お前らは。分かった。私から伝える」
「ヒャッホウ、行くぞー!」
「「「「「おうー!」」」」」
兵士達は、嬉しそうに去って行った。
「すまんな。ニコル」
「いえ、いいですよ。続き、やっちゃいますね」
僕は早速残り二軒の小屋を建て、木材で扉と窓を取り付けた。
◇
「ハッサンさん。終わりましたよ」
「随分早いな」
「ええ、まあ。それで、今日は魔力が切れたんで帰るんですけど、明日からは昼食後でいいですか?」
この条件であれば、午前中孤児の面倒を見る事ができる。
「そうだな。これだけ早く終わるなら、構わんぞ」
「はい。あと約束の件なんですけど、村のダンジョン探索者を連れて来てもいいんですよね?」
「うむ。約束だからな」
「ありがとうございます。それじゃ、また明日来ます」
「ああ、よろしくな」
僕はこうして、一日三軒のペースで小屋を建てていった。




