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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第七章 魔王襲来編
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第十四話 惑星間転移

僕は《日本》のある場所を、《転移先》に思い浮かべた。


「うん。やっぱり、日本に《転移》できそうだ」


以前、この世界の事を、《検索ツール》で調べた事がある。

その時この惑星が、《天の川銀河》にある事を知った。


つまり、地球と同じ《銀河系》にあるという事だ。


僕は五歳の時、《空間属性魔法》をレベル10にした事により、転移可能距離が《無限》になっていた。

それはつまり、行った事のある場所であれば、惑星間の《転移》も可能という事だ。


そしてある日、『もしかして、《前世の記憶》があれば、地球に行けるんじゃないか?』なんて事を閃き、試しに《転移先》に前世の実家を思い浮かべた。


すると、感覚的に《転移可能》という事が分かった。

だがその時は、実行しなかった。


帰って来れるか心配だったし、何が起こるか分からなかったからだ。



「日本だと! ニコルお前、何で俺達の世界に行けるんだよ!」


「《元日本人の転生者》だからかな?」


「嘘だろ! それっ、初耳だぞ!」


「ごめん。素性は、隠しておきたかったんだ」


「フン、しょうがねえ。ところで、本当に日本に行けるのか?」


「試した事は無いけど、感覚的に『行ける』って分かるよ」


「でもよ。こことは違う、異世界に《転移》するんだぞ」


勇也さんは、ここが地球と同じ宇宙だと知らなかった。



「実は地球とこの星は、同じ《天の川銀河》にあるんだ」


「マジか?! そう言えば、ニコルの《転移》って、距離が無限だったよな?」


「うん。あと必要なのは、実行する《勇気》なんだよね」


「失敗する可能性も、あるって事か?」


「『やってみないと分からない』と、いうところかな。でも、多分大丈夫」


「それなら、早速俺達を日本に連れて行ってくれ!」


「お願いします!」


「悪いけど、最初は僕一人で行くよ。やっぱり、何かあったら大変だから」


「そういう事なら、ニコルが戻るまで待つ」


「成功を祈って、待ってるよ」


「うん。それじゃ皆さん。争わずに、待ってて下さい」


「妾が、見張ってるのじゃ!」


「よろしくお願いします」


ゼルリル様にこの場を任せ、僕は地球へ《転移》した。



いつもは一瞬で着くのだが、今回の《転移》は違った。


暗闇の中一点の小さな光りに向かって、飛ぶような感覚で移動した。

恐らく、百秒は過ぎている。


『シュタッ!』


「成功したのか?!」


《転移》に指定した場所は、自宅近くの公園である。

確認の為、回りを見渡した。


「確かにここは、地元の公園だ」


この景色を見るのは、十八・九年振りである。


「懐かしいなー。一応、日付けだけ確認しておくか」



《検索ツール》で調べてみると、西暦二千三十八年◯月◯日だった。


僕が死んで異世界転生してから、同じ位の年月が過ぎていた。


「本当に、僕が住んでいた街なんだろうな? 平行世界とかじゃないよな?」


初めての事で、不安な気持ちが過った。


「よし! 街を見て回ろう」


不安な気持ちを払拭する為、自分の目と感覚で確かめる事にした。



真っ先に向かったのは、《実家》だった。


「両親は、健在だろうか?」


妹と弟もいるが、それぞれ家庭を持っていていい齢である。


「会いたいけど、僕はこの世界で《死んだ人間》なんだよな」


どうやって会っていいか分からず、家を確認するだけにとどめた。


その後も街を見て歩いたが、街並みにそれ程変化は無かった。


「もう、僕が住んでた街って言い切って、いいんじゃないか?」


僕は散策を止め、現代の情報を仕入れる為書店を探した。


「書店なら、あそこだな」


そして、大型スーパー内の書店に向かった。



「ねえ、ねえ、ちょっと見て。あの外国人、変わった格好してるけど、超イケメン!」


「うわっ、本当だ。ハリウッドスターも真っ青。写真撮りたいね!」


「逆ナンしちゃう? ねえ、しようよ!」


女の子達の声が聞こえ、僕の事を噂してると分かった。


『やばい。僕は今、イケメン外国人だった。地元に帰って来て、すっかり日本人の感覚になってた』と、内心焦っていた。


「騒がれる前に、用事を済ませて帰ろう」


僕は週刊誌や漫画雑誌を、手に取って開いた。

しかし、そこに載っていたのは、知らない芸能人や漫画ばかりだった。


「十八年も経ってれば、そうだよな」


たいした情報も得られず、騒ぎが起こる前に書店を出る事にした。



ふと視線を出口に向けると、僕を見つめる人だかりが増えていた。


「「「「「「「「「「キャー!」」」」」」」」」」


「王子様が、こっち見てるー!」


「どうしよう。どうしよう!」


「誰か、声掛けなさいよー!」


店を出ようとしたが、女の子達が出入口を塞いでいた。



「うわっ、どうする。突っ切るしかないのか?」


覚悟を決め出入口へ向かって歩くと、《モーゼの樹海》のように人垣が割れた。


「フー!」


何事も無く書店を出たが、彼女達は僕をつけて来た。

知らん振りしてそのままスーパーを出ると、僕は突然走り出した。


「「「「「「「「「「キャー、逃げたー!」」」」」」」」」」


僕は落ちていた《コーヒーの空き缶》を拾い、人目のつかない場所で《転移》した。

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