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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第七章 魔王襲来編
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第十二話 ダンジョン発見の報せ

エシャット村の住民は、兵士達の食料を確保する為、忙しくしていた。


村の蓄えはスーパーの魔法袋に充分あり、僕の《亜空間収納》にも大量にあるが、この状況が続けばいづれ尽きてしまう。


それを回避する為、野菜の収穫量を増やしつつ、畑を広げる計画が持ち上がった。

それに伴い、魔道具の《乗用荷車》や《乗用耕運機》を隠すのを諦めた。


「よし、こんなものかな」


僕も孤児院を見る傍ら、開拓地の石ころを除去したり土の改良を手伝っている。



また、パン工房もフル稼働していた。


従業員の子供達も成長し、以前より手が掛からなくなったので、ウェンディも厨房に立たされていた。


「もー、何でこんなに忙しいのよ!」


「一緒に、頑張ろう」


そして、ミーリアも手伝いに駆り出された。


この忙しい状況が終わるまで、ケーキとクッキーの製造が、中止に追い遣られてしまった。



そんな中小麦の乾燥が終わりに近付き、脱穀や納税用の小麦俵作りが、数日後行われようとしていた。


そんな時リートガルド様が現れ、父さんはある話しを持ち掛けられた。


「ジーン村長。ダンジョンを、発見したぞ」


「ダッ、ダンジョンですか?!」


「安心しろ。魔王はダンジョンを去り、安全は確保された」


「まっ、魔王まで!」


「その先触れも、今朝父に出したところだ。でないと、《魔王討伐》に王国中から兵士が集まって来るからな」


「王国中からですか?!」


リートガルド様の発言に、父さんはいちいち驚いていた。


という僕も、先日ダンジョンの様子を見に行った時、発見されていた事に驚いたのである。




「それで、そのダンジョンなんだがな」


「はい」


「プラーク街のダンジョンのように、魔物が食料をドロップする事が分かった」


「おおー!」


「これなら、村の負担を減らせそうだ」


「それは、助かります!」


その報せに、父さんは安堵した。



「それにしてもこの村は、色々と目を見張る物が多いな。関心する」


「ありがとうございます」


「家屋や道作りに長けているし、それに規模は小さいがこの店の商品は優れた物が多い」


「はぁ」


「魔道具も、ふんだんにある」


「はぁ」


「その理由が、知りたいものだな」


「えー、それは・・・・・」


父さんは、言うか言わないか迷っていた。



「まあ良い。その内聞くとしよう。それで明日なんだが、私はダンジョンに五十人を残し一旦領都に帰る」


「明日ですか?」


「私は街作りの計画を立て、職人や移住者を募って再び戻って来る」


「そういう事ですか」


「そこで、ジーン村長!」


「はい!」


「すまないが、《人頭税》の納税に行くのを、待って貰えないだろうか?」


「何故です?」


「移住者の食料に、納税分の小麦を充てたいんだ」


「わっ、私は構いませんが、領主様の了承をいただきませんと」


「それは、私が交渉しよう」


「それでは、《納税証明》もしていただけると、ありがたいのですが」


「任せろ。その辺の手続きは、私の方でしよう」


「ありがとうございます」


「今日、食料を受け取ったら、明日朝早く領都へ出発する。世話になった」


「いえいえ。お戻りになるのを、お待ちしてます」



翌日、リートガルド様達は、五十人を残し領都に帰って行った。


その後、村では小麦の脱穀と俵作りが行われ、負担が減った事で今年も《収穫祭》が行われた。


「からあげ、おいしーね!」


「うまうまー!」


「ほんに、どの肉料理も美味しいのー!」


孤児院の子供達やリンゼさんは、いつも以上の料理に喜んでいた。



収穫祭の翌日、肉料理とケーキを持参して、サムゼル様の所へお礼に伺った。


ちなみにケーキの新作はレアチーズで、苺ショート・モンブラン・フルーツショートも、たくさん持ってきている。


「こんにちは」


「おお、来たか」


「ニコルなのじゃ」


「肉料理とケーキを、持ってきました」


「おお、そうか!」


「待っておったのじゃ。ニコルのケーキは美味しいと、パパ上から聞いていたのじゃ!」


「ニコル、肉料理は後でよい。新作ケーキを食わせろ!」


「サムゼル様は、ケーキがお好きですね」


僕はインスタントコーヒーを淹れ、一つは牛乳を半分注いだ。



「サムゼル様は、新作のレアチーズケーキとインスタントコーヒーです」


「おおー!」


「ゼルリル様は、苺のショートケーキとカフェオレです」


「オオー!」


「どうぞ、召し上がってください」


「「いただこう(いただくのじゃ)」」


『『パクッ!』』


「美味い!」


「美味しいのじゃ! ニコルは、名パティシエじゃ!」


「いえいえ。錬金術じゃないと、ここまで美味しく作れませんので」


「どちらにしろ、凄いのじゃ。ジジ上にも、食べさせたいのじゃ!」


「ゼルリルは、お爺ちゃんっ子だからな。父もあれで、甘味が好きだ」


「ジジ上は、どうしておるのじゃ?」


「そう言えば、一度も足を運んで無かったな」


「僕も、一度お会いした切りです」


「ニコルは、会ったのかえ?」


「はい」


「それなら《転移魔法》で、妾を連れて行くのじゃ!」


「えっ!」


「我も行くぞ!」


約束をしておいて、僕は一度も足を運んでいなかった。

その事に、後ろめたさを感じた。



「良い機会だし、行きますか?」


ケーキはまだまだあるので、お土産に持って行く事にした。


「行こう(行くのじゃ)!」


二人がケーキを食べ終わるのを待って、カイゼル様がいる《アルシオン王国ユンベルグ辺境伯領》の《オーエン街》のダンジョンに《転移》した。

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