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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第七章 魔王襲来編
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第十一話 ゼルリルと先遣隊

魔王サムゼルと魔王ゼルリルは、百年振りに再開し人間界を楽しんでいた。


今はダンジョンの更に下層にある、サムゼルの屋敷で寛いでいる。


「パパ上とこんな長閑に過ごすのは、久し振りなのじゃ」


「我が魔王になってから、忙しかったからな」


「妾も魔王になって、忙しかったのじゃ」


「魔界とのしがらみも無く、のびのびできるな」


「本当なのじゃ」


「「アーハッハッハッハッ!」」


二人の魔王は、高らかに声を上げて笑った。



「パパ上。一つ、頼みがあるのじゃ」


「何でも言ってみろ」


「妾が造ったダンジョンのコアに、ここのダンジョンコアの魔素を供給して欲しいのじゃ。このままでは、折角作ったのに数年で死んでしまう」


「うーむ。ゼルリルの頼みでは、しょうがないな」


『パチンッ!』


魔王サムゼルは、指を鳴らした。



「これで、コア同士が繋がったぞ」


「ありがとうなのじゃ」


「しかし、ニコルに文句を言われそうだな」


「なぬ? そうなのかえ。ダンジョンがあれば、この街のように発展すると思ったのじゃが」


「人間も魔族と同じで、利権が絡むと力の強い者がそれを奪う」


「あやつは、強いのじゃ」


「ニコルは、己の利権の為に力を振るわんだろう。力を行使するには、それ以外の理由がいる」


「それは、何なのじゃ?」


「弱い立場の者を、守る時だな」


「ふむ。それは、感心なのじゃ」


二人の魔王の間でこんな会話がされ、新しいダンジョンには魔素が供給された。



リートガルド率いる先遣隊は現地に到着してから、三日目を迎えていた。


「リートガルド隊長。あちらの小山から、僅かですが魔物の気配を感じます」


そう語るのは、探知系スキルの持ち主である。


「それは確かか? 魔王ではないのか?」


「魔王に会った事が無いので言い切れませんが、通常の魔物と同じ感覚です!」


「分かった。近くにいる者は、あの山を探れ!」


「「「「「「「「「「ハッ!」」」」」」」」」」


リートガルドは兵士を集め、小山を調べさせた。



「リートガルド隊長。この奥に、空洞があります」


「何っ! 本当か?」


「はい。一メートル先は、空洞になってます」


「何者かが、入口を塞いだというのか?」


「私の《土属性魔法》で、穴を開けましょう」


「よしっ、頼む!」


「***** ******* ***** ******* ******* 隧道(ずいどう)!」


『ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・!』


魔法により、小山には人が通れる程の穴が開いた。



「リートガルド隊長。穴が開きました!」


「よしっ。中を調べるぞ!」


リートガルドはそう言うと、魔道具に灯りをつけ、自ら入っていった。


「どうやら、奥は本当に空洞だったようだ」


「そうですね」


「このまま、奥へ進むぞ!」


「「「「「「「「「「ハッ!」」」」」」」」」」


こうしてリートガルド達によって、呆気なくダンジョンが発見されてしまった。



「ダンジョンコアに、そろそろ魔素が溜まるのじゃ。パパ上、ダンジョンを改良しに、行ってくるのじゃ」


「父も、ついて行こうか?」


「妾はもう、子供じゃないのじゃ!」


ゼルリルはそう言った後、頬を膨らませた。

その顔は、子供そのものだった。


そして、そのまま《転移》した。



「パパ上が言うには、ニコルの村は食料を欲しているのじゃ。妾のダンジョンも、食料をドロップさせるのじゃ」


ゼルリルはそう呟き、ダンジョンコアに手を翳した。


「《リメイク ダンジョン》」


『ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・!』


ゼルリルはダンジョンにいる魔物を一旦コアに吸収し、生態系を変える作業に入った。

そして、五層あるフロアの拡張を同時に行った。


その作業は、三十分に及んだ。


「できたのじゃ。これでニコルも、少しは喜ぶじゃろうて。どれ、一応確認に行くのじゃ」


ゼルリルは、地下一階へ《転移》した。



「振動は、治まったようだな」


「そのようですね」


「魔物が全て、消えてしまいましたね」


「いったい、何が起こってるんだ?」


『シュタッ!』


そこへ、一人の美少女が現れた。



「「「「「「「「「「うわっ!」」」」」」」」」」


「何じゃ、人間がおったか」


「リッ、リートガルド隊長。あの少女、とてつもない魔力の持ち主です!」


「わっ、私も感じている!」


ゼルリルは魔王だけに、大量の魔力を内包していた。


「今のは、《転移魔法》じゃありませんか?」


「そのようだ。《勇者》や《賢者》と呼ばれる、特別な者にしか使えない特殊魔法」


「私はその中に、《魔王》も含まれると聞き及んでます」


「まさかこの少女が、魔王だと言うのか? しかし先程から、震えが止まらん」


「私もです」


魔力探知に優れる者程、その脅威に震えていた。



「ごちゃごちゃと、煩いのじゃ! 妾はお主達が言う通り、《魔王》じゃ!」


「「「「「「「「「「ひぃっ!」」」」」」」」」」


「何じゃ、ビビリじゃのう。何もせぬわ!」


「ほっ、本当か?」


「本当じゃ。このダンジョンの管理はお主達人間に任せるゆえ、有効に使うが良い」


「魔王。お前は、何処へ行く?」


「妾は、自由気侭な旅に出る。飽きたら、魔界に帰るがな」


『スッ!』


そう言い残し、魔王は消えていった。


「消えた?」


「命拾いしたー!」


「夢じゃありませんよね?」


「あんな容姿で、魔王だとは!」


リートガルド達は緊張のあまり一度休憩し、落ち着きを取り戻した後先へ進んだ。



暫くすると、生態系の変わった魔物が姿を現し始めた。


「これが、魔物なのか?」


「野菜ですね」


「もしや、プラーク街のダンジョンと、同じ類いかもしれませんね」


「だとすれば、食料の心配は軽減するな」


リートガルド達は数日間ダンジョンを探索したものの、魔王は現れなかった。

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