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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第七章 魔王襲来編
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第六話 強力な伝手

美少女の容姿をした魔王の信頼を得る為、先代魔王の力を借りる事にした。


「サッ、サムゼル様、お邪魔します!」


「久しいな。ニコル」


「僕と一緒に、直ぐに来てくれませんか?」


「珍しく慌てておるな。何事だ?」


「サムゼル様の次代の魔王様が、僕の村近くに来たんですよ!」


「ニコルの村へか。何という偶然。笑えるぞ!」


「笑い事じゃないです。ハッキリ言って、迷惑です!」


「ぬっ! それを面と向かって、我に言うか?!」


「すみません。でも、ダンジョンができてしまうと、《のんびり生活》ができなくなるんです」


「かつてこの土地も、領主や国が押し掛けて来たからな」


「だからその前に、魔素の塊を僕に回収させて貰えるよう、一緒に説得して下さい!」


「ニコルがあれを、所有するのか?」


「そうです」


「うーむ」


「サムゼル様?」


「ニコルの事は、信用してるのだが・・・」


この時、断られそうな気がした。



「今度、新作のケーキを持って来ますから」


「何っ、新作か?!」


「新作です」


「それでは、行くとするか!」


サムゼル様は、意外とチョロかった。


「ありがとうございます」


早速サムゼル様を伴い、(見た目)美少女魔王の元へ《転移》した。



『『シュタッ!』』


僕とサムゼル様は、《結界》の中に着地した。


「ゼルリル、元気にしてたか?」


「パパ上っ!」


「《ダンジョンコア》作りに、手こずってるようだな?」


「流石に妾でも、これだけの魔素を媒体にするのは、骨が折れるのじゃ!」


「それなら、ここにいるニコルに託すと良い」


「パパ上は、この人間と知り合いなのか?」


「そうだ。今となっては、《友》と言っても良い。ここにこうして来たのが、その証拠」


「パパ上の友達」


「ニコルは、信用できる人間だ。その魔素の塊を託しても、悪用などせん。ゼルリルも、この場所に縛られなくて済むぞ」


「それは、ありがたいのじゃ」


「託してみるか?」


「うむ」


そう言うと、(見た目)美少女魔王ゼルリル様は、僕に視線を向けた。



「ニコルとやらよ」


「はい」


「お主にこれを託したとして、悪用は決してしないな?!」


「はい。お約束します」


『ジーーーーー!』


ゼルリル様は、《魔眼》で僕を視ているようだ。


「分かったのじゃ。二人の言う事を、信じるのじゃ!」


「おお、そうか」


「ありがとうございます」


「持って行くが良い!」


「はい!」



魔素の漂うこの空間に、何故か魔物はいなかった。


『これも、魔王の力によるものだろうか?』


そんな事を考えながら、口に《酸素吸入》の魔道具を咥えた。

そして、《結界》を出て魔素の塊に近付いた。


『《亜空間収納》』


右手の掌を魔素の塊に向け念じると、魔方陣が現れた。


『《収納》』


続けて念じると、魔素の塊は大きさを無視して、魔方陣に吸い込まれていった。



「お主、何とも無いのかえ?」


声を発する事ができないので、頷いた。


「魔素の影響で、喋れぬのじゃな。それなら、こうするのじゃ!」


ゼルリル様が、右手の掌を胸の前で上向きに広げた。


すると、掌の上で竜巻が発生し、次第に掌に漆黒の球体が形作られた。

大穴中の魔素を、集めているようだ。


竜巻が止むと、掌には直径三十センチ程の漆黒の球体ができ上がった。


「ついでじゃから、コアにしてしまうのじゃ。《クリエイト ダンジョンコア》!」


数十秒後、漆黒の球体が虹色の球体に変わった。


「お次は、これじゃ。《クリエイト ダンジョン》!」


ゼルリル様は間髪入れず、ダンジョンコアを媒介にしてダンジョンを造り始めてしまった。


『ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・』


周辺の地形が次第に変わり、地響きが起こった。



ダンジョン造りは、三十分程で完了した。


「どうじゃ。これで人間にも、呼吸ができるのじゃ!」


僕はそれを聞いて、《酸素吸入》の魔道具を口から外した。

その時、《危機感知》スキルは働かなかった。


『スー!』


そして、息を吸ってみた。


「大丈夫ですね」


「そうじゃろう。ここはもう、《ダンジョンコアルーム》になったのじゃ。空気もしっかり、コントロールされておる」


虹色のダンジョンコアは台座に飾られ、回りには《結界》が張られていた。



「頭上は、ダンジョンなんですね?」


「ダンジョンコアの魔素保有量が少ないから、地下五階の小規模ダンジョンにしたのじゃ。魔物を狩り続ければ、長くは持つまい」


「そうですか」


「何じゃお主。困った顔をして?」


ダンジョンが、災いの火種になりそうな気がした。


「いえ。何でもありません」


ゼルリル様は、良かれと思って造ったに違いない。

それに対して、僕は何も言えなかった。


「そうか。ならば、妾は気にせぬぞ」


「はい」


「このダンジョンは、妾がいなくとも心配無い。既に安定しておる。ニコルのお陰で、妾は自由の身じゃ。んーーー!」


ゼルリル様は、両腕を上げ背伸びをした。



「ゼルリルよ。父の所へ来ぬか?」


「パパ上の所へか? それもいいのじゃ!」


「ニコルは、どうする?」


「暫くは、地上の後始末をしないと」


「そうか。落ち着いたら、来ると良い。《土産》を忘れずにな」


「分かりました」


僕が返事をすると、二人の魔王は消えていった。


「何も起こらないと、いいんだけどなー」


不安に思いながら、魔物の死骸を回収しに地上へ《転移》した。

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