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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第七章 魔王襲来編
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第二話 魔王襲来の注意喚起

引っ越し二日目、孤児院へ行くと子供達が遊んでいた。


そこには、《先住》村の子供達も混ざっていた。

僕の家に来ないと思ったら、やっぱりここにいた。


「みんな、お早う」


「「「「「「「「「「おはよう!」」」」」」」」」」


子供達は、朝から元気である。

昨日に引き続き、かくれんぼや鬼ごっこ、そしてボール遊びをしている。


「ふむ。大勢いるし、遊具でも作るか」


小さい子向けに、前世の公園に設置されている遊具が頭に浮かんだ。


庭の端で錬金術を駆使しジャングルジム・滑り台・ブランコ・シーソーを作っていると、子供達が集まって来た。


「これ、なーにー?」


「遊ぶ為の物だよ」


「どうやってー?」


「こうするんだ」


僕は一つ一つ、遊び方を教えてやった。


「「「「「「「「「「わー!」」」」」」」」」」


すると、幼児達が次々と遊具に群がった。

一方年長組は、幼児の為に遠慮していた。


「順番に遊ぶんだぞ。怪我するなよ」


「「「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」」」



続け様年長組にも、ミニサッカー用のゴールポストとボールを作ってやった。


「二コルにーちゃん。これ、何だ?」


それを見ていた《先住》村の子供が、聞いてきた。


「これはな二つのグループに分かれて、ボールを足で蹴って相手のこのゴールに入れるゲームだ」


僕はゴールポストを叩きながら、説明した。


「面白そうだな。教えてくれよ!」


「おう、いいぞ」


すると、集まって来た年長の子達にルールを説明し、一緒に遊ぶ事になった。


今日は遊びを教えたが、その内勉強も教えるつもりだ。



昼には僕が用意したコッペパンに、ピーナッツバターやオレンジジャムを塗って食べた。


一日三食にするには、ココ達の負担が大きい。

今は簡単な物を、僕が振る舞うだけに留めている。


昼食後は、孤児院の裏に作った大きな畑を見て回った。

まだ種を蒔いたばかりで、芽がやっと出始めたところだ。


その内、子供達に管理させようと思っている。



「ワン! ワン! ワン! ワン!」


「ワン太、どうした?」


魔法で畑に水を撒いていると、ワン太が吠えながらやって来た。


「ワン!」


一鳴きすると、後ろを振り向いた。


すると、フタバとサンタが馬を先導し現れた。

その馬には、兵士らしき人が乗っている。


そのまま、僕の方へ近付いて来た。


「「ワン!」」


フタバとサンタが吠えて、尻尾を振っている。


『お客さんを、連れて来たよー』とでも、言いたいのだろう。


僕の回りに集まった三匹を撫でながら、ご褒美に《魔力供給》をしてやった。


「お前が、犬達の主か?」


「そうです」


「こいつらは、犬なのか?」


「そうですよ。珍しい種類だったんですかね?」


犬らしく作ったつもりだが、やはり違和感があるらしい。


「まあいい。ところで、村長に会いたいのだが」


「僕の父が、村長ですけど」


「おお、そうか。丁度良かった。案内してくれないか? 私は領主様の使いだ。名は、ハッサンと言う」


「領主様のお使いの方でしたか。僕はニコルと言います。案内するので、着いて来て下さい」


「すまんな」


僕はこの使者を、実家の父さんの所へ案内した。



使者を待たせてスーパーに入ると、ロッシがいた。


「ロッシ。領主様の使者の方が、いらっしゃった。父さんを、呼んで来てくれないか?」


「うん、いいよ」


父さんを待つ間、使者のところへ戻った。


「随分立派な店が、あるのだな」


「村で、唯一の店です」


「隣街で、店も無い廃れた村だと聞いていたのだがな」


「できたのは、数年前ですから」


「先程君がいた建物や途中で見た民家も立派だし、道も整備されている。噂など、当てにならんな」


「そうですね」


『僕の錬金術で、作りました』なんて言えないので、素直に肯定した。



すると、そこへ父さんが現れた。


「お待たせしました。村長のジーンです」


「私は、ハッサンだ。領主様のご命令で、街や村を回っている」


「どんなご用件でしょうか?」


「今年の《魔王襲来》は、知っているな?」


「まっ、《魔王襲来》?!」


「何だ。知らんのか?」


「お伽噺かと」


「文献にちゃんと残ってるぞ。『魔王は六十六の年の六月六日、夜明けから数刻後空から現れ、魔物を撒き散らしながら空を駆け、地中深く潜りダンジョンを作り出す』と。私はその《注意喚起》に来た」


「そんな・・・」


「《魔王》が来てしまってどうしようもないが、せめてさまよう魔物の対策はしておくんだな」


「そうは言われましても、どうしていいのやら」


「やはりこの小さな村では、戦力は期待できないか?」


「ダンジョン探索者なら、十五・六人いますが」


「おお、思ったよりいるな。ランクはどうだ?」


「たしか、全員《Gランク》かと」


「それでは、心許ないな。もし、魔物が襲って来るようであれば、私達兵士が来るまで充分な食料を用意し、家でじっとしている事だな」


「分かりました」


その後幾つか質問をすると、使者は村の状況を紙に書き留め去って行った。



「《魔王襲来》まで、三ヶ月しかない。どうすればいいんだ?」


「父さん。心配しなくても、大丈夫だよ」


「何を言ってるんだ。相手は魔王だぞ!」


「うーん。説明は難しいけど、僕に任せてよ。取り敢えず、当日は村全体に《結界》を張るから」


「むっ、むっ、村全体?!」


魔王が自ら人を襲わない事は、知っている。

魔物さえ何とかすれば、村に被害が及ぶ事は無い。


第一この広い大陸の、どこに魔王が現れるか分からない。

軽々しく考えるのは良くないが、僕がいれば何とかしてみせる。


僕はこの後、心配する父さんを安心させる為説得した。

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