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第五十三話 ミーリアへの告白①

この世界の結婚年齢は、前世の日本に比べ断然早い。


十代後半で結婚する人も、ざらにいる。


僕は今十七歳だが、結婚は二十代半ばでいいと思っていた。

しかし、ユミナの事を真剣に考えると、結婚を意識しなければならなかった。


「ハァー。前世だったら、まだ高校生の歳なんだよな」


「ご主人。急に、どうしたニャ?」


「結婚を考えるには、まだ早いよ」


「ニャニー! 結婚!!!」


「おっと、口が滑った」


グルジット邸を訪問し、ユミナと結婚の話しになった事は伝えてなかった。


「だっ、だっ、誰とニャ?」


「誰とって、ミーリアとユミナ」


「うっ、うっ、うっ、遂に《ハーレム展開》が始まったニャ!」


「何言ってるんだ。ハーレムじゃ無いぞ!」


「これは、《序章》に過ぎないニャ!」


「否定するだけ、無駄だな」


「こうなったら、《人化》スキルを覚えるニャ!」


「えっ! そんな可能性を、秘めていたのか?」


「ラノベのテンプレニャ! きっと神様が、ご主人好みにしてくれるニャ!」


「何だ。シロンの妄想か」


この日から、シロンは毎日神様に祈るようになった。


「ところで、いつの間にそんな事になったニャ?」


仕方ないので、経緯をシロンに打ち明けた。



「それは、断るべきニャ!」


さっきのハーレムを容認するような物言いと打って代わって、否定されてしまった。


「でもさ。縁談を断り続けて、僕の事を好いてくれてるんだぞ。真剣に答えないと」


「そんなの、ただの同情ニャ!」


『グサッ!』


「有名なフレーズがあるから、ご主人に送るニャ! 『そこに、愛はあるんか?』」


『グサッ!』


核心を突かれ、胸に刺さった。


「本当は綺麗な娘に言い寄られて、手放すのが勿体無くなっただけニャ!」


『カチーン!』


「それは、言い過ぎじゃないか?」


僕は少し、不貞腐れた物言いをした。


確かにユミナは綺麗だが、それだけじゃここまで悩まない。


「言い過ぎたニャ」


「分かってくれたか?」


シロンは、素直に謝ってくれた。



「それで、ミーリアに何て言うニャ?」


「それを、今悩んでる」


ミーリアは、今年十五歳になった。

成人を迎えているが、結婚の話しは早い気がする。


多感な年頃だし、傷付けたくはない。


「モテる男は、大変ニャ」


「そうだな」


前世なら、決して言えないセリフだった。



服飾工房の休みの日、ミーリアの家を訪れた。


「ミーリア、お早う」


「おはよっ! 今ニコルちゃんのとこ、行こうと思ってたんだ」


「そうか。たまには、どこかに出掛けようか?」


「うん、いいよ。でも、どこに?」


「山で薬草を採るの、手伝ってくれないか?」


「うん!」


ミーリアを連れ出す事に、成功した。



馬車を走らせ、たわいのない話しをしながら山に到着した。


「随分、集まったな」


「そお? まだ、いっぱいあるよ」


「今日は、もう充分だ。お昼にしよう」


「うん。でも、何も用意してない」


「大丈夫。美味しいパンを、持って来た」


「やったー!」


「その前に、シャルロッテとシロンだ」


「うん」


シャルロッテとシロンに食事を与えると、大きな岩に座り魔法袋からサンドイッチとオレンジジュースを取り出した。


具材にハムチーズ・ポテトサラダ・タマゴ・フルーツが、それぞれサンドされている。


前者三つには、マヨネーズを調味料として使用している。

これは僕専用で、まだスーパーで販売されていなかった。


フルーツサンドには、特性生クリームをふんだんに使用している。



「ニコルちゃん。全部、美味しかった。でも、フルーツサンドが一番好き!」


「そうか、女の子だもんな。・・・・・なあ、ミーリア」


「なあに?」


「将来、僕のお嫁さんに、なってくれないか?」


「えっ! お嫁さんに、してくれるの?」


「ミーリアさえ良ければ」


「嬉しいー!!!」


ミーリアは、勢い良く僕に抱き付いた。

僕はそれに応じ、優しく抱き返した。


すると、ミーリアの涙が、触れた頬を伝って感じられた。

きっと、涙が出るくらい嬉しいのだろう。


僕はその涙に、ユミナの事を伝える気持ちが揺らいだ。


この後も会話を交わしたが、結局この日は打ち明けられず家に帰る事になった。



その日、実家で夕飯を食べた後、厩舎に寄った。


「ハァー、駄目だった」


「ご主人、情けないニャ」


「ヒヒーン『どうして』?」


シャルロッテは僕にも分かるように、馬語に《念話》を乗せシロン問い掛けた。


「ユミナの事、言えなかったニャ」


「ヒヒーン『ナニそれ』?」


シャルロッテも、今日のミーリアへの告白は見ていた。

しかし、ユミナとの事は知らなかった。


「聞きたいのかニャ?」


「ヒヒーン、ヒヒーン『聞きたい。シロン、教えて』!」


この後、シロンとシャルロッテの間で、女子トークが繰り広げられた。

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