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第四十一話 ノーステリア大公爵の追求

昼食を済ませ、昨日ご馳走になった焼肉店の前で、アレンさんと待ち合わせをした。


「よー、待たせたな」


「いえ、そんなに待ってないですよ。昨日はご馳走様でした」


「いいって事よ。それじゃ、行くか」


「はい」


挨拶はそこそこに、領主城へ向かった。



貴族街へは、アレンさんの顔パスで入れた。


領主城に到着すると、僕達は領主執務室に案内された。


「よく来た。そこに座ってくれ」


「おう」


「はい」


僕とアレンさんが並んでソファーに座ると、お茶が用意された。


大公爵様は人払いをし、向かいのソファーに座った。


「早速だが、アレンよ。勇者達三十九人を、どうしたというのじゃ?」


「ん? チョチョイのチョイと、ぶちのめした」


「殺したのか?」


「殺してねえよ!」


「それなら昨夜の報告で、『勇者達は、戦争に加担しない』と言うお主の根拠は何じゃ?」


「それは・・・・・」


「お主が口篭るとは、珍しいな」


「こっちにも、事情があってな」


「それは、ニコルが関わるのか?」


「ちげーよ」


アレンさんは、どうやら僕を巻き込まないよう振る舞っているようだ。


「では、ニコルは何を協力したというのじゃ?」


「うっ!」


アレンさんは更に問い詰められ、返事に困った。


「アレンさん。僕から報告します」


「ニコル」


戦争に関わる事の重大さと、相手が大公爵様という事もあり、隠すのは難しいと判断した。



僕は魔法袋から、《悪事矯正リング》を取り出した。


「これを、勇者達の首に取り付けました」


「何じゃそれは?」


「悪意を抱くと、《電気》が流れます」


この世界にも《雷》の現象はあるが、《電気》という言葉は使われてなかった。

僕は、敢えてそれを使った。


「電気? お主、もしや《転生者》か?」


「はい」


アレンさんから大公爵様が転生者だと聞いていたので、素直に答えた。


「ただ者ではないと思っていたが、まさか転生者だったとは。前世は日本人か?」


「そうです」


「その様子じゃと、わしが転生者だという事も、知っておるのだな?」


「はい」


「アレンから、聞いたのか?」


僕は、アレンさんの方を見た。


「そうだよ。俺が、うっかり話しちまった」


「こ奴!」


僕は心の中で、『やっぱり、話しちゃいけない内容だよね』と、思った。


「大公爵様。私は、口外致しません」


「何じゃニコル。秘密を聞いて、口封じでもされると思ったか?」


「いえ、あの、その」


実は、ほんの少しだけ思った。


「心配せずともよい。お互い、秘密を握ったのだからな」


「ありがとうございます」


僕はその言葉を聞いて、安堵した。



「いろいろと聞きたい事はあるが、話しを戻すぞ」


「はい」


「そのリングは、お主が作ったのか?」


「そうです」


「どれ、見せてみい」


「どうぞ」


リングを手渡すと、大公爵様はじっくりと見定めた。

多分、《鑑定》スキルを使ってるのだろう。


昨夜も、僕の事を《鑑定》している気配があった。



「ふむ。仕組みは、《隷属の首輪》に似ておるようじゃの」


「《隷属の首輪》を、改造してます」


「ミスリルを使っておるな。なかなかの物じゃ」


「俺がニコルに会う前、既に勇者パーティー以外全員に装着してたぜ」


「一人でか? どうやって、装着したんじゃ?」


「ダンジョンで、パーティーごと魔法で眠らせました」


「眠らせた? やはり、ステータスを偽っておるのじゃな?」


今のステータスの魔法覧には、《生活属性魔法》しか表示されてなかった。


「はい。勇者達に素性がバレないよう、アイテムを作りました」


「ほう。そんな物まで作るとは・・・・・」


大公爵様は、少しの間考え込んだ。



「お主の本来のステータスを、見せてくれぬか?」


「えっ、それは」


僕は、悩んだ。

この人物は、信用できるのかと。


アレンさんは昔から仲良くしてるようだが、『いいように、使われてる』と、愚痴を溢していた。


「駄目なのか?」


「条件があります」


「それは何じゃ?」


「私を利用するとかは、やめてください」


「うっ、それは」


「爺さん。もしかして、利用するつもりだったのか?」


アレンさんが、大公爵様を睨んだ。


「分かったわい。お主を、利用する事はせん」


「ありがとうございます」


確約がとれたので、腕輪の偽装設定を解除した。



「お主、何だそのレベルは。ありえん」


大公爵様は目を見開き、驚いた。


「突っ込みどころ満載じゃが、《英雄》の称号まで持っておるのか?」


「ええ、まあ」


「もしや、先の戦争で得たものか?」


「ギクッ!」


「そうなのじゃな?」


「・・・・・そうです」


「おおー、やっと見付けた! 国防の危機を救った《影に隠れた英雄》を!」


大公爵様は、わらわらと体を震わせた。


「何だニコル。お前が《トンネル》と《大落石》の危機を、救ったのか?」


「たまたまです」


「いや。お主のお陰で、被害が少なくて済んだのじゃ。礼をせねば」


「その必要は、ありません」


素のステータスを見せた事により、話しが思わぬ方向にずれてしまった。

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