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第三十八話 アレン対勇者パーティー、決着

勇者達はスキルでギヤを上げたが、アレンさんに手も足も出なかった。


「あいつ、とんでもねえ化け物だな。引いた方が、いいんじゃねえか?」


そう言い放ったのは、今まで重傷の《狂戦士》に、《回復魔法》を掛けていた《賢者》である。


「ウガー! 何言ってやがる。やられたままじゃ、気が済まねえ!」


復帰した狂戦士が、その意見に反発した。


「勝てる気でいるのか?」


賢者は戦況を見て、冷静にそう言った。


「そんな事言ってねーで、奴の動きを止めろよ」


そう突っ込んだのは、二人の様子を見に来た《大魔導師》である。


「俺にやれってか?」


「できんだろ」


「無茶言うな。ぜってー、返り討ちに合う」


「ウガー! うだうだ言ってねーで、やれってんだ!」


「てめー、切れてんじゃねーよ!」


「おい! 争ってる場合じゃねーぞ。お前が奴の動きを止めれば、俺らが何とかするって言ってんだ!」


「分かったよ。やればいいんだろ!」


二人に責められ、賢者は嫌々了承した。



勇者達三人とアレンさんは、激しい戦闘を繰り広げていた。


「チッ! あんだけ動かれちゃ、的が絞れねーぜ」


賢者には、人の動きを制限する魔法が幾つかあった。

《結界》、《影縛り》、《氷結》、《電撃》、《睡眠》、等々。


そして、この状況からある魔法を放った。


「《強結界》」


賢者は動きの速い標的を、逃げられないよう広範囲に結界を張った。

後に、この結界を狭めるつもりでいる。


この賢者は魔法を言葉にせず念じるだけで発動できたが、状況によって変えていた。



「ん? 結界に、閉じ込められたか?」


『シュタッ!』


標的は戦闘を放れ、結界の壁の前に立った。


「《ライトニングスラッシュ!》」


『パリーン!』


「げっ、結界が速攻破壊された。奴に近付くのは危険だが、しょうがねえ」


『フッ!』


賢者はアレンさんの真後ろに、《転移》した。


「何だ?」


しかし、直ぐに察知されてしまった。


『《影縛りX5!》』


『ヒュン! ヒュン! ヒュン! ヒュン! ヒュン!』


賢者はアレンさんの足元を狙って、杖から五本の影の矢を放った。

これが影に刺さると、身動きができなくなる。


『シュタッ!』


「俺の足元を狙ったな。ヤバそうだから、一応避けたが」


「チッ!」


『フッ!』


賢者は避けられた事に舌打ちすると、直ぐ様《転移》した。


「うわっ!」


賢者はアレンさんの真後ろに《転移》したが、アレンさんは反転して剣を向け待ち構えていた。


「お前の《転移先》、俺には分かるぜ」


「そんなの反則だろ!」


『《氷結》』


『ビュオーーー!』


文句を言いながら、賢者は魔法を念じ冷気を放った。


『シュタッ!』


辺りの壁や地面は氷りついたが、また避けられてしまった。



「くそっ! これが駄目だったら、諦めるぜ。《ドミニオン!》」


賢者はやけ気味に、魔法名を口にして放った。


『ブワーーー!』


すると、大きな黒い両の手が現れ、アレンさんを襲った。

これは《闇属性魔法》で、掴んだ者を一時的に《支配》できるというものである。


「ん?」


『シュタッ!』


『ブワーーー!』


『シュタッ!』


「追い掛けてきやがる。自動追尾か遠隔系だな。そんでもって、《闇属性》か」


『ブワーーー!』


「《聖光》」


『ピカーーーーー!!!』


アレンさんから強い光りが放たれ、黒い手は消滅してしまった。


「次から次へと、油断ならねーな」


「くっ!」


『フッ!』


賢者は攻撃を受ける前に、《転移》でその場を離れた。

そして、狂戦士と大魔導師の元に戻った。


「あいつ、出鱈目だぞ」


「情けねーな!」


「てめー、人の事が言えんのか!」


「ウガー! 俺は行くぞ!」


「ああ、行ってこい」


「何言ってる。全員で行くぞ!」


賢者は二人に連れられ、再び戦闘場所に戻った。



「ウガー! よくもやってくれたなー! ぶっ殺す!」


狂戦士が、唸りを上げた。


「手加減しねえぞ!」


援護と言われ下がっていた大魔導師も、名乗りを上げた。


「・・・・・」


賢者だけは、無言だった。


「ふっ、全員揃ったか。いいから、掛かってこい」


「「「「「舐めんじゃねー!!!」」」」」


勇者達は挑発に叫びを上げたが、賢者だけは無言だった。



一時間後。


「「「「「「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」」」」」」


「何なんだこいつは。俺らが、束になっても敵わねえ」


「魔力が切れやがった」


「体力が持たねえ」


「ウガー!」


「キーヒッヒッ!」


「もう、引こうぜ」


勇者達は、全員へとへとだった。


そして辺り一帯、壁や床が崩れていた。



「お前ら、もう終わりか?」


「まだだ!」


そう叫んだのは、勇者一人である。


「ほう。流石、勇者だ」


「やっぱり、俺が勇者だと知ってやがるのか?」


「おっと、いけね。今のは無しな」


「クソッ! 舐めやがって。もう、奥の手を使うしかねえ」


「そんなもの、まだ隠してたか?」


『シュタッ!』


勇者はアレンさんの問いに答えを返さず、《瞬動》スキルで一気に間合いを詰めた。


「《メギド()スラッシュ!!!!!》」


『ギュギュギュギュオーーーーー!!!!!』


勇者が奥の手を放った瞬間、聖剣の放つ光りはこの一帯を真っ白に染めた。

そして、その熱量は《メギドスラッシュ》の比ではなかった。


「《フルカウンター!》」


『ゴゴゴゴイーーーーーン!!!!!』


『ドッゴーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!』


勇者は一瞬で壁に飛ばされ、大爆発が起きた。

壁は大きく崩れ、勇者は岩山に埋もれてしまった。


「やべえ。やり過ぎちまった」


アレンさんは、ばつが悪そうにしていた。

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