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第三十五話 アレン対狂戦士

勇者達は、ダンジョンに来ていた。


「おい、お前ら。その首輪をしてるって事は、どうやら遅かったらしいな?」


「ああ、クソ野郎にやられた。首輪の事を知ってるって事は、他にもいるのか?」


「既に十人。お前らを入れて、十六人だ」


「あのヤロー。召喚者を、狩ってやがるのか! ウギャーーー!」


「《平常心》」


《殺意》を抱いて苦しむ仲間に、《賢者》が魔法を唱えた。


「ハア、ハア、ハア、済まねえ。クソッ、やっと気持ちを落ち着かせたのに、思い出しちまった」


「こいつ、間抜けだぜ。また、電撃食らってやがる」


「うるせー!」


「おい。頭に血がのぼると、また食らうぞ」


「くっ、そうだった」


「その首輪、思った以上に厄介だな」


「ああ。電撃を食らってる時に魔物に襲われたら、死活問題だぜ。済まねえが、早く屋敷に送ってくれ」


「分かった。俺が、送ってやる」


勇者が名乗り出て、召喚者六人と共に屋敷へ《転移》した。



その勇者達の様子を、僕とアレンさんは隠れて見ていた。


僕は装備を《対勇者用》に替え、《鑑定》で彼等の情報を再度確認していた。

その時、《状態異常》をレジストするアイテムを、所持している事を知った。


しかし、レジストを上回る魔力を込めた魔法なら、効果があると調べて分かった。

これらの事は、既にアレンさんに伝えてある。


「勇者、行っちゃいましたね」


「ああ」


「それじゃチャンスなんで、僕が《睡眠》で」


「いや、ちょっと待て。俺に、手合せさせろ」


「何、言ってるんですか? さっさと終わらせて、帰りましょうよ」


「いいから、いいから」


アレンさんはそう言うと、《光学迷彩》を解いてしまった。


「何で僕のまで、解くんですか!」


折角の《光学迷彩》を解除され、僕は大きめの声を発してしまった。


「誰だ!」


案の定、奴等に気付かれてしまった。

これは、僕の失態である。


「これは、出て行くしかないな」


「済みません」


僕とアレンさんは、ゆっくりと勇者パーティーの前に現れた。



「てめえら、何こそこそしてやがった?」


「こそこそ? そんな事、俺達してたか?」


ここは戦う気でいるアレンさんに、対応を任せた。


「てめえ、おちょくってんのか?」


「おい、待て。もう一人の奴、《召喚者狩り》に特徴が似てねえか?」


「そう言えば。だけどよー、単独のはずだろ」


「隠れてたのかもな」


「キーヒッヒッ。怪しい奴は、殺っちまえばいい!」


「ギャハハッ、ぶっ殺す!」


「おめーら、相変わらず血の気が多いな。捕まえて、《首輪》を外させねーと駄目だろうが!」


何やら変装した僕の容姿の特徴を聞いていて、『召喚者狩り』と呼ばれてるらしい。



「こいつら、二人共《レベル20》だ。大した事無え」


「あいつら、こんな弱っちい奴にやられたのか?」


「不意を突かれて、眠らされたんだろ」


「俺らが言うのも何だが、こいつ卑怯だな」


ステータスを偽装して、油断させる事には成功した。

しかし、卑怯者扱いにはムカついてしまった。


「いちゃもん付けて殺すとか、クソみてえな連中だな」


すると、アレンさんが僕の気持ちを察してか、言い返してくれた。


「いちゃもんだと! てめえら、何でここにいんだ! 俺らを、狙ってんじゃねーのか?」


「俺達は、魔物を狩ってるだけだ。ここにいるのは、単なる偶然?」


「何で疑問系なんだ!」


「知らん」


「ウガー! じれってー、ぶっ殺す!」


大男がこの遣り取りに、我慢できなくなったようだ。



大男は背中にぶら下げた自分の身長程ある大剣を、鞘から抜いた。


『ドンッ!』


すると、地面を蹴り一気にアレンさんとの間合を詰め、大剣を横薙ぎにした。


『ブオンッ!』


しかし、アレンさんはそれを余裕でかわし、凄まじい空を切る音だけが残った。


「ウガー!」


『ブオンッ!』


二撃目も、アレンさんはかわした。


「キーヒャッヒャッヒャッヒャッ! 避けられてやがる」


「ウガー! うるせー!」


こいつの職業は《狂戦士》だが、決して動きが遅い訳ではない。

寧ろ体の大きさに似合わず、素早かった。



『ブオンッ! ブオンッ! ブオンッ! ブオンッ! ブオンッ!』


「おい。あいつ、本当にレベル20か? 全部、避けてるぞ!」


「ああ。今も《鑑定》で見てるが、違いねえ」


「手を貸すか?」


「いや。あいつ自分の獲物に手を出されると切れるから、止めといた方がいい」


どうやら他の連中は、手出ししないようだ。



狂戦士の大剣はいくら振るっても、アレンさんを捉える事はできなかった。


「オーガみたいな兄ちゃん。いくら剣を振っても、風しか届かねーぞ」


「ウガー! ぶっ殺す! 《狂戦士》スキル発動だ!」


《狂戦士》の男がその言葉を発すると、筋肉が二まわり程膨らみ、表情が凶暴化した。


「おい。あいつ、スキルまで使ったぞ」


「これで、あの男は死んだな」


仲間達には、スキルの効果は信用されているらしい。



しかし、その様子は今までと変わらなかった。


『ブオオオンッ!』


『ドガガガガガガガガッ!』


「おいおい。身体能力は上がったようだが、頭が悪くなったんじゃねーか? 壁が崩れたぞ」


「ウガー!」


この狂戦士は、闇雲に剣を振るってるんじゃない。

動きの早いアレンさんを、壁際に追い詰めようとしていた。


しかし、アレンさんはそれに気付いてるようで、《瞬動》スキルを交えて余裕でかわしている。


「お前の実力は、だいたい分かった」


そう呟くと、アレンさんは大剣を抜いた。


「お前の剣、受けてやる」


「ウガー! 舐めるなーーー!」


『ドーーーン!!!』


狂戦士は地面を爆発させ、今まで以上の速さで間合いを詰め、大剣を振るった。


『ブオオオオンッ!!!』


『ガイーーーーーーーーーーン!!!』


アレンさんはそれを一歩も動かず受け止め、辺りには金属音が鳴り響いた。


「ウッ!」


「「「「ばかな!」」」」


渾身の一撃をまともに受け止められ狂戦士は動揺し、それを見ていた仲間達も同じ気持ちだった。


「どうしたデカブツ。お前の力は、そんなものか?」


「ウッ、ウッ、ウガーーーーー!」


『シュタ!』


狂戦士が吠えたと同時に、勇者が召喚者達を送り届け戻って来た。


「おい。てめえら、何してんだ?」


勇者はこの状況に、何かやばさを感じた。

次回の投稿は、一週間前後掛かりそうです。

良いお年を。

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