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第三十三話 突然の再会②

アレンさんは帝都まで来たはいいが、どうやって戦争を止めるか悩んでいた。


勇者達の居場所を突き止め足を運んだところ、召喚者達の異変を知った。

そして、何者の仕業なのか、先程まで考えていたそうだ。


食堂で僕とアレンさんが出会ったのは、誰かの《ご都合主義》が働いたに違いない。



アレンさんの要求で、《悪事矯正リング》を見せる事になった。


魔法袋から取り出し手渡すと、僕が作った事を明かし《性能》を説明した。

アレンさんはそれを《鑑定》し、外される恐れがないか検証した。


今回の戦争の鍵は、間違いなく勇者達召喚者なので真剣である。


僕はある程度自信はあったが、何事にも絶対は無い。

彼らは特別な力を持っているので、今は無理でもいつか外せるかもしれない。


ここは、アレンさんの判断に任せた。



アレンさんは、《悪事矯正リング》の性能に納得してくれた。


その後、どうやって召喚者達に取り付けたか質問され、『《検索ツール》で召喚者達の居場所を探し、《睡眠》の魔法で眠らせた』と答えた。


アレンさんを信用しているので、僕の能力や手の内を明かしている。


ついでに、《検索ツール》で調べた勇者パーティーのステータスと、《転位》で逃げられる可能性がある事を伝えた。


この時アレンさんから、『折角なので、手を組もう』と、申し出があった。


僕はそれを、快く了承した。



アレンさんとの協力が決まり、その後も話しは続いた。


「俺のところに、ノーステリア大公爵のジジイから『参戦依頼』が来たんだ」


「アレンさん! 大公爵様を、そんな呼び方していいんですか?」


「ああ、構わん。俺とジジイの仲だ」


「そんなに、親しいんですか?」


「まあな。ジジイも、《日本人の転生者》だ」


「えー! 転生者なんですかー? でも、本人の了承無しに、そんな大事な事バラしていいんですか?」


「ああ、そうだった。ニコル、内緒にしてくれ」


「随分、軽い言い方ですね」


「俺の感は、『大丈夫だ』と言っている」


「そうですか。まあ、言いませんけどね」


この時、『ノーステリア大公爵領の発展は、《内政チート》だったんだ』と思った。



「あれ? 俺、何話してた?」


「えーと、参戦依頼です」


「ああ、そうだった。俺は戦争に関わりたくないから、断ったんだ」


「断ったんですか?」


「ああ。人殺しなんか、まっぴらだ」


「そうですよね」


「そしたら、ジジイがよ。『王国民が、大勢死んでもいいのか? お前のその力は、何の為にある? 人殺しが嫌なら、戦争を止めてこい!』なんて言いやがるんだ」


「はあ、そうですか。大変ですね」


「俺はそれで、言い返せなくなった。ジジイが、自分でやれってんだ」


アレンさんの言葉が、だんだん愚痴っぽくなっていった。


「アレンさんは、それだけ信用されてるんですよ」


「いいや。小間使いくらいにしか、思ってないね」


僕は『これ以上、愚痴を聞かされても』と思い、話題を変える事にした。



「ところで、アレンさんのその顔。魔法ですか?」


終始アレンさんから、微弱な活性魔力が感じられた。


「そうだ。俺は《光属性魔法》が得意でな。こんな芸当もできるんだ」


「へー」


「ニコルは、どうしてるんだ?」


「僕は魔道具を使ってます。ステータスや声も、変えられるんですよ。召喚者達の中には、《鑑定》スキル持ちがいますからね」


「便利だな」


「そうだ。アレンさんに、あげますよ」


「いいのか?」


「これからは協力関係なんで、構わないです」


僕は《亜空間収納》の中で《複製》の能力を使い、《変装の腕輪》を作った。

そして、アレンさんの太い腕を見て、サイズを調整した。


「どうぞ」


「おー、サンキュー」


アレンさんは腕輪を受け取るとそのまま手首に嵌め、僕のレクチャーに従い設定した。



アレンさんの変装設定が完了し、この後どうするか話し合った。


「アレンさん。一度、勇者達の屋敷に行きたいんですけど、いいですか?」


「そうだな。ニコルが《転移》を使えるなら、行っておいた方がいいな」


「ありがとうございます」


アレンさんは、《転移》が使えなかった。


その代わり、『《光速移動》の魔法が使える』と言っていた。

《瞬動》スキルは直線で短距離しか動けないけど、《光速移動》は長距離を自由に動けるらしい。


こうして僕は、アレンさんの案内で目的地へ足を運んだ。



「着いたぞ」


「ここですか? 立派ですね」


「そうだな」


勇者達は平民街ではあるが、貴族のような屋敷に住んでいた。


「勇者パーティー以外は、向こうの宿舎に住んでいる」


「同じクラスメイトなのに、格差ですか?」


「実力に違いがあれば、格差は生まれるものだ」


「『格差社会』、嫌な響きですね」


「この世界は日本と比べても、大きな格差がある。貴族社会だからな」


「そうですね」



僕達は剣先フェンスを飛び越え、敷地内を探った。


「召喚者の数が増えたようだが、勇者パーティーの気配が無いな」


「ダンジョンに、行ったんですかね」


「どうだろうか?」


「調べてみます」


「頼む」


《検索ツール》で勇者達の居場所を探ると、《皇帝城》にいた。


「どうやら、城にいるようですね」


「異変を知って、報告に行ったのか?」


「どうでしょう?」


僕達はこの後の行動が決まらず、一旦屋敷を離れた。

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