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第三十二話 突然の再会①

2021/05/08 アレンのステータス表記を追加し、一部内容の修正をしました。

ガーランド帝国に降り立ってから、既に二十日が過ぎた。


その間オルネア街と他二つの街のダンジョンで、召喚者達に《悪事矯正リング》で制裁を加えた。

その結果、残すは《勇者》率いる最強パーティーのみとなった。


勇者パーティーには二人の《空間属性魔法》の適正者がいて、二人共《転移魔法》を使えた。

その一人は《勇者》で、もう一人は《賢者》である。


そして、帝都の屋敷と三つのダンジョンを行き来し、効率良くボスをメインに狩っている様子だった。

この動向は実際に見た訳ではなく、《検索ツール》の《地図》機能で居場所を知り推測した結果である。


「《転移魔法》で逃げられたら厄介だ。《帝都の屋敷》は、抑えておいた方がいいな」


ダンジョンで対峙する前に、僕は帝都に向かった。



帝都はエステリア王国の王都と同じで、高い壁で囲われていた。


その門はダンジョンから近くにあり、朝一出発し午前中の早い時間に到着した。

しかし、そこには多くの人が並んでいた。


「並ぶの面倒だなー。でも、仕方ないか」


壁を越えて入る事もできたが、愚痴をこぼしながら変装した姿で最後尾に並んだ。



暫く待っていると、僕の順番が来た。


「帝都は、初めてか?」


「そうだ」


僕は、口調を変えて答えた。


この後初めて帝都に入るという事で、門番から色々と質問された。

しかし、ダンジョン探索者カードを持っていたので、上手く切り抜ける事ができた。


エステリア王国の人間だと分かったら、捕まっていたかもしれない。


「ふー、緊張した。スパイや潜入捜査官の気分だ」


この後昼食を用意しに、変装を解いて《亜空間農場》に戻った。



「お帰りニャ!」


『お帰りなさいませ!』


「お腹空いたろ?」


「ぺこぺこニャ!」


『空きました!』


二人に確認すると、僕は食事の用意を始めた。



「さあ、できたぞ」


「ご主人のご飯が、無いニャ」


「帝都の様子を見たいから、繁華街で食事してくる」


「そうなんニャ。残念ニャ」


『気を付けて下さい』


僕は二人に見送られ、再び変装し帝都に戻った。



人気の無い場所に出て、繁華街まで歩いた。


「流石、帝都。人が多い」


その規模は、エステリア王国の王都と変わらなかった。


「あれ? ここって、《日本食》や《洋食》が置いてる」


この時、召還者に《調理》スキル持ちがいるのを思い出した。


「もしかして、勇也さんみたいに協力したのか?」


真意は定かでないが、メニューに惹かれこの店で食事をする事にした。



「いらっしゃいませ。お客様は、お一人でしょうか?」


「ああ、一人だ」


ここでも、変装時の口調を使った。


「カウンター席でも、よろしいですか?」


「構わない」


口数の少ない、ぶっきら棒を装っている。


「それでは、こちらへどうぞ」


僕は、案内された席へ座った。


「ん? 微弱な魔力」


すると、隣の席の人から違和感を感じた。


プライバシーを侵害したくないで、普段一般人のステータスは見ないようにしている。

しかし、違和感の理由を知る為、思わず見てしまった。


【名前】アレン

【年齢】二十九才

【種族】人族

【性別】男

【職業】ダンジョン探索者

【称号】光の英雄(特典:戦闘時のステータス五倍)

【レベル】99☆

【体力】9999/9999☆

【魔力】9999/9999☆

【攻撃力】20999(999)☆

【物理防御力】15999(999☆)

【魔法防御力】15999(999☆)

【筋力】999☆

【敏捷】999☆

【持久力】999☆

【精神力】999☆

【知力】999☆

【運】999☆


【固有スキル】第六感(Lv10)/経験値獲得3倍(固定)/スキル経験値獲得3倍(固定)

【スキル】鑑定(Lv10)

     剣術(Lv10)/体術(Lv10)

     魔力感知(Lv10)/危機感知(Lv10)

     魔力操作(Lv10)/魔法言語(Lv10)/身体強化(Lv10)/威圧(Lv10)/瞬動(Lv10)

     騎乗(Lv10)

【魔法】光属性魔法(Lv10)/生活属性魔法(Lv5)   

【武器】光の剣(攻撃力:+20000)・(強靭(特上)付与)・(腐食耐性(特上)付与・   

    (体力回復(特上)付与:全体力回復所要時間1H)

【防具】ドラゴンの皮鎧(物理防御力:+15000)・(魔法防御力:+15000)・(防汚(特上)付与)  

【アイテム】指輪(魔力回復(上)付与:全魔力回復所要時間4H)



『名前は《アレン》。称号に《光の英雄》。レベル99で☆マーク、カンストか?』


僕はこの時、『ハッ!』とした。


「えっ! アレンさん?」


「ん、何だ?」


その人は、こちらに顔を向け返事をした。

しかし、顔はアレンさんのものとは違った。


「お前、ニコルか?」


「えっ!」


僕はその言葉に、驚きを隠せなかった。


「あれ、違ったか?」


「いいえ、ニコルです」


口調は自然に戻り、正直に答えてしまった。


「おおそうか。合ってて良かった。何か訳がありそうだな?」


「ええ」


「俺もだ」


「そうでしょうね」


お互い顔を変え敵国にいるので、その言葉に納得した。


「取り敢えず、事情を聞くのは後だ。メシを食ってからにしよう」


「そうですね」


二人は怪しい状況ながらも、お互い敵でないと察していた。



アレンさんがハンバーグ定食を注文していたので、僕もそれに倣った。


「これ、美味しいですね」


「ああ、いけるな」


ハンバーグとスープに、しっかりと味が付いていた。

それに、主食は白米のご飯だ。


帝都の食料事情は、他所に比べ良いのかもしれない。



他愛のない会話をしながら食事を終えると、アレンさんがお代を払ってくれた。


「高っ!」


思わず、僕の口から声が漏れた。

その金額は、《お食事処やまと》の二倍以上した。


この金額では、『食事事情が良い』とはとてもじゃないが言えない。

僕は、考えを改めた。


「アレンさん。ご馳走様です」


「いいって事よ。話しができる場所まで、歩こうか?」


「はい」


僕はアレンさんに対し、いつもの口調に戻っていた。



繁華街を離れ、人の少ない川辺に来た。


「ニコルは、どうしてここにいるんだ?」


「それを答える前に、アレンさんは《エストリア王国》側の人間なんですよね?」


「何だ。俺を疑ってるのか?」


「いえ。そういう訳では」


「心配するな。俺は、《ノーステリア大公爵》の依頼で動いてる」


「そうですか。アレンさんのその言葉、信じます」


「ありがとよ」


「それで、僕がここにいる理由ですけど」


「ああ」


この時どこまで話すか迷ったけど、覚悟を決めた。



「実は《日本人》の勇者達が、戦争に参加するのを止めに来ました」


「日本人? その言葉が出るという事は、やはりニコルも日本人の転生者なのか?」


「そうです」


「俺もだ」


「ええ、知ってました」


「そういや以前酔っぱらって、質問したっけ」


僕はエミリから聞いて知ったのだが、その事は伏せた。


「でも、僕が転生者だって、良く分かりましたね。アレンさんの《鑑定》スキルは、そこまで見えるんですか?」


「分からん。俺は他人のステータスに興味がない。分かったのは《感》だ」


「感? ああ、そう言えば」


「そう。俺には《第六感》スキルがある。妙に感が働く」


「成る程」


アレンさんは、羨ましいスキルを持っていた。



「ところで、今召喚者達がおかしな事になっているのは、ニコルのせいか?」


「はい。でも、何故知ってるんですか?」


「夕べ勇者の屋敷を調べていて、偶然知った」


「それじゃ、勇者もこの事は知ってるんですね」


「そういう事だ。夕べその召喚者達が屋敷にやって来て、お前の事を話していた」


「以外と、遅かったですね」


「そうなのか?」


「最初に首輪を取り付けてから、半月位経ちますから」


「半月か。それで、どこまで進んだ?」


「勇者パーティー六人を除いて、三十三人全員終わってます」


「仕事がはえーな。やっぱ、ただ者じゃなかったか」


「アレンさん程じゃ、ないですけどね」


実際ステータスの数値は、アレンさんより低かった。


「いいや。その余裕、俺の感は俺以上だと言っている」


この後、お互いの事を話しをした。


アレンさんはその時、《レベル99》を越えられるのは《勇者》だけという事を教えてくれた。

僕は勇者ではないので、《イレギュラー》という事で二人は納得した。


そして、協力して勇者達を封じ込める事を約束した。

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