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第三十一話 召還者との遭遇②

五人の召還者に、《悪事矯正リング》を取り付けた。


「ここで寝たままにしたら、流石に死んでしまうな」


殺す気は無いので、《睡眠》魔法を解除した。


「おい、起きろ!」


召喚者の一人を蹴飛ばし、起床を促した。


「いてーな!」


「戦闘中に寝るから、起こしてやったぞ」


「んだと。てめー、ぶっこ、ウギャーーーーー!」


僕に殺意を向けた瞬間、リングから電気が流れた。


「ほら、お前もだ。起きろ」


「いてー、何しや、ウギャーーーーー!」


その後の召喚者はというと。


「「「「「ウギャーーーーー!」」」」」


僕に殺意を抱く度、電気を食らっていた。


「お前ら『ウギャー、ウギャー』って、赤ん坊みたいだな。いや、赤ん坊は『オギャー、オギャー』だったか?」


「てめえ、オギャーーーーー!」


「ははっ。お前、本当に赤ん坊みたいだな」


「ぶっころ、オギャーーーーー!」


召喚者達はちょっとからかうと、その度に制裁を受けていた。



「それじゃ、俺行くわ」


「なっ、ちょっ、待って。待って下さい」


「何だ? 俺は忙しいんだ」


「この首のやつ、外して下さい」


「それは、無理な話しだ。大人しくしていれば、その痛みは襲わない。だが、《魔物》相手の戦闘だったら大丈夫だ。これを期に、《真っ当》に生きるんだな」


「「「「「そんなー!」」」」」


僕の言葉に、召喚者達は項垂れた。



数時間後、地下十五階で他の召喚者達に遭遇した。


「おら、死ねやー! 《炎爆弾》三連発!」


『ドカーン! ドカーン! ドカーン!』


「うわー!」


「キャー!」


「ヒー!」


「イヤー!」


「止めてくれー!」


「おい、とっとと殺れよー!」


「男は殺せー!」


「金目の物は、燃やすなよ!」


「女も、傷付けるんじゃねーぞ!」


「てめえら、うっせーぞ。俺は楽しんでんだ!」


《デジャブ》である。


しかし、襲ってる方も襲われてる方も、メンバーは違った。


この後召喚者達を、最初の奴等と同じ目に合わせてやった。



翌日、地下二十一階で六人組の召喚者を見付けた。


この辺になると、流石に探索者の数は少ない。

現在、奴等の回りには、人がいなかった。


僕はガラ悪くダラダラ歩いている召喚者達に追い付き、その横を通り過ぎた。


「おいこら、待てや!」


僕はその声に耳を貸さず、歩き続けた。


「《水矢》」


《危機感知》スキルが働き、僕はその場から一歩右に避けた。


『ヒュン!』


僕が元いた場所を、《水矢》が通り過ぎた。


「チッ!」


僕は振り向き、召喚者達を見据えた。



「今明らかに、俺を狙ったな!」


「てめえが無視して、俺らの先を行くからだろうが!」


「俺は、お前らに用はない。抜かされたのは、チンタラ歩いてるお前らが悪い」


「てめえ、喧嘩売ってんのか?」


「そんな無駄な時間があったら、俺は先に進む」


「野郎!」


「おい。そいつ、レベル20だぞ」


奴等の中に、《鑑定》スキル持ちがいた。

そいつは、《変装》の魔道具で設定した数値を叫んだ。


「何だ、そんなもんか。こんな所に一人でいるから、もっと高いと思ったぜ」


「あと、その腰の袋。魔法袋だ」


「そうか。魔法袋だったら、いくつ増えてもいいな」


「お前等、魔法袋が欲しいのか?」


「へっへー。今更献上したって、おせえぞ。ボッコボコにした後、奪ってやんよ」


「お前等に、そんな事ができるのか?」


「舐めるな! 《水矢百連装》」


男は《魔法名》を唱えるだけで、魔法を放った。

以前調査して分かった事だが、召喚者の全員が《詠唱破棄》スキルを持っていた。


僕の場合、魔法名を唱えずとも、念じるだけで使える。



『シュバッ! シュバッ! シュバッ! シュバッ! シュバッ! シュバッ! シュバッ! シュバッ! シュバッ! シュバッ! ・・・・・・・・・・』


僕目掛けて飛んで来る百本の《水矢》を、高速の剣捌きで全て打ち消した。

この手の攻撃は、コロネ子爵邸で経験済みだ。


「なっ!」


「次は俺だ。《竜巻》」


今度は、通路幅いっぱいの《竜巻》が襲って来た。


「フン!」


気合一閃で《竜巻》を縦に切り裂くと、僕の両側を通り過ぎ消滅した。


「なっ!」


「こいつらに、長く構ってられない」


そう呟くと、心の中で『睡眠』と唱えた。


『バタッ! バタッ! バタッ! バタッ! バタッ! バタッ!』


すると、六人の召喚者は眠りにつき、その場に倒れた。


「今日は《王都》に行って、商品を卸さないといけないんだ」


前回卸してから、丁度一ヶ月が経っていた。


僕は急いで召喚者達に《悪事矯正リング》を取り付け、《睡眠》を解いた。


「ん、何が起きたんだ?」


全員が目を覚ますのを見届けると、その場を離れた。



「忙し過ぎる。こんな勢いでダンジョンを走り回ったのは、初めてだ」


僕は二日半で、地下二十一階まで来てしまった。

いくらステータスが高いと言っても、無茶のし過ぎである。


この後《亜空間農場》に戻り、シロンとシャルロッテに食事を用意した。


「それじゃ、王都に行ってくる」


「行ってらっしゃいニャ」


『行ってらっしゃいませ』


僕は二人に見送られ、王都に出掛けた。

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