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第三十話 召還者との遭遇①

試験に合格した翌朝、変装しダンジョンに出掛けた。


このダンジョンは地下二十五階層からできていて、現在召喚者達は六人パーティーが一組、五人パーティーが二組活動していた。


その他の召喚者達はというと、勇者率いる最強パーティーは帝都内に、残りは他のダンジョンや街にいた。


このダンジョンを選んだ理由は、単に一番近かったからである。



そして、今回の装備はというと、《オーガの皮鎧》と《魔鋼の剣》を選んだ。


新調した装備は、勇者達最強パーティーと対峙するまで必要なさそうだ。


魔鋼の剣は《サムゼル様》との戦闘で折れてしまい、剣先がマグマに飲まれた。

しかし、《柄》の部分が残り、錬金術で復元している。


魔鋼の剣は強力な魔物にも使え、悪目立ちする事もないので、使い勝手が良いのだ。



ダンジョンの低層階は、ただ駆け抜けるだけだった。


しかし、下層に行くにつれ、しつこく追い回して来る奴等も現れた。


「「「「「ワオーーー!」」」」」


『ギロ!』


「「「「「クゥーン」」」」」


しかし、《威圧》スキルを放つと、魔物達は大人しくなった。


「やっぱり、これは便利だ」


僕は戦闘する事無く、先に進んだ。



翌日、地下十二階で最初の召喚者を発見した。


「「「「「ヒャッハー!」」」」」


「「キャー!」」


「姉ちゃん達、俺達と遊ぼうぜー」


「「イヤー、離してー!」」


「お前等、二人を離しやがれ!」


「離せ、こんにゃろー!」


「体に触れるんじゃねー!」


『ドカッ!』


『バキッ!』


『ゴガッ!』



「格の違いが、分かったろ。てめえら男は、姉ちゃん達を置いて去りな。命は、取らねえでやんよ」


「ふざけんな、召喚者!」


「俺らを、知ってるってか? 有名人じゃんよ」


「「「「ヒャーヒャッヒャー!」」」」


「ああ、有名人だよ。《召喚者の特権》を使って、悪逆非道のやりたい放題だってな!」


「言うねえ。まあ、否定はしねえよ。だったら、逆らったらどうなるか、分かるよな?」


「そんなの関係ねー!」


「へっ、だったら殺るまでだ!」


「「「「イーヒッヒー」」」」


「「「くっ!」」」


召喚者達は武器や杖を構え、男性探索者達を襲おうとしていた。



「ちょっと、待った!」


僕は対峙する男達の間に、割って入った。


「何だてめえは!」


「フン。お前らみたいな下衆を、退治しに来た」


この目で人となりを見てからと思っていたが、今の遣り取りで充分に分かった。

なので、最初から召喚者達を挑発した。


「ハッ、退治だと。やれるもんなら、やってみろや!」


「ああ、分かった。《睡眠》」


『バタッ! バタッ! バタッ! バタッ! バタッ!』


「「えっ、えっ、何これ?」」


召喚者五人を、戦う前に魔法で眠らせた。

その結果、倒れてしまった召喚者に、女性陣は戸惑っている。


《闇属性魔法》のレベルを上げた事により、《睡眠》の効力が上がり範囲が広がった。

そして、任意に対象者を選ぶ事も、可能になった。



「おい、君。何をしたんだ?」


「魔法で眠らせた」


僕は普段と口調を変え、答えた。


「そうか。杖も使わず、それに無詠唱だなんて凄いな。礼を言うよ」


「「「「ありがとう(ございます)」」」」


「いや、気にしなくていい。俺はこいつらの下衆さに、ムカついただけだ」


「そうか。君はいい奴なんだな。でも、こいつ等に手を出したからには、後々面倒な事になるぞ」


「大丈夫だ。後は俺が何とかする。あんた達は、この場を離れた方がいい」


「だが、君だけにこの件を押し付ける訳には」


「いなくなってくれた方が、俺にとって都合がいい」


「そっ、そうか。分かった。俺の名前は」


「あー、名乗らなくていい。俺も名乗らん。素性を知られて、迷惑を掛けたくない」


「聞いたら、ヤバいのか?」


「そういう事だ。このまま、去ってくれ」


彼らがいてはこの後都合が悪いので、言葉に含みを持たせ追い払った。


「それなら、俺達は行くぞ。世話になった」


「「「「ありがとう(ございました)」」」」


礼を言うと、探索者達は急いで去って行った。



「さて、後はこいつらだ」


僕は召喚者達を見下ろしながら、魔法袋から《悪事矯正リング》を取り出した。


これは《コロネ子爵》に使おうと思って作った、《悪意を抱く》と《電気が流れる》という代物だ。

勿論、その悪意には《戦争参加》も含まれる。


こいつらは、コロネ子爵に負けず劣らず下衆である。

戦争への参戦を防ぐ為にも、人権を無視して躊躇無く使える。



「ん、待てよ。《足首》じゃ、外せるな」


リングは、足首に取り付けるつもりでいた。

しかし、不安が過った。


足首だと、切断してリングを取り外す事ができた。


「こいつらなら、魔法やエリクサーで直せる可能性がある。取り付けるのは、《首》にしよう」


首を切断したら、流石に死ぬ事になる。


考えが纏まると、リングに魔力を通し念じた。


『使用準備。拡大』


すると、リングが大きくなった。


「よし、これで大丈夫だ」


大きくなったリングを男の頭を通し首に掛け、再び念じた。


『縮小。動作開始』


リングは縮小し、首にピッタリのサイズになった。


リングを外すには、再び僕が魔力を通し、『解除』と念じる必要がある。


「よし、次だ」


残る四人にも、次々とリングを取り付けていった。

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