第二十八話 上級魔法
2021/08/01 ステータスのアイテムに、《腕輪》を追加しました。
2021/05/30 ステータスに、【テイム】の項目を追加しました。
2021/05/08 ステータスのアイテムの表記を修正しました。
2021/05/05 ステータス表記を追加し、一部内容の修正をしました。
エステリア王国では手に入らなかった《上級魔法》や《飛行属性魔法》の魔法書が、ここでは売られていた。
僕はその事に驚き、他にもないかと再び本棚に手を伸ばした。
「うわっ! 《空間属性魔法》もあるよ。凄いな、この店」
この魔法書も、飛行属性魔法と同じ扱いで、手に入らないでいた。
「まさか、《特級魔法書》まであるんじゃないか?」
そう期待し探したが、そこまで《ご都合主義》は働かなかった。
僕は本を開き、立ち読みを始めた。
ガーランド帝国の言葉や文字は、エステリア王国と同じなので読む事ができた。
店員と『チラッ』と目が合ったが、注意される事もなかった。
「『所変われば』と言うけど、正にその通りだな」
その言葉は、魔法書の金額にも当て嵌まった。
驚く事に、初級から上級まで五万ギル前後で売られているのだ。
エステリア王国では大体、初級は三万から五万マネー、中級は十五万マネー、上級は許可が必要な上に五十万マネーで売られていた。
「これは、買うしかないね」
僕は所持金を見て、飛行属性魔法と空間属性魔法を選んだ。
この二冊は初級から上級まで一冊に纏まっていて、共に十万ギルで売られていた。
一冊に纏めた理由は定かでないが、他の魔法に比べページ数が少ない様だ。
「いやー、良い買い物をした」
僕はホクホク顔で、店を出た。
しかし、魔法書の購入は、二冊だけでは終わらなかった。
この後、シャルロッテの手綱を引き、商業ギルドへ向かった。
◇
商業ギルドで塩を二十キロ売り、八十万ギルを手に入れた。
この街に来て、また塩の値段が上がっている。
僕は急いで店に戻り、上級魔法書を一通り買い漁った。
ちなみに、中級までの魔法書は、グルジット伯爵邸で入手済みである。
買い物を終え二人の所へ戻ると、シャルロッテが念話で話し掛けてきた。
『ご主人様、ご機嫌ですね』
『分かるか?』
『顔がニヤついてます』
『欲しかった魔法書が、安く手に入ったんだ。顔もニヤケるさ』
『それは、良かったですね』
シロンは人混みなので、黙っていた。
「それじゃ、晩御飯にしようか?」
「ニャー」
『お腹空きました』
この後、場所を移動して《亜空間農場》に入り、みんなで食事を済ませた。
◇
食後二人に留守番を頼み、僕は一人でエーテル街のダンジョンに出掛けた。
「こんな時間から、一人で入るんですか?」
「急ぎの用事があるので」
「そうですか。気を付けて下さいね」
変装を解き、僕は受付でお金を払い正規に入場した。
そして、通路を歩きながらステータスを開いた。
「上級魔法を使えるように、レベル6の魔法をレベル7に上げとかないとな」
スキルポイントを一通り振り終えると、地下十九階へ《転移》した。
僕はミノタウロス相手に、上級魔法書を片手に呪文を唱えまくった。
「よし、一通り覚えたぞ。仕上げは、ダンジョンボスだ!」
既に飛行属性魔法もレベル7まで上げ、上級魔法も習得した。
現時点のステータスは、こんな感じである。
【名前】ニコル
【年齢】十七才
【種族】人族
【性別】男
【職業】(本業)大魔導錬金術師・ダンジョン探索者・見習い商人
【称号】影の英雄(特典:戦闘時のステータス二倍)
【テイム】ケイコ(赤色野鶏)・シャルロッテ(馬)
【レベル】160
【体力】2430/2430
【魔力】243000/243000
【攻撃力】15234
【物理防御力】10234
【魔法防御力】10234
【筋力】234
【敏捷】234
【持久力】234
【精神力】234
【知力】476
【運】234
【賢者の石魔力量】778,590,095
【スキルポイント】95
【固有スキル】大魔導錬金術(Lv10)/検索ツール(Lv10)/亜空間収納(Lv10)/万能調教(Lv2)
【スキル】剣術(Lv10)/体術(Lv10)
魔力感知(Lv5)/危機感知(Lv10)
魔力操作(Lv10)/魔法言語(Lv1)/身体強化(Lv10)/威圧(Lv5)/瞬動(Lv5)
農業(Lv1)/採取(Lv1)/狩猟(Lv1)/採掘(Lv1)/御車(Lv1)/騎乗(Lv1)/料理(Lv1)
【魔法】火属性魔法(Lv1)/水属性魔法(Lv1)/風属性魔法(Lv7)1up/土属性魔法(Lv1)
氷属性魔法(Lv1)/雷属性魔法(Lv1)/光属性魔法(Lv1)/闇属性魔法(Lv7)1up
聖属性魔法(Lv7)1up/空間属性魔法(Lv10)/防御属性魔法(Lv7)1up/結界属性魔法(Lv7)1up
重力属性魔法(Lv1)/飛行属性魔法(Lv7)new/付与属性魔法(Lv1)/無属性魔法(Lv7)1up
生活属性魔法(Lv3)
【武器】ヒヒイロカネの大剣
(攻撃力:+15000)・(強靭(特上)付与)・(腐食耐性(特上)付与)
【防具】ミノタウロスの皮鎧ヒヒイロカネ補強
(物理防御力:+10000)・(魔法防御力:+10000)・(防汚(特上)付与)
【アイテム】指輪(魔力回復(超特級)付与:全魔力回復所要時間8H)
ネックレス(状態異常耐性(超特級)付与:完全耐性)
腕輪(変装付与・ステータス変更機能)
そして宣言した通り、ボス部屋へ向かった。
◇
上級魔法は強力な為、ミノタウロス相手では物足りなかった。
その威力を見極める為、ギガントミノタウロスで試しておきたかった。
僕はボス部屋に入り、ギガントミノタウロスと対峙した。
「ヴモーーー!」
「《多重防御ドーム》』
魔法名を唱えると、透明なドーム状の防御壁が幾重にも僕を覆った。
「この魔法は、こいつの強力な攻撃をどれだけ耐えられる?」
僕は防御壁の中で、攻撃を仕掛けてくるのを待った。
『ガイーン!』
巨大なヒヒイロカネの斧で、防御壁に攻撃を受けた。
しかし、防御壁に変化は無かった。
『ガイーン! ガイーン! ガイーン!』
『ピシッ!』
しかし、更に攻撃を三度喰らうと、防御壁にヒビが入った。
『ガイーン! ガイーン! ガイーン! ガイーン! ガイーン! ガイーン! ガイーン! ガイーン! ガイーン! ガイーン!』
『バリン!』
執拗に同一箇所を攻められ、一層目の防御壁は破壊された。
しかし、直ぐに内側の防御壁が広がり、破壊された防御壁を補うように新たな防御壁が形成された。
「ふむ。流石にこのクラスの攻撃をまともに受け続けたら、破壊されるのか」
ミノタウロスの攻撃では、傷一つ付かなかった。
流石に、ダンジョンボスである。
「《影分身》」
そう唱えると、もう一人の僕が現れた。
「よし、行ってこい!」
「分かった!」
《多重防御ドーム》を解除し、僕の分身がギガントミノタウロスと対峙した。
『シュバ!』
『ヒュン!』
「ヴモーーーーーーー!」
分身は《瞬動》スキルで間合いを一気に詰めると、ヒヒイロカネの大剣で斧を持つ右腕を切り落とした。
「《身体強化》無しでいけるのか。剣の威力も物凄いな」
この《影分身》は、術者の能力や所持品をそのまま《複製》する事ができる。
しかし《多重影分身》にした場合、増えた分だけその能力は低下してしまう。
「《完璧回復》」
魔法名を唱えると、ギガントミノタウロスの右腕が淡い光に包まれ出血が止まった。
そして、痛みも消えたようだ。
「ヴモッ?」
しかし、腕は元に戻っていない。
腕を繋ぐには、切断面を合わせる必要があった。
「《魔力腕》」
そう唱えると、僕の体から半透明な腕が伸びた。
それは落ちている右腕を拾い上げ、ギガントミノタウロス本体の右腕と切り口を合わせた。
「《完璧回復》」
再びそう唱えると、右腕は光に包まれ切断された腕が繋がった。
その様子を、ギガントミノタウロスは『ポカン』とした表情で大人しく見ていた。
「《身体防御結界》」
この魔法の効果は、体表面に結界を張ったまま移動が可能なのである。
「さあ、今度は僕の番だ!」
そう言いながら、ギガントミノタウロスと対峙している《影分身》を解除した。
「その斧を拾って、掛かって来い!」
「ヴモッ!」
「どうした? 掛かって来いよ!」
「ヴモッ!」
しかし、ギガントミノタウロスは、僕に襲い掛かろうとはしなかった。
「お前、そんな目で見るなよ!」
ギガントミノタウロスは、『仲間にして下さい』と目で訴えている様だった。
僕はそんなこいつに、手が出せなくなってしまった。
他の上級魔法もこいつで確かめたかったが、今日は諦める事にした。




