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第二十七話 ガーランド帝国、侵入

2020/12/16 全体的に修正しましたが、内容はそれ程変わってません。

ガーランド帝国に降り立ってから、翌日の夕方前に目的地に到着した。


そこは《オルネア街》と言い、勇者達召還者がレベル上げを行うダンジョンがあった。

帝都からは、目と鼻の先だ。


「やっと、着いた」


「何を言ってるニャ。急ぎ過ぎニャ」


『ご主人様、酷いです』


『シャルロッテは、物足りなかったのか?』


『ご主人様を乗せてもっと走りたかったのに、直ぐ《転移魔法》を使うんですもの。プンプン!』


『ごめん、ごめん。移動に、時間を掛けてられなかったんだ』


僕とシャルロッテは《テイム関係》にあるのだが、否定的な言葉を使っても問題無いようだ。


それは僕にとって、有難い事だった。

《絶対服従》なんて、嫌だからね。


そして、シャルロッテが言うように、僕はここへ来るまでに《黙視転移》を繰り返したのだ。



オルネア街で行動を起こす前に、到着する前の出来事を簡単に説明しておこうと思う。



ガーランド帝国で最初に降り立った場所は、砦の前方の街道だった。


道幅は広いが、国交も無く使われてないので、雑草が生い茂っていた。

その両側には森が広がり、開けた場所は砦の周辺だけである。


「上から見たら気が付かなかったけど、雑草だらけだな」


「本当ニャ」


『ご主人様、私なら大丈夫です。走れます』


『いや、急いでるんだ』


僕はそう言うと、街道沿いを《目視転移》した。



数回転移を繰り返すと、《ノースブルム大峡谷》の砦から十キロ程先に、《ガーランド帝国軍》の拠点となる砦の街が現れた。


「ご主人、どうするニャ」


「ここに用事は無い。身分証も無いし、迂回する」


遠回りになるが、迂回する事にした。


「シャルロッテ。壁伝いに、走ろうか?」


『分かりました』


この場所から、勇者達がいる《帝都》は随分と離れている。

できれば兵が集まる前に、勇者達を参戦できないよう何とかしたかった。


シャルロッテを走らせ見通しの良い場所へ行くと、再び《目視転移》を繰り返した。



移動の途中、大きな街が見えた。


「ちょっと、あの街に寄るぞ」


「どうしてニャ?」


「塩を売って、お金に換える」


「お金が必要ニャ?」


「ああ、後々な。その前に、変装をしよう」


そう言うと、僕は魔法袋から《腕輪》と《リボン》と《ハミ(馬具)》を取り出した。

これらは、《変装用》の魔道具である。


勇者達の何人かは《鑑定》スキル持ちで、彼らに素性がばれるのが嫌だった。

なので、ステータスや声も偽造できる物を、事前に作っておいた。


魔法ではできない事が、錬金術でならできたのだ。


僕は左手首に銀の腕輪を取り付け、金髪から茶髪で平凡な顔立ちにした。

新調した武器や防具も、まだ必要無いのでしまった。


シロンには首輪に装着できる赤色のリボンを取り付け、白毛からグレー毛にした。

シャルロッテはハミという口に咥える馬具を付け替え、栗毛から青毛にした。


ステータスも大幅に変更し、一般の人や猫や馬に偽装してある。


「ご主人、元に戻した方がいいニャ」


『私もそう思います。イケメンのご主人様しか、乗せたくありません』


「二人共、我慢してくれよ」


この後、何とか二人を説得した。



街に入ると、寄り道する事なく商業ギルドに足を運んだ。


買い取りカウンターで塩を見せると、十キロ三十五万ギルという今までにない高値で売れた。


ちなみに、《ギル》はこの国の通貨単位だが、価値は《マネー》とおおよそ同等である。


僕達はお金を手に入れると、先を急いだ。



このように、ここへ到着する前、ちょっとした事があったのである。



オルネア街に到着すると、真っ先に《ダン防》へ足を運んだ。


そして、《ダンジョン探索者試験》を申し込んだ。

国交の無いガーランド帝国では、エステリア王国のダンジョン探索者カードは使えないのである。


ここへ来てまでダンジョンに入る理由は、ちゃんとあった。

勇者達を封じ込める作戦を、実行する為である。


ダンジョンならパーティーで行動するので、少人数で対峙できる。

それに、少しくらい暴れられても、周りへの影響は少なくて済む。


お金が必要だったのは、試験や入場料の為だったのだ。


今回も例によって《ご都合主義》が働き、試験は明日受けられる事になった。



試験の申し込みを済ませると、繁華街を見て歩いた。


ふと目に飛び込んだのは、魔道具屋だった。


「二人共、ちょっと待っててくれ。魔道具屋を見てくる」


「ニャー!」


「ヒヒーン!」


手綱を柱に縛り、二人に留守番を頼んだ。


店に入ると、帝都に近い事もあり、魔道具の品数はそれなりにあった。

しかし、僕の目当ては他にある。


「魔法書も、置いてるな」


その目的は、持っていない魔法書を探す事だった。


「あれ? ここいらのって、上級の魔法書じゃないか? しかも、安い!」


僕は、驚いた。


上級の魔法書が、下級や中級の魔法書と一緒に並べられていた。

しかも、ほぼ同額の安い値段である。


「嘘だろ! 《飛行属性魔法》まであるよ! 《ご都合主義》にも程があるだろ!」


今まで諦めていた《飛行属性魔法》の魔法書を手に取り、僕は更に驚いた。

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