第二十五話 ガーランド帝国、侵入前
2021/05/30 ステータスに、【テイム】の項目を追加しました。
2021/05/08 ステータスのアイテムの表記を修正しました。
2020/12/11 今話から、魔法名称の表記に《属性》を使用しています。
それに伴い、全話をざっと見直し修正しました。
内容は、特に変わっていません。
グルジット伯爵邸を訪問してから、二十五日が過ぎた。
今は《ノースブルム大峡谷》で、眼下に広がる《ガーランド帝国》を見ている。
「改めて見ると、広いな」
「広過ぎるニャ」
『走り甲斐が、ありますね』
シロンとシャルロッテと共に行商の旅に出、《転移魔法》でここへ来た。
それまでの間、《収穫祭》や《人頭税の納税》があり、《ガーランド帝国》に初めて足を踏み入れようとしている。
だがその前に、ここへ来る前の二十五日間を、簡単に説明しようと思う。
◇
収穫祭は、去年より料理が充実していた。
みんなが持ち寄る料理に《肉》が多く使われるようになり、バリエーションも増えた。
これも、狩猟班がダンジョンへ行くようになったのが、要因だろう。
お陰で、僕の負担も減っている。
《パン工房》からは全てのパンが提供され、僕の方でも去年を上回る量の肉料理と飲み物を提供している。
そして、人頭税の納税は、何のトラブルも無く帰って来れた。
帰って来たのは二日前の事なのだが、この間ずっと忙しかった訳ではない。
空いた時間を利用し、《検索ツール》で勇者達の情報を集めていた。
彼らは某工業高校のクラスメイトで、全員男子だった。
高校一年生の時に《クラス召喚》され、既に三年が経っていた。
いろいろ調べていると、困った事に彼らは全員札付きの悪だった。
「どうするよ、これ。話し合いは、無理じゃないか?」
その時の感想が、これだった。
しかし、勇者達は勇也さんの時と同じで、三年間この世界にいる割りに、レベルはそこそこだった。
「『サムゼル様みたいだったら、どうしよう?』って危惧してたけど、こいつらレベル上げをサボったな」
この時僕は、安堵した。
それでも、彼らには《召喚者補正》が掛かっていて、レベルの割にステータスが高くスキルや魔法も持っていた。
その中でも、ハイスペックな人物が六人いた。
《魔王討伐》の中心になりそうな、メンバーだ。
《勇者》もその六人に含まれているが、更に頭一つ抜けていた。
「《身体強化》スキルを使えば、きっと今の僕でも何とかなる」
この時そんな事を口走ったが、一度に全員を相手にするのは避けたい。
そこで、稚拙だが作戦を思い付いた。
そして、勇者達を戦争から遠ざける方法も、既に考えてある。
勇者達との戦闘はあるものと仮定して、装備も新調した。
更に用心を重ね、スキルと魔法のレベルの見直しを行った。
「大事に使わずに取っておいた《スキルポイント》だけど、使うなら今だよな」
見直しの結果、ステータスは次のようになった。
【名前】ニコル
【年齢】十七才
【種族】人族
【性別】男
【職業】(本業)大魔導錬金術師・ダンジョン探索者・見習い商人
【称号】影の英雄(特典:戦闘時のステータス二倍)
【テイム】ケイコ(赤色野鶏)・シャルロッテ(馬)
【レベル】160
【体力】2430/2430
【魔力】243000/243000
【攻撃力】15234
【物理防御力】10234
【魔法防御力】10234
【筋力】234
【敏捷】234
【持久力】234
【精神力】234
【知力】476
【運】234
【賢者の石魔力量】777,510,634
【スキルポイント】107
【固有スキル】大魔導錬金術(Lv10)/検索ツール(Lv10)/亜空間収納(Lv10)/万能調教(Lv2)
【スキル】剣術(Lv10)/体術(Lv10)
魔力感知(Lv5)/危機感知(Lv10)
魔力操作(Lv10)/魔法言語(Lv1)/身体強化(Lv10)/威圧(Lv5)4up/瞬動(Lv5)
農業(Lv1)/採取(Lv1)/狩猟(Lv1)/採掘(Lv1)/御車(Lv1)/騎乗(Lv1)/料理(Lv1)
【魔法】火属性魔法(Lv1)/水属性魔法(Lv1)/風属性魔法(Lv6)5up/土属性魔法(Lv1)
氷属性魔法(Lv1)/雷属性魔法(Lv1)/光属性魔法(Lv1)/闇属性魔法(Lv6)5up
聖属性魔法(Lv6)5up/空間属性魔法(Lv10)/防御属性魔法(Lv6)5up/結界属性魔法(Lv6)5up
重力属性魔法(Lv1)/付与属性魔法(Lv1)/無属性魔法(Lv6)5up/生活属性魔法(Lv3)
【武器】ヒヒイロカネの大剣
(攻撃力:+15000)・(強靭(特上)付与)・(腐食耐性(特上)付与)
【防具】ミノタウロスの皮鎧ヒヒイロカネ補強
(物理防御力:+10000)・(魔法防御力:+10000)・(防汚(特上)付与)
【アイテム】指輪(魔力回復(超特級)付与:全魔力回復所要時間8H)
ネックレス(状態異常耐性(超特級)付与:完全耐性)
スキルは、《威圧》スキルをレベル5まで上げた。
睨みを効かすだけで、相手の動きを止められるのだから有効だろう。
魔法はたくさんあるので、身近な人となるべく被らないように選んだ。
持っている《魔剣》が《炎属性》と《氷属性》なので、これも除外した。
魔法レベルは、所持している《中級魔法書》に合わせ、レベル6まで上げた。
僕みたいに《鑑定》が使える人間には、魔法級と魔法レベルの関係は、次のように見えているようだ。
初級魔法⇒レベル1・2
初中級魔法⇒レベル3
中級魔法⇒レベル4・5
中上級魔法⇒レベル6
上級魔法⇒レベル7
特級魔法⇒レベル8
超級魔法⇒レベル9
究極級魔法⇒レベル10
レベル6で使える中上級の魔法は、中級の魔法書にも一部載っているのだ。
ちなみに、魔法の才能の有る人がどんなに頑張っても、上級魔法を覚えるのがやっとらしい。
その上を習得するのは、特別な事なのだろう。
僕の場合、ポイントを割り振るだけで《レベル10》になれるのだから、《チート》である。
今回、召還者の中にも、《特級魔法》を使える特別な奴がいる。
危険なので、魔法を使わせる前に何とかしたい。
僕はポイントを振り終わると、ダンジョンで魔法書片手にひたすら呪文を唱えた。
◇
このように、僕は黙々と準備を整えていた。
「さあ、ガーランド帝国へ乗り込むぞ!」
「分かったニャ!」
「やっとですね!」
二人に声を掛けると、《黙視転移》でガーランド帝国に降り立った。




