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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第二章 王都行商編
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第六話 紹介状

次話のサブタイトルを間違えて貼り付けたので、直しました。

《鑑定》スキルで、《ボックスティッシュ》の売値と卸値は分かっていた。

だけど、ギルドで幾らの値が付くか興味があった。


まさか、応接室に連れて行かれるとは思わなかったが。

応接室で、禿げたごついおっさんと挨拶を交わす。


「王都商業ギルド、副ギルド長のランギル・ドーソンだ」


おっさんには、家名があった。どうやら貴族らしい。


「商業ギルドGランクのニコルです」


「ニコルか、若いな。お前が持ってきた商品を見せてもらったぞ」


「ありがとうございます」


「実に肌触りがいい。こんなに薄い紙を二枚重ねにしてあるところに秘密があるのか? それに、二枚一組を引っ張ると次に取り易いようにもう一組飛び出すように折り畳んである。地味だがとんでもない手間と技術だ。一箱に何枚入ってるんだ?」


「二枚重ねたものが、二百組入ってます」


「二百組か。それで、これはどこで手に入れた?」


これは自分が作った物だが、ここで言う分けにはいかない。

このおっさんはどうか分からないが、貴族に食い物にされるのはごめんだ。

商品の出所は、全て隠す事に決めている。


「商売人として、教える訳にはいきませんよ」


「それはそうだな。商売人なら、迂闊にしゃべたりせんほうがいいな。生産者を商売敵に奪われかねん」


「はい」


「お前はGランクだったな。これはまだ手に入るのか?」


「はい。まだ売るほどあります」


「して、それはどうやって売るつもりだ?」


「僕は今日、王都に来たばかりです。どこかで露店でも開こうと思ってます」


「幾らで売るつもりか知らんが、露店で売るのか?」


「そうですね。それしか方法がないですから」


「これなら貴族街でも売れるぞ」


「でも、伝がありませんので」


そこで、会話が止まった。

副ギルド長は腕を組み、目を瞑って考え出した。

そして、一分程で目を開けた。


「そうだな。わしなら、特別に紹介できんでもない」


この言葉を鵜呑みにしていいのか? 見返りを要求されたりしないか?

でも、僕の感が『ここは乗っかった方がいい』と、言っている。

そして、今後の行商人としての行方を左右する気がする。


「本当ですか? でも失礼ですけど、信用できる方なんですか?」


「それは心配ない。わしが補償する。紹介状を書いてやろう」


「あっ、ありがとうございます」


「貴族街にはおいそれと平民は入れんから、平民街にある支店の支店長に間に入ってもらえ。それと今回の買取額なんだが、一箱四千マネーでいいか?」


すぐに返事をせず、しばし考える。

本当は、想定していた額よりずいぶん高い。嬉しい誤算である。


「それでは、その金額で結構です」


「それじゃあ、買取り担当に金を用意させる。紹介状は今から書くからそのまま待っててくれ」


「はい。分かりました」


副ギルド長は、紹介状を書きに席を外した。

僕は応接室に移動するとき一度しまった四箱の《ボックスティッシュ》と、開封した分の代わりの一箱を魔法袋から取り出しそのまま待った。


しばらくして先ほどの買取り担当者の女性が、お金を持ってやって来た。


「話しは覗いました。一箱四千マネーで、五箱ありますから合計二万マネーです。どうぞお確かめください」と、言いながら僕に大銀貨二枚を渡した。


「確かに二万マネー受け取りました」


職員は僕の返事を聞くと、にっこり微笑み《ボックスティッシュ》を抱え退室の挨拶を交わし出て行った。


しばらくして、副ギルド長が応接室に帰って来た。


「ニコル、待たせたな」


「いえ。僕の為にしてくださってる事ですし、いつまでも待ちますよ」


「そうか。それで、これが紹介状と簡単な地図だ。何かあったら、また来てくれ」


「はい、ありがとうございます。お礼という程の物でもありませんが、開封した《ボックスティシュ》は置いていきますので、お使いください」


「そうか。それじゃ、遠慮なくもらうぞ」


「それでは失礼します」


一礼し、応接室を後にした。

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