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第十七話 子爵邸での闘争

《悪事矯正リング》を百個作り終えた後、僕は変装し子爵邸の庭に《転移》した。


警備が更に増えているのかと思えば、そうでもなかった。


「メイドさんが庭の掃除をしてるのは分かるけど、門番もしてるのか」


敷地内を探ってみると、屋敷の玄関や裏口にもメイドさんが立っていた。

警備兵の宿舎もあるけど、いるのは管理や給仕をする人達だけみたいだ。


今、屋敷の外にいる男性は、庭師だけだった。



屋敷の中を《検索ツール》の《地図》で確認してみると、昨日より多くの人がいた。

どうやら、警備兵が閉じ込められてるらしい。


「思った以上の、効果があったみたいだ。何も知らず、屋敷に入ったんだろうな」


屋敷にいる全員が悪人という訳ではないが、子爵家に仕える者の大半がいるようだ。


「げっ、昨日の今日で、地下牢に二人の子供が捕まってる」


どちらも、昨日の子供のようだ。


僕はこの状況に、呆れてしまった。



屋敷の裏口に回り、メイドさんに声を掛けた。


「手荒な真似を、したくない。扉を開けろ」


「あなたのその頭、黒髪。分かりました。今、開けます」


そう言って、直ぐに扉の鍵を開けてくれた。

先日、奪った鍵を持っていたが、使う必要が無くなった。


「随分、素直だな」


「『黒髪の男が来たら、屋敷に入れろ』と、命じられてます。中では大勢、あなたを待ち構えてますよ」


「そうか。親切に、済まないな」


「いいえ、仕事ですから」


僕は礼を言い、堂々と裏口から屋敷に入った。



扉を開けると、男が二人いた。


「てめえー、現れやがったな」


「黒髪だー! 裏口に、黒髪が現れたぞー!」


その声に、他の男達が集まって来た。


「てめえが、俺達を屋敷から出られなくしたんだな!」


男は、随分お怒りのようだ。


「知らんな」


「しらばっくれるな! 夕べ、屋敷の外にいたただろうが!」


そう言えば、昨夜僕を発見した奴かもしれない。


「さあな」


「くそっ! 取り押さえるぞ!」


「「「「「「「「「おうっ!」」」」」」」」」


逃げようと思えば逃げれたが、子供達が捕らえられてるので戦闘の構えをとった。



男達は棍棒やダガーナイフを手に、襲い掛かって来た。


「おりゃー!」


『ドスッ!』


「ウボッ!」


「うりゃー!」


『ドゴッ!』


「ガハッ!」


僕は一瞬で、鳩尾と顔面に拳を叩き込み、二人の意識を奪った。



「待て! こいつは、強い。素手だからと言って、舐めるな」


「「「「「「「「はい!」」」」」」」」


後ろいる指揮官らしき男が声を掛けると、男達は気を引き締め少しずつ間合いを詰めてきた。


「いくぜ」


「ああ」


小声で合図をすると、二人は同時に襲い掛かって来た。

しかし、それらの攻撃はフェイクで、僕の横を駆け抜けていった。


そして、すかさず前からは残りの男達が詰めて来た。


「挟み撃ちか。一応、考えているな」


「お前は、強い。動きを見て分かった。いったい、何者だ?」


指揮官らしき男が、質問してきた。


「そんな事、教える訳ねえだろ」


「そうか。それじゃ、質問を変えよう。屋敷に張った結界は、お前が死んだらどうなる?」


「結界? さあ、何の事やら」


「あくまでも、シラをきるんだな。お前ら、殺さぬ程度にやれ!」


「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」


その合図に、警備兵達は襲い掛かって来た。


『ドカッ! バキッ! グシャ! ドスッ! ドカッ! バキッ! グシャ! ドスッ!』


男達は戦闘慣れした動きではあったが、僕はその上をいく動きで蹴散らした。


「ふっ、一瞬か。本当に、強いのだな」


「お前らが、弱いだけなんじゃねえか?」


「我等は、それ程弱くはないのだがな」


「そうかい」



『タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ』


そこに、複数の足音が聞こえてきた。


「何だ。お前らまで来たのか?」


「ああ。だが、来て正解みたいだな」


鑑定したところ、こいつらは《裏の部隊》だった。


「それじゃ、頼んだ」


「ああ、任せろ」


すると、後から来た六人が前に出て来た。


僕は誘うようにゆっくりと、床に落ちているダガーナイフを拾った。

そして、その屈んだところを狙って、二人の男からナイフが飛んできた。


『キンッ! キンッ!』


そのナイフを、僕はダガーナイフで弾いた。


『『バッ!』』


次の瞬間、一気に二人に間合いを詰められた。


『シュバッ!』


しかし、僕はそれを予期して、《瞬動》スキルで後ろへ下がった。


『『シュン!』』


そして、僕がいた場所では、二本のダガーナイフが空を切った。



『ダッ! ダッ! ダッ!』


その二人の間から、槍を持った男が一気に間合いを詰めた。


「せりゃー!」


狭い廊下で振るうには不利な武器だが、槍使いは◯斗百◯拳のような勢いで突いてきた。


『キンッ! キンッ! キンッ! キンッ! キンッ! キンッ! キンッ! キンッ! キンッ! キンッ!』


しかし、それもダガーナイフで、全ていなした。


「どけっ!」


「ムッ!」


その指示に、槍使いは素早い動きで下がった。


「《空気圧壁》」


今度は魔法を唱え控えていた男が、逃げ場の無い程の大きさで《高密度の空気の壁》を放った。


「はっ!」


『バシーン!』


僕はそれを、空いてる左手に魔力を込め、気合いと共に相殺した。


「馬鹿な!」


「《連続水矢》」


『シュバッ! シュバッ! シュバッ! シュバッ! シュバッ! シュバッ! シュバッ! シュバッ! シュバッ! シュバッ!』


今度は別の男が水の矢を放ったが、ダガーナイフに魔力を込め、切り裂くと同時に全て消失させた。


「なっ!」


水矢を放った男は、僕の芸当に驚きを示した。



「どうやら、ただならぬ者のようだな。しかし、これではどうかな?」


その言葉を発した男が横にずれると、ナイフを突き付けられた子供二人が現れた。


「「おじさーん」」


子供達は戦闘中に、地下牢から連れて来られたようだ。

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