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第十四話 ルークの決断

ルチアナ義姉さんは、ジーナを抱きかかえた。


「それじゃ、私は夕飯の支度をしてくるわね」


「ジーナの面倒、見てようか?」


「うっ、うん。ありがとう。でも、寝室で寝かせるわ」


「あっ、そうか」


ルチアナ義姉さんは、子供のできないカシムさん夫婦に気を使っていた。


「俺は、仕事の途中だった」


ジーク兄さんも思い出したように、仕事に戻って行った。



ジーク兄さん達と行き違いで、母さんとルークが戻って来た。

母さんは腕に、大量の服を抱えていた。


「ニコルちゃん。寝室で着替えさせるから、お父さんが帰ってきたら伝えてね」


「分かったよ」


「ルーク君、行きましょう」


「うん」


母さんとルークは、再びリビングから消えていった。



暫くして、父さんがカシムさん夫婦を連れて来た。


「カシムさん、アンナさん、いらっしゃい」


「お邪魔するよ」


「お邪魔します」


「ニコル。ルークは、どこにいる?」


「スーパーから子供服を大量に持って来て、母さんが寝室で着替えさせてる」


「そうか。カシム、アンナ、もう少し待ってくれないか?」


「「大丈夫です」」


「カシムさん、アンナさん、ルークを頼みますね」


「私達を、受け入れてくれるといいんだが」


「もういい歳だし、心配だわ」


「大丈夫です。応援しますよ」


「「ありがとう」」


話しを聞くと二人は共に三十五歳で、結婚して十五年になるが未だに子供を授からないので諦めていたようだ。



それ程時間を待たず、母さんとルークがリビングに現れた。


「お待たせー。どう、可愛いでしょう?」


王都にいる時に、ルークの服や体は魔法で綺麗にしてやった。

しかし、髪をとかし綺麗な服に着替えたルークは、見違えた。


「似合うぞ。ルーク」


「そお」


ルークは、照れていた。


そして、ルークはカシムさんとアンナさんに対面した。



「初めまして、ルーク君。私はカシム。こっちが妻のアンナだよ」


「初めまして、ルーク君」


「はじめまして」


「まだ会ったばかりでお互いの事を何も分からないけど、ルーク君さえ良ければ私達の家に来てくれないかな?」


「ルーク君。贅沢はさせてあげられないけど、ご飯ならたくさん食べれるわ」


ルークは、黙って考えていた。

先程、僕には二人の子供になる事を了承したが、いざとなると決断が鈍るのかもしれない。


「直ぐに家族になるかなんて、決めなくていいよ。ルーク君が『この家の子供になりたい』と思った時に、『お父さん、お母さん』と呼んで欲しい」


「どうだ、ルーク?」


「ニコルにいちゃん。ボク、いくよ」


「そうか。決めたか」


「うん! おじさん、おばさん、よろしくおねがいします」


「ああ、よろしくな。ルーク君」


「よろしくね。ルーク君」


こうして、ルークは二人の家に引き取られて行った。



結果的に、ルークはいいところに貰われた気がする。


僕では、カシムさん夫婦に預ける案は浮かばなかった。

こういう時は、父さんが頼りになる。


僕は一旦自宅に戻り、シャルロッテに食事を与えた。


「シャルロッテ、元気か?」


『最近、出番が無いので寂しいです』


「うっ、ごめんな」


そんな会話もしつつ、この後ルークの生活用品をまとめ、シロンを連れて実家に戻った。



そして、スーパーも閉まり、いつもより遅い夕食になった。


「良かったなニコル。ジーナのお兄ちゃんは、いなくなったけど」


「ジーク兄さん。ジーナに弟を作ってあげれば、いいんじゃない?」


「それもそうだな。今夜、頑張っちゃおうかな」


『バシッ!』


「あなたったら、恥ずかしいでしょ」


「ごめん。ごめん」



夕食が終わり、カシムさんの家に行く事をみんなに告げた。


「ニコル、待ってくれ!」


「何?」


「これを、持って行け」


父さんは、僕に魔法袋を手渡した。


「中に、生活用品と金が入ってる。渡してやってくれ」


「僕も、用意したけど」


「これは、村の経費で落とす。ニコルに頼ってばかり、いられん」


「そう、分かった」


僕は納得し、改めてカシムさんの家に足を運んだ。



『トントン!』


「カシムさん、ニコルです。ルークの生活用品を、持って来たよ」


『ギー!』


「やあ、ニコル。済まないな」


「いいんですよ。こちらこそ感謝してます。ベットと布団を置きたいんですけど、部屋を案内してくれません?」


「ああ、こっちに来てくれ」


食事は既に済んだようで、ルークはアンナさんと部屋の片付けをしていた。


「ルーク、お手伝いか。偉いぞ」


「ニコルにいちゃん!」


僕は指定された場所に、ベッドを置き布団を敷いた。

そして、着替えや食器や歯ブラシ等の生活用品と、お金をカシムさんに渡した。


「すまないな。明日、礼を言いにジーンさんのところへ行くよ」


「ええ。それで、ルークを村の子供達に、紹介してもいいですかね?」


「ああ、頼むよ。友達を作るのは、大事だからね」


「それじゃ、朝食を食べた頃迎えに来ます。ルークもいいな」


「わかった。まってる!」


ルークと翌日の約束を交わし、僕はカシムさんの家をお暇した。

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