第十三話 ルークの引き取り手
僕達は《亜空間ゲート》を通って、エシャット村に来ていた。
「あれっ、ここはどこ?」
「ここが、エシャット村だ。あの扉は、遠い場所を移動できる魔道具なんだ」
「マドウグ?」
「ルークに説明するのは難しいから、大きくなったら教えてやる」
「うん!」
僕達が《亜空間ゲート》の小屋の前で話していると、母さんがやって来た。
「あら、ニコルちゃん。お帰りなさい」
「ただいま、母さん」
「今日は、プラーク街にいってたのね」
「そうだね。母さんは、今《教室》が終わったんだ」
「そうなのよ。もうそろそろ、お夕飯の支度をしなくっちゃ。ところで、この子はだあれ?」
普段おっとりしている母さんでも、僕が知らない子供を連れていたら、流石に気付いた。
「この子は、ルーク。人攫いにあったのを、助けたんだ。でも、身寄りが無くて連れて来た」
「まあ、そうなの? ルーク君、家にいらっしゃい。お腹空いたでしょ」
「うっ、うん」
「良かったな。ルーク」
僕は、ルークの頭を撫でてやった。
すると、ルークは照れ臭そうにしていた。
◇
営業中のスーパーの入り口から入ると、母さんは働いているみんなに、ルークを紹介してくれた。
「エレナちゃん、ロッシ君、ニーナちゃん、ハンス君、この子はルーク君。よろしくね」
「「「「うん(はい)」」」」
みんないきなりで、キョトンとしていた。
「この子、見掛けないわね。どうしたの?」
「エレナ姉さん。店先では何だから、後で話すよ」
「そう、分かったわ」
そして、僕達は二階のリビングに移動した。
リビングでは、ルチアナ義姉さんが娘のジーナをあやしていた。
「ルチアナちゃん、ただいま。この子はルーク君。よろしくね」
「お帰りなさい。ルーク君?、私はルチアナでこの子はジーナ。よろしくね」
ルチアナ義姉さんは、少し戸惑いながらもルークに挨拶をした。
「うん」
それにルークは、頷いて応えた。
「ジーナちゃん。元気にちてまちたかー」
「きゃははっ」
母さんは、ジーナをあやし始めた。
「ルチアナ義姉さん。ルークの事を話すから、父さんとジーク兄さんを連れて来て欲しいんだ」
「分かったわ」
ルチアナ義姉さんは詳しい事情も聞かず、僕の願いを聞いて直ぐに呼びに行ってくれた。
◇
そして、父さんとジーク兄さんが集まったところで、ルークを紹介する事となった。
店で働いている人達には、後で説明する。
「この子は、ルーク。人攫いから、助けたんだ。身寄りが無くて、連れて来た」
母さんに言った事と、同じ事を伝えた。
「「「人攫い!」」」
父さんとジーク兄さんとルチアナ義姉さんが、驚いていた。
「全く、酷い話しだ!」
「大変だったのね。こんなに小さいのに。ルーク君は、何歳なの?」
「五歳」
「そう、五歳なの」
ジーク兄さんは怒り、ルチアナ義姉さんは同情していた。
「それで、孤児院の話しをしたら、僕に付いて行きたいと言うんだ。でも、僕は家にいない事が多いでしょ」
「そうだな」
「それで、ここで預かって貰いたいんだ。僕も協力する!」
「それは別に構わんが、どうだろうカシムのところは子供がいないんだ。養子にするってのは?」
僕には、思い付かない発想だった。
「それは、いい案だね。でも、ルークの気持ちを聞かないと」
「そうだな。大人達で勝手に決めても、可哀想だ」
僕はルークの前でしゃがみ、同じ目線で話し掛けた。
「ルーク、どうかな? 子供のいない、おじさんとおばさんの子供になるってのは?」
「ニコルにいちゃんは、あそんでくれるの?」
「ああ、村にいるときは遊んでやるぞ」
「それなら、いいよ」
「そうか。ありがとうな」
そう言いながら、再びルークの頭を撫でてやった。
「それじゃ、俺はカシム夫婦を連れてくる。その間に、綺麗に着替えさせてやってくれ」
「分かったわ。私が見繕ってあげる。ルーク君、行きましょ」
「うっ、うん」
父さんはカシムさん夫婦を連れに、母さんはルークをスーパーへ連れて、それぞれ一階に降りて行った。
「ニコルも、いろいろと大変だな。まあニコルの事だから、内緒でいろいろと関ってるだろうけど」
「ジーク兄さん」
ジーク兄さんに言い当てられ、少し戸惑った。
「もしカシムさんのところが駄目でも、俺達で面倒を見るぞ。ジーナのお兄ちゃんだ。なあ、ルチアナ」
「そうね。あの子可愛いし、賢そうよね」
「ありがとう。ジーク兄さん。ルチアナ義姉さん」
そして、父さんがカシムさん夫婦を連れて来るのを待った。




