↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
171/406

第十一話 子供達の救出

子供達の救出が第一だが、身バレは避けたかった。


一度地下牢から脱獄している身なので、疑われては困る。

バレでもしたら、僕との関係からエミリとユミナに迷惑が掛かるかもしれない。


今回は、それだけの事をするのだ。


ちなみに、今変装している姿は、前世で死ぬ前の自分だった。


「後は、目撃者が必要だな」


面倒だが、わざと目撃者を作る事にした。


◇


屋敷の裏口には、男が一人立っていた。


「おい、お前! 人攫いを追っていたら、ここに辿り着いた。今直ぐ、屋敷に入れるんだ!」


一応、声質と口調を変えて喋っている。


「なっ、どこから入りやがった!」


『ドスッ!』


「うっ!」


鳩尾を一発殴ったら、男は意識を失ってしまった。

一応、手加減はしている。


「第一目撃者、完了」


その後、男を木の影に隠し、鍵を奪って屋敷に侵入した。



屋敷の中では、人に出くわす事無く階段室まで辿り着いた。


「裏口の方は、あまり人が近付かないようだな」


そう呟きながら、扉の取っ手に手を掛けた。


『ガチャ、ガチャ!』


「鍵か、いいや壊しちゃえ」


すると、鍵の部分に手を翳し、錬金術で破壊してしまった。

《無属性魔法》の《開錠》を使わなかったのは、前回囚われた時に使ったからである。


扉を開け階段を降りると、子供達が囚われている地下二階の扉の前に辿り着いた。


扉の向こうには、見張りが二人と牢屋に子供が十人いる。


『さて、どうやって入るか』


扉を鑑定してみると、鍵は内側と外側の両方に付いていた。

外側は開いているようだが、中からは鍵が掛かっている。


侵入方法はいろいろあったが、僕が選んだのはこれだった。


◇


『ドン! ドン!』


「おい、開けてくれ。ガキを連れてきたぞ!」


「おっ、またか。今開けるから、待ってくれ」


『ガチャ!』


『ギー!』


鍵が開けられ、扉がゆっくり開いた。


「お前、誰だ? それに、ガキなんかいねえじゃねえか!」


「ちっ、バレたか」


「おい! こいつ、怪しいぞ!」


「そうだな。捕まえるぞ!」


「「うぉりゃー!」」


『ドスッ!』


「うっ!」


『ドスッ!』


「うっ!」


ワンパターンではあるが、鳩尾を殴り意識を飛ばした。


「第二・第三目撃者、完了」


そして、男達から鍵を奪った。



牢屋の前まで行くと、男の子と女の子が向かい合わせの部屋で、別々に五人ずつ入れられていた。


子供達は床に座りながら、不安な顔で黙ってこっちを見ている。

見張りと争っていた声や音は、聞こえていた筈だ。


『ガチャ!』


『ギー!』


「《睡眠》」


牢屋の鍵を開けて中に入り、まずは男の子を眠らせた。


『ガチャ!』


『ギー!』


「《睡眠》」


続いて、女の子も眠らせた。


「《転移》」


そして、次の瞬間転移した。


◇


「おい、お前達起きろ!」


子供達の《睡眠》を解除して、起こしてやった。


「あれっ、ここはどこ?」


「ここは、平民街の空き地だ。俺は、お前達を助けてやった」


「たすかったの?」


「そうだ。助かったんだ。お前は、自分の家の場所は分かるか?」


「わかんない」


「そうか。それじゃ、一緒に探そう」


「うん!」


「他の奴らはどうだ?」


「「「「「「「「わかんなーい!」」」」」」」」


子供達は、首を横に振って答えた。

どうやら、今いる場所が分からないらしい。


「ボク、かえるばしょがない」


「んっ、親はいないのか?」


「うん。しんじゃった」


「今まで、どこにいたんだ?」


「スラム」


「そうか。それじゃどうするか考えるから、みんなを家に帰すまで待ってくれ」


「うん」


身寄りの無い子がいるとは思わず、直ぐに答えが出せないでいた。


◇


「お前ら、お腹は空いてないか?」


「「「「「「「「「「すいたー!」」」」」」」」」」


「そうか、何か食べさせてやる。その前に、体を綺麗にしよう」


子供達に《清浄》の魔法を掛けて、綺麗にしてやった。


「わー、綺麗になったー!」


「ほんとだー!」


「わーい!」


「ついでに、《初級回復》も掛けてやる」


そう言って、《初級回復》の魔法を全員に掛けてやった。


「あれっ! ぶたれたところが、いたくないや」


「わたしもー!」


「ぼくもー!」


あいつらは、幼い子供に手を上げていた。


「くそー、あいつら!」


もっと痛め付けておけばよかったと、後悔した。



魔法袋から、シロップの掛かったパンケーキとホットミルクを取り出し配った。


「お前達、食べていいぞ。腹が減ってたら、歩けないからな!」


「「「「「「「「「「うん!」」」」」」」」」」


子供達はフォークを握り、パンケーキを食べ始めた。


「おいしー。こんなのはじめてたべたー!」


「おいしーね!」


「おー、うめー!」


「お代わりもあるぞ。欲しい奴は言ってくれ」


「ほしいー!」


「わたしもー!」


「ぼくもー!」


「みんなの分あるから、大丈夫だ」


「「「「「「「「「「やったー!」」」」」」」」」」


◇


パンケーキを食べ終わったところで、子供達の家を知っている範囲で聞いた。


それを地図に設定して、近い順に回る事にした。


「よし。これから順番に、家に送るからな!」


「「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」」



子供達の家は、繁華街から外れた住宅街にあった。

平民の中でも、中流層の家庭のようだ。


順番に子供達を送り、いよいよ最後の子になった。


「ボクのうち、こっちだよ!」


「そうか」


家の近くまで来ると、子供達はみんなホッとしていた。


「ここだよ!」


「そうか。早く、家族に顔を見せてやれ」


「うん!」


「じゃあな」


「ありがとう!」


家に入るのを見送ると、直ぐにその場を離れた。


今回、どの家族とも顔を合わせなかった。

事情はいろいろあるのだけれど、その説明は敢えてしない。


「さて、どうするか」


身寄りの無い子供が、まだ一人残っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。