↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
168/406

第八話 新商品の商談

子爵邸を出ると、敷地にある木に隠れ《転移》して自宅に帰った。


「シロン、ただいま」


「ご主人、お帰りって、その服どうしたニャ!」


シロンの指摘で服に視線を移すと、鞭で打たれた痕があり所々擦り切れていた。


「ああ、ちょっとな」


「ちょっとって、何ニャ。それに、メス猫の臭いがするニャ!」


「ごたごたに、巻き込まれたんだ」


「何でメス猫が、ごたごたに関係するニャ?」


「大した事じゃ無いから、気にするな」


「気になるニャ! まさか、メス猫を連れて来たニャ!」


「おいおい、またヤキモチか? 猫なら、いないぞ」


「モフモフがしたいなら、シロンだけすればいいニャ!」


「まったくシロンは、ヤキモチ妬きだな。ほら」


僕はシロンの頭を、撫でてやった。


「メス猫の臭いがするニャ!」


シロンがうるさいので、《消臭》の魔法で臭いを消した。

そして、擦り切れた服も、錬金術で直してしまった。


「そらっ! これならどうだ」


『モフモフ、モフモフ、モフモフ、モフモフ、モフモフ』


「フニャー。もっと、もっとニャー!」


望み通り、気の済むまでシロンをモフモフしてやった。


◇


翌日、ダニエル商会に足を運んだ。


すると、タイミング良くメゾネフさんが店先にいた。


「こんにちは」


「いらっしゃいませ。あれ? ニコルさんですか?」


「ええ、そうです。ちょっと、事情がありまして。もしかしたら、ご迷惑を掛けるかもしれないので、その対策です」


「理由を、お聞きしても?」


「いえ。知らない方が、いいと思います」


「そうですか。分かりました。ニコルさんが仰りたくないのでしたら、追及しません」


「お心遣い、ありがとうございます」


昨日の件が原因で、茶髪のカツラと伊達メガネで変装していた。

地毛が金髪なので、パッと見僕だと分からない筈である。


アルフォードにどこで出くわすか分からないので、王都に来る時はこの格好でいる事にした。



「ニコルさん。ダニエルオーナーも、鏡には驚いてましたよ。今日は、こちらに来てます」


「そうですか。気に入っていただけたようで、安心しました。ダニエルさんが態々来るという事は、金額にも期待できそうですね」


「ええ。ニコルさんに、納得していただけるよう努力します」


「よろしくお願いします」


メゾネフさんは店員を呼び付け、応接室を用意するよう指示した。


僕は待ってる間、『ダニエルさんに会うなら』と言って、カツラと伊達メガネを外した。


◇


店員が戻り応接室に案内されると、そこにはダニエルさんが待っていた。


「お待ちしてました。ニコルさん」


「お久しぶりです。ダニエルさん。いつも、ありがとうございます」


「いえいえ。こちらこそニコルさんのお陰で、繁盛してますよ」


「それは、言い過ぎじゃないですか」


「そんな事ありません。本心です」



ダニエルさんに勧められ、僕とメゾネフさんもソファーに座った。


「それにしても、ニコルさんの扱う製品は、どれも素晴らしい技術ですな。一体、どうやって作ってるのやら」


「ありがとうございます。しかし、仕入れ先や製法は、教えられませんよ」


「ははっ、分かってますよ。今回のガラスの鏡も、透明度・平面度・反射度どれを取っても素晴らしいので、気になっただけです」


「それは、嬉しい評価ですね」


ちなみに、強度も結構あったりする。


「それに、トランプの統一された絵柄も素晴らしい。私は、孫とよく遊んでますよ」


「私のところもです。子供達は、トランプ遊びに夢中です。それでいて、ルールを覚えるのが早いんですよ」


「ははっ。楽しんでいただけて、僕も嬉しいです」


久しぶりにダニエルさんに会った事もあり、この後も暫く世間話しが続いた。


◇


そして、いよいよ本題の商談になった。


「それで、数はどの程度、卸していただけるのですか?」


「そうですね。手鏡は月に三十個。壁掛け鏡の上半身用は二十個。全身用は十個というところですね」


「ほー、そうですか」


「これなら」


「そうだな」


ダニエルさんとメゾネフさんが、ひそひそと話し出した。


数はもっと出せるのだが、いつものように控えめにした。

ダニエルさんが、この数に満足しているのかいまいち分からない。



「いかがですか?」


「ああ、失礼。贔屓にしていただいてる貴族の方に、足りるか心配だったんですよ」


「そうですか。それで、足りました?」


「今回だけの取引では、無いのでしょう? 上手く調整しますよ」


「よろしくお願いします」


「それで、金額の方ですが」


「はい」


ダニエルさんから提示された金額は、手鏡が十五万マネー。

壁掛け鏡の上半身用が、四十万マネー。

全身用は、百万マネーだった。


今回も僕が想定した金額の上を提示してくれたので、そのまま了承した。

数は先程提示した分を、卸す事になった。


その後、商品を渡して代金を受け取ると、商談は終わった。


「どうもありがとうございました」


「来月も、頼みますよ」


「はい、分かりました。それでは、失礼します」


僕は礼を述べて、ダニエル商会を後にした。


売り上げ金額は二千二百五十万マネーにもなり、ダニエル商会との取り引き金額が、また増えてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。