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第八話 新商品の商談

子爵邸を出ると、敷地にある木に隠れ《転移》して自宅に帰った。


「シロン、ただいま」


「ご主人、お帰りって、その服どうしたニャ!」


シロンの指摘で服に視線を移すと、鞭で打たれた痕があり所々擦り切れていた。


「ああ、ちょっとな」


「ちょっとって、何ニャ。それに、メス猫の臭いがするニャ!」


「ごたごたに、巻き込まれたんだ」


「何でメス猫が、ごたごたに関係するニャ?」


「大した事じゃ無いから、気にするな」


「気になるニャ! まさか、メス猫を連れて来たニャ!」


「おいおい、またヤキモチか? 猫なら、いないぞ」


「モフモフがしたいなら、シロンだけすればいいニャ!」


「まったくシロンは、ヤキモチ妬きだな。ほら」


僕はシロンの頭を、撫でてやった。


「メス猫の臭いがするニャ!」


シロンがうるさいので、《消臭》の魔法で臭いを消した。

そして、擦り切れた服も、錬金術で直してしまった。


「そらっ! これならどうだ」


『モフモフ、モフモフ、モフモフ、モフモフ、モフモフ』


「フニャー。もっと、もっとニャー!」


望み通り、気の済むまでシロンをモフモフしてやった。



翌日、ダニエル商会に足を運んだ。


すると、タイミング良くメゾネフさんが店先にいた。


「こんにちは」


「いらっしゃいませ。あれ? ニコルさんですか?」


「ええ、そうです。ちょっと、事情がありまして。もしかしたら、ご迷惑を掛けるかもしれないので、その対策です」


「理由を、お聞きしても?」


「いえ。知らない方が、いいと思います」


「そうですか。分かりました。ニコルさんが仰りたくないのでしたら、追及しません」


「お心遣い、ありがとうございます」


昨日の件が原因で、茶髪のカツラと伊達メガネで変装していた。

地毛が金髪なので、パッと見僕だと分からない筈である。


アルフォードにどこで出くわすか分からないので、王都に来る時はこの格好でいる事にした。



「ニコルさん。ダニエルオーナーも、鏡には驚いてましたよ。今日は、こちらに来てます」


「そうですか。気に入っていただけたようで、安心しました。ダニエルさんが態々来るという事は、金額にも期待できそうですね」


「ええ。ニコルさんに、納得していただけるよう努力します」


「よろしくお願いします」


メゾネフさんは店員を呼び付け、応接室を用意するよう指示した。


僕は待ってる間、『ダニエルさんに会うなら』と言って、カツラと伊達メガネを外した。



店員が戻り応接室に案内されると、そこにはダニエルさんが待っていた。


「お待ちしてました。ニコルさん」


「お久しぶりです。ダニエルさん。いつも、ありがとうございます」


「いえいえ。こちらこそニコルさんのお陰で、繁盛してますよ」


「それは、言い過ぎじゃないですか」


「そんな事ありません。本心です」



ダニエルさんに勧められ、僕とメゾネフさんもソファーに座った。


「それにしても、ニコルさんの扱う製品は、どれも素晴らしい技術ですな。一体、どうやって作ってるのやら」


「ありがとうございます。しかし、仕入れ先や製法は、教えられませんよ」


「ははっ、分かってますよ。今回のガラスの鏡も、透明度・平面度・反射度どれを取っても素晴らしいので、気になっただけです」


「それは、嬉しい評価ですね」


ちなみに、強度も結構あったりする。


「それに、トランプの統一された絵柄も素晴らしい。私は、孫とよく遊んでますよ」


「私のところもです。子供達は、トランプ遊びに夢中です。それでいて、ルールを覚えるのが早いんですよ」


「ははっ。楽しんでいただけて、僕も嬉しいです」


久しぶりにダニエルさんに会った事もあり、この後も暫く世間話しが続いた。



そして、いよいよ本題の商談になった。


「それで、数はどの程度、卸していただけるのですか?」


「そうですね。手鏡は月に三十個。壁掛け鏡の上半身用は二十個。全身用は十個というところですね」


「ほー、そうですか」


「これなら」


「そうだな」


ダニエルさんとメゾネフさんが、ひそひそと話し出した。


数はもっと出せるのだが、いつものように控えめにした。

ダニエルさんが、この数に満足しているのかいまいち分からない。



「いかがですか?」


「ああ、失礼。贔屓にしていただいてる貴族の方に、足りるか心配だったんですよ」


「そうですか。それで、足りました?」


「今回だけの取引では、無いのでしょう? 上手く調整しますよ」


「よろしくお願いします」


「それで、金額の方ですが」


「はい」


ダニエルさんから提示された金額は、手鏡が十五万マネー。

壁掛け鏡の上半身用が、四十万マネー。

全身用は、百万マネーだった。


今回も僕が想定した金額の上を提示してくれたので、そのまま了承した。

数は先程提示した分を、卸す事になった。


その後、商品を渡して代金を受け取ると、商談は終わった。


「どうもありがとうございました」


「来月も、頼みますよ」


「はい、分かりました。それでは、失礼します」


僕は礼を述べて、ダニエル商会を後にした。


売り上げ金額は二千二百五十万マネーにもなり、ダニエル商会との取り引き金額が、また増えてしまった。

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