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第五話 新商品の催促

僕は王都へ、商品を卸しに来ていた。


「そうだ。年会費を、納めなきゃ」


最初に商業ギルドに寄り、《年会費》の十万マネーを納め、久しぶりに塩と黒胡椒を卸した。


その後、いつものように《御食事処やまと》で食事をし、《一味唐辛子》を卸した。


「ご馳走様でした」


そして、その足でダニエル商会へ向かった。


《トランプ》が貴族の間で流行り、《賭博》にも使われるよになったと聞く。

そのお陰もあり、売り上げは上々である。



ダニエル商会で商品を卸し大金を受け取ると、メゾネフさんが遠慮がちに問い掛けてきた。


「ニコルさん。そろそろ、新商品はどうですかね?」


新しい商品ならいくらでもあったが、現在卸している商品が売れ行き好調だったので、話しを持ち出すのを控えていた。

はっきり言って、今の売り上げで充分満足していた。


「そうですね。気に入っていただけるか分かりませんが、ありますよ」


「えっ、あるんですか? ニコルさん、水臭いですよ。早く、言ってくれればいいのに」


「一応こちらにも、戦略がございますので」


「そんな意地悪言わないで、拝見させてください」


「分かりました。少々、お待ちください」


僕は魔法袋をまさぐり、商品を取り出した。


「こちらが、その商品です」


そして、メゾネフさんに商品を手渡した。



「これは、《ガラス製の手鏡》。しかも、鮮明に映ってるじゃないですか!」


僕が行商人になって暫く経って知った事なのだが、この国のガラス加工技術は低かった。


窓ガラスで例えると、有色で起伏が有り小さいサイズのガラスを、木枠で幾つも組み合わせていた。

しかも、それでいて高価だった。


僕の扱うガラス製品が高額なのは、芸術性だけでなくそんな理由もあった。


それでいて鏡に使用するガラスとなると、平面度と透明度が要求され、作るのが困難とされていた。


そんな事もあり、ガラス製の鏡はあまり出回らず、鏡と言えば《青銅鏡》が主流だった。

そうは言っても、一般人にとって青銅鏡でも高価であった。


なので、メゾネフさんは驚いていた。



「どうです? 気に入って、いただけましたか?」


「ニコルさん。気に入らない訳、無いじゃないですか。素晴らしい品ですよ!」


「良かった。実は、まだあるんです」


今度は額縁に入った《壁掛け鏡》を、二種類取り出した。

一つは上半身用で、もう一つは全身用である。


「なっ! この大きさで、この品質!」


メゾネフさんは、更に驚いた。


「これらは、必ず売れますよ!」


「気に入っていただけて、良かった。手持ちがありますので、ある程度置いていけますよ」


「あるんですか?」


「ええ。金額さえ決まれば、置いていきます」


「そっ、それでは、早速本店に行ってきます。値段を決めて資金を用意するので、夕方にまた来ていただけないですか?」


「そんなに急がなくても、いいですよ。明日の同じ時間に、また来ます」


「分かりました。お言葉に甘えます」


メゾネフさんは忙しそうなので、早々にお暇した。



帰りに喫茶店に寄り、フルーツショートケーキとブラックコーヒーを頼んだ。


「随分豪勢だな。フルーツが、ふんだんに使われてるぞ」


エシャット村のスーパーで売っているモンブランケーキ・苺のショートケーキ・チーズケーキは、この店を参考にしている。


「ダンジョン産のフルーツを使えば、作れそうだな」


そう呟きながら、スプーンで掬い口に運んだ。


「うん、美味しい。いろんなフルーツを、一度に味わえるなんていいよな」


《ノーステリア大公爵領》で購入している栗や苺は、季節物だけあって数に限りがあった。

残念な事に、どちらも《プラーク街》のダンジョンでは()れなった。


その代わりダンジョン産のフルーツで、ケーキを使ってみようと思い付いた。



「それにしても、挽き立てのコーヒーはいい匂いだ」


サムゼル様にあげたインスタントコーヒーは、この店で買ったものだ。

今日も、買って帰るつもりでいる。


インスタントコーヒーの開発には、多分勇也さんが関わっているに違いない。


紅茶が主流なこの国では、個人用にコーヒーを淹れる機材は販売されてなかった。

なので、コーヒー豆も売ってない。


コーヒー豆が手に入るならば、機材を作ってみてもいいと思っている。



ケーキを食べ終え、インスタントコーヒーをビンで五個買い会計を済ませた。


「ご馳走様でした」


「ありがとうございました」


店を出ようとすると、僅かだが《危機感知》スキルが働いた。


すると、扉から見た事のある人物が入って来た。


「あっ、お前!」


「やばっ!」


「お前ら、そいつを捕まえろ!」


「「はいっ!」」


店の中だったので、僕は逃げる事ができなかった。


「何するんですか。離して下さい」


僕は二人の屈強な男に、腕を捕まれてしまった。

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