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第二話 ウェンディの自白

約束の一週間が過ぎ、マルコさんにケーキ作りを教える日を迎えた。


「みなさん、おはようございます」


「「「「「おはよう!」」」」」


調理室では、パン作りの準備が行われていた。

ウェンディは、休憩室で子供達の面倒を見ているようだ。


「ニコル。今日は、宜しく頼むよ」


「ええ、頑張りましょう」


「早速だけど、何から始めればいい?」


マルコさんは待ちきれず、急かすように言ってきた。


「今日作るのは、《苺のショートケーキ》です。今回も《作業マニュアル》を用意したので、僕が準備を進めてる間、一通り目を通してください」


そう言いながら魔法袋から作業マニュアルを取り出し、マルコさんに手渡した。

最初に作成した作業マニュアルに、特訓している間に得た知識を大幅に書き足し作り直した。


「ありがとう。読ませて貰うよ」


マルコさんは作業マニュアルを受け取ると、真剣に読み始めた。

そして、『へー、そうだったんだー』と、呟いていた。


その姿からは、探究心の強さが伺えた。



マルコさんが作業マニュアルを読んでいる間、調理道具と材料を計量しテーブルに並べた。


従業員の女性陣もケーキを作る事を知っていて、興味深々にしている。


「ねー、ニコル君。ケーキを作るんですって。試食は、させてくれるのかしら」


「いいですよ。でも、食べ過ぎて太っても、僕のせいにしないでくださいね」


「酷い。ニコル君は、私をデ○扱いする気!」


彼女は、頬を膨らませて怒った。


「そんな事、言ってません。あくまでも、食べ過ぎの注意ですよ」


「うふっ、冗談よ」


「もう、驚かさないでくださいよー」


彼女は、僕をからかっただけだった。


「私も、ケーキ食べたいなー」


「「「私もー!」」」


「分かりました。みんなで、試食しましょう」


「「「「「わーい!」」」」」


やはり女性陣は、みんなケーキが好きらしい。


僕は彼女達と会話をしながら、準備を進めた。



すると、僕が今ここでこうしている《元凶》が現れた。


「ヤッホー、ニコルっち。進み具合はどお?」


「来たな、ウェンディ。お前、マルコさんを巻き込んだろう!」


「あれっ、バレた?」


「父さんから、聞いたぞ!」


「へへー。だからって、今更止めないよね?」


「ああ、マルコさんと約束したからな!」


「良かった!」


「その代わり、ケーキ作りの間ウェンディは邪魔だから、調理室に入室禁止だ!」


「ぶー! ケチー!」


「大人しく、待ってろ! ちゃんと、試食させてやるから!」


「それなら、いいや。じゃあねー、ニコルっち」


そう言うと、ウェンディは調理室から出て行った。


「ニコル、ごめんな。ウェンディに唆されたけど、ケーキ作りを習いたかったのは本当なんだ」


マルコさんが、謝ってきた。


「いえ、いいんですよ。気にしないで下さい」


「そうか。それなら、その言葉に甘えるよ」


僕は引き続き、準備に取り掛かった。



準備が整い、真剣に作業マニュアルを読むマルコさんに声を掛けた。


「マルコさん。準備は済みましたよ」


「ん? ああ、済まない。それにしても、この作業マニュアル凄いな。見いってしまったよ」


「ははっ、そうですか」


「僕は想像しながら、ケーキを作った事があるって言ったろ。行き詰って悩んでいた事が、全て書かれている。興奮が押さえられない!」


「それは良かった。それじゃ、そろそろ始めましょうか」


「ああ、そうだな!」


マルコさんが僕の横に立つと、材料と道具の説明から始めた。


「今回使う小麦粉は、《薄力粉》です」


「これが、薄力粉か。作業マニュアルに、書いてあった」


「パン作りで使っている小麦粉は《強力粉》で、種類が違うので間違えないで下さい」


「分かった。でも、そんなに変わるものなのか?」


「ええ、変わりますよ」


「不思議なもんだな」


その後もいろいろと質問を受けながら、マルコさんに説明した。



三十分程掛けて、一通り説明が終わった。


「それじゃ、ポイントを説明しながら作るので、見ていて下さい」


「ああ、頼む!」


「まずは、《スポンジケーキ》作りからです。スポンジケーキの出来で、仕上がりの美味しさはかなり左右されます」


「ふむふむ」


「スポンジケーキ作りは、泡立てが命です。それぞれの工程で泡立てが上手くいかないと、ふんわりと焼き上がりません」


「『スポンジケーキ作りは、泡立てが命』実に名言だ!」


「ははっ!」


こんな感じで、着々とスポンジケーキ作りは進められていった。

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