表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第五章 エシャット村発展編
157/401

第四十八話 ダンジョンコアに近付く交渉

ダンジョンの階段を降りると、魔素の含有率を鑑定してみた。


「《検索ツール》で調べた通り、本当に空気中に魔素は無いんだな」


一方地面と壁を鑑定してみると、こちらには魔素が含まれていた。


「ちょっとやってみるか」


僕は人気の無い場所へ移動し、地面に手を当て錬金術を使ってみた。


「よし、変換はできた。続けて《魔力吸収》」


錬金術で魔素から魔力を作り出す事は可能で、それを直ぐに回収した。

《魔力吸収》は《無属性魔法》の一種で、グルジット伯爵家の魔法書で覚えたものだ。


「駄目だ。錬金術で使った魔力に比べ、吸収した魔力が少な過ぎる」


吸収した魔力量は、使った魔力の一割にも満たなかった。

これなら、普通に商品を作っている方が良かった。


僕は場所のせいで魔素が薄いのかと思い、ダンジョンの奥へ進んだ。

そして、ブロック毎に試していった。


その結果、奥に行くに連れ変換効率は良くなったが、ボス部屋の前のブロックで三割程度だった。



ボス部屋に入ると、速攻でコカトリスを倒し魔法袋と共に《亜空間収納》に回収した。


そして、ボス部屋でも試してみた。


「ボス部屋で、やっと三割五分か。効率悪いな」


僕ががっかりしていると、そこへ魔王サムゼル様が現れた。


「お主、何をしておるのだ?」


「あっ、サムゼル様。ちょっと、実験をしてたんです」


「実験? 何だ、それは!」


僕は正直に、レベル上げの為に魔力が必要な事をサムゼル様に話した。



僕が話し終わると、サムゼル様は呆れていた。


「お主。理由はどうであれ、『ダンジョンコアに、近付くな!』と言ったであろう」


「すみません。でも、まだ近付いてませんよ」


「それは、屁理屈だ。その気満々で、ここへ来たのだろう」


「諦めていたレベル上げが、解決されるかもしれないんです」


僕は、真剣な目で訴えた。


「あの時、お主の言動と表情を見て、嫌な予感がしたのだ」


サムゼル様はそう言いながら、煩わしそうな表情を浮かべた。


「それで、どうなんです? このペンダントがあれば、魔人にならずに済むんじゃないですか?」


「そうだな。あの時は気付かんかったが、そのペンダントをしていれば大丈夫だ」


「それじゃ、ダンジョンコアに案内してくれるんですね」


「お主。無茶を言うでない」


僕はここぞと言わんばかりに、《亜空間収納》からお土産を取り出した。



「それは、何だ?」


「サムゼル様へのお土産です」


「魔王の我を、《賄賂》で釣ろうというのか?」


「いえいえ、単なるお土産です」


「ふん。それで、中身は何だ?」


僕は紙の箱の蓋を開け、中身を見せた。


「これは、ケーキという名のデザートです。私の前世である、異世界の食べ物です」


箱の中には、モンブランケーキと苺のショートケーキと新作のチーズケーキが三つずつ入っていた。


「甘い香りがするな。魔界にも似たような甘味はあったが、この街では見掛け無いな。美味いのか?」


「ええ、凄く美味しいですよ」


「くそっ! 我はこう見えて、甘味に目がないのだ」


「どうぞ、お受け取りください。こちらに合う飲み物も、ございますよ」


僕はそう言って、《インスタントコーヒー》が入った瓶を取り出した。


「何だそれは?」


「こちらも異世界の飲み物で、コーヒーと言います。お湯で薄めて飲みます。苦味があり、甘味と一緒に飲むのに最適です」


「貴様は、思ったより策士だな。分かった。ダンジョンコアの保管部屋には入れられんが、その外らなどうだ?」


「はい。それで構いません」


「そうか。それと、一つ言っておく事がある」


「何ですか?」


「お主は《転移魔法》が使え、強力な結界をも切り裂く《オリハルコン》の剣を持っている。だからといって、一人で行こうとするなよ」


「分かりました。お約束します」


こうして僕は、ダンジョンコアの保管部屋の外まで行ける事になった。



僕達はサムゼル様の《転移魔法》で、保管部屋の外に移動した。


「この中に、ダンジョンコアがある。ボス部屋から、三百メートル程真下だ」


「随分、深いんですね」


「何かあると、大変だからな」


「そうですね」


「ところで、お主。レベルを上げて、我を圧倒するつもりではなかろうな?」


「酷い疑われようですね。私達は、友達ですよね」


「そっ、それはそうだが」


「分かりました。そんなに心配なら、ステータスを下げます」


「ん? お主、何を言っておるのだ」


「サムゼル様は、お気付きじゃなかったんですか?」


「何をだ?」


「私はステータスの《職業》を、変える事ができるんですよ」


「ほう、どれどれ。おお、本当だ。《大魔導錬金術師》にすれば、ステータス数値はかなり落ちるな。それに、元に戻すには半年掛かる」


「やはりサムゼル様は、そこまで()えるんですね。でも、一年じゃなくて半年?」


「ああ、半年だ」


僕は不思議に思い、ステータスを開き確認してみた。


「あっ、本当だ。以前なった事がある職業に変える場合、期間は半分になるんだ」


「お主も意外と、うっかり者だな」


「そうですね。反論できません」


僕は良いタイミングだったので、職業を元に戻す事にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ