表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第五章 エシャット村発展編
154/401

第四十五話 ニコル、存在を明かす

僕は魔王サムゼル様と別れ、一旦プラーク街の別荘に戻った。


そして、二人(二匹)を《亜空間農場》へ迎えに行った。


「ご主人、戻って来て良かったニャ。遅いから、コカトリスに石にされたかと思ったニャ」


「ヒヒーン!」


「シャルロッテも、凄く心配したって言ってるニャ」


「ごめん、ごめん。ちょっと、想定外の事が起こってさ」


「コカトリスが、超手強かったのかニャ?」


「いや。コカトリスは、直ぐに倒したんだ」


「だったら、何があったニャ?」


「知りたいのか?」


「勿体付けなくて、いいニャ」


「ヒヒーン!」


「シャルロッテも、シロンに同意するって言ってるニャ」


二人(二匹)には、オーエン街での出来事も話してなかった。



「そうか、言わないと駄目なんだな。でも、聞いて驚くなよ」


「大丈夫ニャ!」


「ヒヒーン!」


僕は念を押し、二人(二匹)に確認を取った。


「実は、ボス部屋で《魔王》に遭遇したんだ」


「「・・・・・・・・・・」」


二人(二匹)は、僕の言葉を聞いてフリーズしてしまった。


「おい、大丈夫か?」


「ご主人。今、まっ、まっ、まっ、魔王ーーーって言ったニャ!」


「ヒヒーーーーーン!」


「ああ、言ったぞ。やっぱり、驚いたな」


「当たり前ニャ! コカトリスの事なんて、吹っ飛んだニャ!」


「ヒヒーン!」


「それで、魔王と遭遇してどうしたニャ?」


この際なので、シロンとシャルロッテに、オーエン街と今回の件を説明する事にした。



「ご主人。マグマの壁に突っ込むなんて、馬鹿ニャ!」


「ヒヒーン!」


「咄嗟に思い付いた割りには、虚を突く良い手だと思ったんだけどな」


「そんな事言って、ご主人がいなくなったら、誰が美味しい御飯を用意してくれるニャ!」


「ヒヒーン!」


「シロンが重要なのは、そこなんだな」


「それだけじゃ無いニャ! ベッドで添い寝した時、誰がモフモフしてくれるニャ!」


「ヒヒーン!」


「シャルロッテは、ブラッシングは誰がするって言ってるニャ」


「ちょっと、自分達の欲望に正直過ぎないか?」


「そんな事無いニャ! ご主人の事が、大切だから言ってるニャ!」


「ヒヒーン!」


「最初から、そう言ってくれよ」


「それじゃ、最初の方は取り消すニャ」


「ヒヒーン!」


「もう、遅いよ」


この後二人(二匹)して、僕の事をどれだけ好きか語ってくれたが、正直背中がくすぐったかった。



翌日、別荘の厩舎で、シャルロッテのブラッシングをしていた。


「シャルロッテ、気持ち良いか?」


「ヒヒーン!」


シャルロッテは、喜んでいた。


僕はブラッシングしながらも、昨日のサムゼル様の言葉が気になっていた。


「《ダンジョンコア》の《魔素》を、何とか《魔力》に変えられないかなー」


「ご主人、危険な事は駄目ニャ」


「ヒヒーン!」


「シロン、いたのか。でも、上手くいけばレベルを上げられそうなんだ」


錬金術で魔素を魔力に変える事は、たぶん可能だ。

同時に、経験値も得る事ができる。


しかし問題なのは、ダンジョンコアに近付くと、《死ぬ》か《魔人》になってしまうという事だった。


「ご主人はレベルが高いのに、まだレベルを上げたいニャ?」


「今までは、必要経験値が多すぎて諦めてたんだよね。だけど、解決方法があるなら何とかしたいって思うだろ」


ステータスの《職業》を《ダンジョン探索者》に変えてから、《賢者の石魔力量》の増え方も二割程度に減ってしまった。

一年経ってるので《大魔導錬金術師》に戻せたが、また一年間変えられないと思うと、簡単に戻せないでいた。


ちなみに、昨日プラーク街のダンジョンを《制覇》したが、職業に変化は無かった。


「気持ちは分かるけど、危険な事は駄目ニャ!」


「ヒヒーン!」


「それじゃ、安全を確保できればいいんだな」


「そっ、それなら許すニャ」


「ヒヒーン!」


二人(二匹)が納得してくれたので、安全を確保できるようにしてから、サムゼル様に頼む事にした。



シャルロッテのブラッシングが終わった頃、シロンが思い出したように話し掛けて来た。


「ところで、ご主人。コカトリスは、食べないのかニャ?」


「そうだな。もう直ぐお昼だし、何か作ろうか?」


「コカトリスは鳥のようなものだから、やっぱり《唐揚げ》がいいニャ!」


「唐揚げか。いいな!」


早速、《亜空間収納》で調理した。


「よし、できたぞ」


《亜空間収納》から山盛りになった唐揚げの皿を取り出し、それを一つ摘まんで口に運んだ。


「うんめー! なんだこれ! こんな美味い唐揚げ、初めて食べた!」


「ご主人ばかり、ずるいニャ」


「悪い、悪い。ほら、シロンも食べてみろ。熱いから、気を付けろよ」


「はふっ、はふっ、美味い、美味い、美味いニャー!」


たしかに、百グラム一万マネーの価値があった。


後から知った話しだが、コカトリスの肉が街に出回る事はめったにないそうだ。

近隣の貴族から予約が入っていて、その殆どがそちらに回されるらしい。


「ヒヒーン!」


「いいなーって言ってるニャ」


シャルロッテに、唐揚げを食べさせる訳にいかなかった。


「シャルロッテ。《モーモ》をあげるから、許してくれ」


「ヒヒーン!」


「ありがとうって言ってるニャ」


モーモの種を錬金術で《分離》し差し出すと、シャルロッテは美味しそうに僕の手から食べるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ