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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第五章 エシャット村発展編
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第四十二話 ニコル、突然の遭遇①

目的を果たしたので、僕は帰ろうとした。


すると、僕の目の前に突然人が現れた。


「うわっ!」


僕は驚き、思わず声を上げてしまった。

ボス部屋には、中の人が出るまで、入って来られないはずだった。


「お主、強いな。コカトリスを、ああも簡単に倒す奴は久しぶりに見た」


「えーと、どちら様でしょうか?」


「ふっ、分からぬか。なら、()ればよいではないか」


「えっ!」


目の前の人物は、僕が《鑑定》を使える事を知ってる口ぶりで言った。

そして、その人物からは重厚かつ威厳が漂い、只者ではない事は直ぐに分かった。


僕はこの時点で、まだ《鑑定》を使ってない。

しかし、この状況で頭に浮かぶその正体は、《魔王》であった。


僕は言われた通り、目の前の人物を()た。


『やっぱり、魔王か。そう言えば、オーエン街のダンジョンに、一度も行ってないな』


目の前の人物を魔王と知って、僕はそんな事を考えていた。



「あなたは、魔王様なのですね」


「正解だ。ちゃんと、()たのだな」


「はい。推測で『魔王』なんて応えて、間違っていたら失礼ですからね」


「ははっ、違いない。我はこの世界で、嫌われ恐れられているからな。それにしてもお主、『魔王』と知って驚かんのだな。もしや、他の魔王に会ったか?」


「はい。以前、他国のオーエンという街で、お会いしました。名前はその時伺いませんでしたが、鑑定ではたしかカイゼル様だったと思います」


「そうか。それは、我の実の父だ。そして、我が名はサムゼル。覚えておけ」


「はい。申し送れましたが、私の名前はニコルと言います。それで、サムゼル様はどのような御用で、ここへ来られたのですか?」


『ニヤッ』


魔王は僕の質問に対し、怪しい表情を返した。


「それを聞くか? 我は魔王ぞ。聞かぬでも分かるであろう」


「そう言われましても」


「そうか。では、教えてやろう。我がここへ来た理由は、強い奴と戦う為よ!」


「えっ!」


「ハッ!」


魔王はいきなり、無詠唱で《火炎弾》を放ってきた。


『ドゴーン!』


僕は咄嗟に、それを避けた。

しかし、後ろでは壁が大爆発し、崩れ落ちてきた。



「何するんですか!」


「今、言ったではないか。戦う為よ! ハッ!」


魔王はそう言うと、再度《火炎弾》を放った。


『ザシュッ!』


今度はそれを、魔鋼の剣で粉砕した。


「我の《火炎弾》を剣で消滅させるとは、やはりやるな」


避ける事もできたが、これ以上のボス部屋の破壊を防いだのだ。


「そら、今度は連続で行くぞ!」


「ちょっと、待って!」


魔王は僕の制止する言葉を無視して、連続で《火炎弾》を放ってきた。


『ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ!』


「うっ、剣がやばい」


『ザッ』


『バキーン!』


魔鋼の剣が《火炎弾》の威力に耐え切れず、ついに折れてしまった。


『ドゴーン! ドゴーン! ドゴーン!』


折れた剣では《火炎弾》を打ち消す事ができず、咄嗟にかわしてしまった。


その結果、後ろの壁は被弾し、またもや大爆発して大きく崩れた。


「サムゼル様! これ以上続けたら、この部屋は使い物にならなくなりますよ!」


「心配無い。直ぐに戻せる」


『パチンッ!』


魔王はそう言いながら指を弾くと、壁は元通りに戻ってしまった。


僕も似たような芸当はできるが、『流石、魔王』と感心してしまった。


「これで心置き無く、戦闘ができるな!」


「いやいや、僕はそんな事望んでませんって」


「問答無用!」


魔王はそう言いながら、攻撃を再開してきた。



僕は咄嗟に、《亜空間収納》から《氷属性》の魔剣《牙狼剣》を取り出した。


しかし、剣を構える暇が無く、《火炎弾》をまたも避けた。


「フンッ!」


「うわっ!」


『ドゴーン! ドゴーン! ドゴーン!』


一度避けた《火炎弾》が方向を変え、僕を襲ってきた。

だが、《危機感知》スキルが働き、ギリギリ避ける事ができた。


「ちっ! これも避けるか」


「あっぶなー! サムゼル様は、僕を殺す気ですか?」


「さあ、どうだかな。ただ、お主のように強い奴とは、闘わないでおれん質でな」


「そんなの勝手過ぎる! これはもう、逃げたほうがいいな」


『ドスンッ!』


「うわっ!」


「ぬははっ! 既にこの部屋の外には、強力な《結界》が張ってある。逃げようとしても、無駄だ!」


「痛たたたっ! 転移できないのか。困ったぞ」


僕はこの急な展開に、結界を張られた事に気付かなかった。


「それでは、第二ラウンドと行こうか」


『恐らくこの魔王は、ラングレイ伯爵やグルジット伯爵と同類なんだろうな』


僕はそう思いながら、この後どうやってこの状況から脱出するか考えた。

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