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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第五章 エシャット村発展編
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第三十六話 亜空間ゲートの運用

僕の作った魔道具が、村人の流出を招くという問題を抱えたまま、新年を迎えた。


新年だからと言って、エシャット村や各家庭で行事が行われる訳ではなかった。

休みが、ちょっと長いくらいだ。


朝起きると、シロンはまだ寝ていた。

ダイニングキッチンにシロンの食事を用意し、着替えて厩舎へ向かった。


「シャルロッテ、お早う」


「ヒヒーン!」


シャルロッテとスキンシップを取り、いつもは与えない《モーモ》を食事に加えた。


「今日から新年だからな。特別にモーモをやるぞ」


「ヒヒーン!」


シャルロッテに食事を与えると、実家へ朝食をとりに行った。

引っ越しても、実家で食事をするのは、母さんの要望である。


「明けまして、おめでとう」


「ニコルちゃん、おめでとう。新年から、早速補充させて頂戴ね」


そう言って母さんは、僕に抱き付いて来た。


『本当に、何を補充してるのやら』と、思ってしまう。



家族揃って朝食を済ませると、父さんと二人きりになった。


そして、昨日《亜空間ゲート》を作成した事を告げた。


「なっ、そんな物を作ったのか?」


父さんは今まで散々魔道具を見てきたが、この件に関しては相当驚いていた。


「うん。妥協しないで、作っちゃったんだよね」


「妥協しないでって、限度があるだろ。父さんは学が無いから分からんが、それって国王様でも持ってない代物なんじゃないのか?」


「どうだろうね。国王様なら、持ってるかもよ」


《亜空間ゲート》は、二つの扉を《亜空間》で繋げた物である。

二つの扉がどんな距離にあっても、亜空間内は二メートルに固定されている。


国王様が持ってるかはどうでもいいので、敢えて調べなかった。



「ニコル。こんな大層な物の管理を、俺にさせるのか?」


「父さん、村長でしょ」


「いやまあそうなんだが、村長でも荷が重いぞ」


「嫌なら、誰かに任せれば」


「誰かって、誰だ?」


「分からないよ。兎に角、自由に使われても困るから、鍵の管理は頼むよ。人数も制限してね」


「ああ、分かった」


「それと、使用者の名簿を作って、誰が使用して誰が帰って来てないか管理してね」


「名簿だな。分かった」


「それから、使用料金も取るからね」


「金かー。いくらにするつもりだ?」


「そうだね。千マネー位でいいんじゃない」


「千マネーか。安い気もするが、ニコルがそう言うならいいだろう。ところで、ニコル。エシャット村の扉は何とかなるが、プラーク街の扉はどこに置くんだ?」


「それなんだけど、プラーク街に家を買おうと思うんだ」


「家? 大金が掛かるだろう」


「《亜空間ゲート》を、その辺に置けないからね」


「ニコルには、いつもながら負担を掛けるな。それで、家の管理はどうするんだ?」


「家に《結界》を張るから、必要無いかな。時々、見に行くくらいでいいよ。結界の設定で中から外に出た人しか、通さないようにするから」


「そんな事まで、できるのか。ニコルは、本当に凄いな」


「みんなには、内緒だからね。あくまでも、魔道具のお陰って事にしてね」


「ああ、分かってる」


既に能力の一部は村の人達に見せていたが、《過ぎたる力》は災いを招くようで見せたくなかった。



「それで、一つ心配な事があるんだ」


「ニコルが心配? いったい何なんだ?」


「気にし過ぎかもしれないけど、プラーク街を気に入って、エシャット村を出ていっちゃうかも」


「何ー!」


「向こうは、美味しい屋台がいっぱいあるからね。ダンジョンもあるし、稼ぐ手立てがあれば分からないよ」


「村人の流出か。困った問題だな」


「エシャット村の方が住みやすいと思えれば、大丈夫かもね」


「そりゃーニコルのお陰で、昔に比べたら随分住みやすくなったが、ダンジョンのある街と比べられたらなー」


父さんは僕の言葉を聞いて、びびってしまった。


「父さん。心配なら、《亜空間ゲート》を使うの止めようか?」


「いや、少し考えさせてくれ」


「そうなの? それじゃ、決まったら教えてね」


「ああ」


僕は父さんが答えを出すまで、次の行動を待つ事になった。



夕食後、父さんに呼ばれた。


「ニコル。俺は決めたぞ!」


「そう、決めたんだ。で、どうするの?」


「《なんとかゲート》を使うぞ。ニコルが、村を良くしてくれたんだ。出て行く奴は、心配する程多くないだろう」


「そう、分かった。あと《なんとかゲート》じゃなくて、《亜空間ゲート》だからね」


「あっ、ああ。《亜空間ゲート》だな。使わせて、貰うぞ」


「それじゃ、近々プラーク街に行ってくるよ」


「ああ、頼む」


「それと、狩猟班の方は仕事として行かせるのか、休暇を取らせて行かせるのか決めておいてね。給料とドロップ品の扱いが変わってくるから」


「ああ、決めておく」


僕は三日後、シャルロッテの引く馬車で、シロンを連れてプラーク街に出掛けた。

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