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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第五章 エシャット村発展編
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第三十五話 サジとスギルのお願い

養鶏場を後にし自宅へ帰ると、そこにはサジとスギルがいた。


今日は日本で言うところの《大晦日》で、二人は年末年始の長期休暇中だった。

そういう意味では、生き物相手の仕事を押し付けて、ダリルさんとエレンに悪い事をした。


「よー、ニコル。ダンジョンに、行ったんだってな」


「スーパーでダンジョン産の商品を見て、エレナさんに聞いたんだぜー」


どうやら二人は、僕がダンジョンに行った事に気付いたらしい。

しかし、昨日までの行き先は誰にも言ってないので、一ヶ月以上前の仕入れの旅の事を言っているのだろう。


「仕入れが、思ったより上手くいかなかったからな。その分の補填だよ」


僕がそう言うと、二人は突っ掛かって来た。


「何で、俺達を誘ってくれねーんだよ。ダンジョンに、一緒に行った仲じゃねーか」


「そうだぜー」


「そんな事、言われてもなー。仕入れの旅の途中だったし」


「なー、ニコル。俺達、ダンジョンに行きたいんだ。どうにかならないか?」


「お願いだぜー」


いつかこういう日が来る事は、予想していた。

力の有り余ってる僕達の年頃だったら、一度で満足するはずはなかった。


『二人が強くなる事には賛成だが、さてどうしたものやら』


そんな事を、心の中で呟いていた。



「狩猟班の方は、大丈夫なのか?」


「それがよー。俺達狩りの腕前はまだまだだけど、ダンジョンで力やスピードやスタミナが付いたろ。先輩達がそれを羨ましがって、ニコルに話しを付けてくれってうるさいんだ」


「うるさいんだぜー」


「何だよそれ。お前らだけじゃ、ないのか?」


「「そうなんだ(ぜー)」」


「まさか、《亜空間農場》の事は、言ってないだろうな」


「言ってない。言ってない」


「約束したんだぜー」


「そうか、それは良かった。それで、何人いるんだ?」


「俺らと、独身組みの五人」


「クルートも、誘いたいんだぜー」


「八人か。不便だけど、《亜空間農場》を使わないという事ならいいぞ。それと、仕事を長期で休むんだ。狩猟班の班長と父さんの許可も必要だな」


「分かった。許可を取って来る」


「取って来るんだぜー!」


最終的な判断は、父さん達に委ねてしまった。



暫くすると、サジとスギルが戻って来た。


「ニコル、許可が出たぞ!」


「出たんだぜー!」


「良かったな。すんなりいったか?」


「二人共、ニコルの言う事を聞けってさ」


「何それ。お前らの先輩も、いるんだぞ」


「まーな。よろしく頼むぜ!」


「頼むんだぜー!」


結局、行ったばかりのダンジョンに、また行く事になってしまった。



二人が帰ると、父さんの所へ確認しに行った。


「ニコル、済まんな。奴らの面倒を、見てやってくれ」


「そうだね。僕がやり始めた事だから」


「なあ、ニコル。他のやつらにも頼まれたら、どうするるんだ?」


「えっ!」


「みんな、連れて行くのか?」


「いやいや、無理無理。往復だけで、何日掛かると思ってるの?」


「でもな、ダンジョンの食材なんかも評判いいし、街に行ってみたいって声も上がってるぞ」


「そうなの? だったら、狩猟班を連れて行ったら、余計に希望者が増えそうだね」


「それに昨日、『野鶏を増やすの難しくなった』って、言ってただろ。山で狩りをするより、ダンジョンの方が効率良さそうだ」


昨夜のうちに、野鶏の産卵数が少ないせいで、思うように数を増やせない事を伝えている。


「でも、ダンジョンは危険だし、給料やドロップ品の扱いを決め直さなきゃだめだよ」


「それはニコルの言う通りだが、問題は解決すればいいだろ。今まで、そうして来たじゃないか」


「そうだけど」


「それなら、今回も」


「分かったよ。いい案を、考えてみるよ」


そう言うと、僕は自宅に戻った。



リビングのソファーで寛ぎながら、村人達が『プラークの街に、行きたい』と言い出した時、どう対応するか考た。


「行く事を前提に考えると、一番の問題は往復する距離だよな」


当初、シャルロッテでも、片道九日掛かっていた。


この世界の交通事情だと当たり前なのだが、時間と金銭的な負担が大きい。

エシャット村の人達にとって、簡単な問題ではなかった。


「今の収入だと、屋台巡りをするくらいがやっとだな。旅の途中、宿に何回も泊まってたら破産するぞ」


その都度僕が連れて行って、資金援助をする訳にもいかない。

だからと言って、《転移魔法》で送り迎えなんて、尚更したくなかった。


「《亜空間ゲート》」


そんな言葉が、不意に出てきた。


今まで《亜空間ゲート》なんて作った事は無かったが、《空間属性魔法》の《亜空間創成》を《属性付与》すれば理屈上作れる。


「しょうがない。作ってみるか」


「ご主人、何を作るのか二ャ?」


突然、シロンが現れた。


「プラーク街とエシャット村を繋ぐ、《亜空間ゲート》を作ろうと思うんだ」


「そんな物作って、大丈夫なのか二ャ?」


「分からない。でも、僕が彼方此方出掛けてるのに、村の人達はどこにも行けないからな」


「プラークの方が良くて、帰って来ないかもしれない二ャ」


「うっ、有り得るな」


「どうする二ャ?」


「どうしようか?」


その後、運用については、父さんに相談する事になった。


《亜空間ゲート》の魔道具については、ど○でもドアのような扉を二つ一組にして、その間を行き来できる仕様にした。

大量の魔力を使用したが、難なく作れてしまった。


《亜空間ゲート》は仕入れの旅で買った事にして、後は設置するだけだった。

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