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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第五章 エシャット村発展編
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第三十三話 スーパーとパン工房と服飾工房と養鶏場

十一月の下旬の夕暮れ時、僕達は予定より早くエシャット村に帰って来た。


「ワン!」


ワン太が尻尾を激しく振って、出迎えてくれた。


「おっ、ワン太。出迎えご苦労。僕のいない間、異常は無かったか?」


「ワン!」


「そうか。それは良かった。後で魔力を補充してやるから、みんなを集めてくれないか?」


「ワン!」


ワン太に村の状況を確認すると、自宅へ向かった。



自宅に到着すると馬車を車庫に入れ、シャルロッテを厩舎に入れた。


「シャルロッテ、お疲れ様」


「ヒヒーン!」


そして、シャルロッテの食事を用意しようとした時、人の気配がした。


「ニコルちゃん!」


僕はその声の方を振り向いた瞬間、母さんに抱き付かれていた。


「母さん、ただいま」


「やっと帰って来た。母さん、寂しかったのよ。今直ぐ、補充させてね」


前にも思ったが、いったい何を補充してるのだろうか。



二日後、早速僕が仕入れた品やダンジョンのドロップ品が、スーパーの店先に並んだ。


しかし、今年の仕入れ状況は良くなく、値上がりした物が多かった。


去年は運良く、ヤッチマッター街で大量に安く仕入れられたが、今年はそうもいかなかった。

まとまった数量を買う代わり、相場より安くして貰うのが精一杯だった。


その代わり、プラーク街のダンジョンには何度も足を運んだので、こちらは若干安くしてある。

ダンジョンでは、その度に《クロン》の事が話題になっていた。


値段は高くなっても、久しぶりに店に並ぶ商品に、村のみんなは喜んでいた。


「ニコル君のお陰で、いろいろな土地の物が楽しめるわ」


「ダンジョン産のお肉や野菜や果物も、大量にあるらしいわよ」


「モンブランケーキも、あるらしいわ」


仕入れ品の値上がりの不満を解消する為、旅の途中でモンブランケーキを大量に作った。

そして、値段も若干安くしてある。


こんな事もあり、村の人達に顔を合わせる度に感謝された。



パン工房には、新しい器具を導入した。


今までパン生地の醗酵は、王都のパン工房を真似していた。

発酵用の保温ボックスに、お湯を張った容器を入れて温湿度の調整をする物だった。


しかし、これだと作業の手間や管理に、随分と時間を取られていた。


それを改善したいと思っていた僕は、旅の途中でその醗酵用の魔道具を、設計し作ってしまったのだ。

これは、お湯を用意せずとも、自動で温湿度を調整できる優れものだ。


そして、パン生地の手捏ねも大変な作業だったので、同じく魔道具を作成してしまった。


「ニコル。便利な魔道具を手に入れてくれて、本当にありがとう。随分と、お金が掛かったんじゃないのか?」


「うっ、うん。でも、大丈夫。気にしないで、マルコさん」


僕は本当の事を、言えなかった。

魔道具は、未だによその街で買った事にしている。


素直な村の人達は、そんな僕の言葉を疑わなかった。

ちょっと、後ろめたい気持ちがある。



「これからは、効率良くパンが作れるぞ」


「そうですね。これなら、ミーリアの助っ人は、必要なさそうですね」


「えっ! ミーリアちゃんの手伝いは、終わりなのかい?」


「そうしたいんですけど、駄目ですか?」


「ニコル、何か理由があるのか?」


「そうですね」


僕は服飾工房の事を、マルコさんに話した。


「そうだったんだ。なら、しょうがないな。ミーリアちゃんに、直接話してくれ」


「はい。どうするかは、ミーリアに決めさせます」


この事は、服飾工房の準備が整ってから、ミーリアに話す事になった。


この時、魔道具の精麦機と製粉機も作ってあったのだが、また人手が足りなくなりそうなので、パン工房に導入するのは見送った。



パン工房への新しい魔道具の導入も済み、服飾工房に取り掛かった。


建物は完成しているので、何も無い部屋に棚・収納・テーブル等の家具を設置し、ミシン・裁縫道具・マネキン・デザイン画付きの型紙等の仕事道具を配置していった。


服用の生地も、お金は掛かったが、去年の十倍仕入れてある。


「ミーリア。可愛らしいのが、できたな」


「うん。このミシンと型紙があれば、割と簡単にできるね。それに楽しい」


「そうか良かった。ミーリアが断ったら、他の人を探すところだった」


「私、こっちを選んで良かった。ニコルちゃん、女の子連れて来るもん」


「ははっ。まあ、頑張ってくれよ。人手が足りないようだったら、連れて来るぞ」


「うん。そう言えば、お母さんが興味持ってた」


「アリアおばさんか。ミーリアの先生だし、適任かもな」


この後ミーリアは、ミシンを上手く使いこなす練習に、自分が着たい服を作りまくるのだった。



服飾工房の立ち上げも済み、今度は《野鶏》を村で飼う為に、養鶏場を建てていた。


「よし、できたぞ」


養鶏場は、割りと早くでき上がった。

餌の準備もできたし、野鶏を捌く施設も別に建てた。


「後は、これを誰にまかせるかだ」


毎日の餌やりと、掃除は結構面倒だ。

それに、卵の回収に野鶏を捌かなきゃいけない。


「兄ちゃん。これは、何の建物だ?」


「クルートか。野鶏という鳥を、ここで育てるんだ。これで、肉とたまごが定期的に、手に入いるようになる」


「いいなー、肉かー」


「なあ、クルート。鳥の世話を、毎日してくれそうな人を知らないか?」


「俺やってもいいけど、《土属性魔法》が畑で活躍してるからなー」


「クルートは、畑の方から抜けないな。誰かいたら、教えてくれよ」


「分かったー」



暫くすると、クルートが戻って来た。


「兄ちゃん、連れて来たー。隣りのダリルおじさん」


「もう、連れて来たのか? 随分、早いな。ダリルさん、鳥の世話やってくれるの?」


「ああ、別に構わんぞ。ニコルが、新しい事をしようとしてるんだ。協力しないとな」


「ありがとう。それじゃ、詳しい説明をするから、父さんのところに一緒に来てくれるかな?」


「ああ、いいぞ。それと、一番下のエレンも一緒でいいか?」


「うん、いいよ。一人じゃ、大変だからね」


「済まんな」


こうして、野鶏の飼育の件も何とか目処が付いた。


これで、《亜空間農場》の野鶏の世話をしなくて済むし、エシャット村でも肉とたまごが確保できそうだ。

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