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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第五章 エシャット村発展編
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第三十話 家畜の仕入れ

《ノーステリア大公爵領》の領都の門をくぐると、その足で商業ギルドを訪れた。


美人揃いの受付けに並び、暫く待つと順番がやって来た。


「こんにちわ。Gランクギルド会員のニコルと言います」


挨拶をしながら、受付嬢に会員証を見せた。


「いらっしゃいませ。本日は、どのようなご用件でしょうか?」


「実は乳牛や豚や鶏を、生きたまま仕入れたいんですけど」


今回この領地へ来た目的は、家畜を仕入れる事だった。

それを持ち帰って、エシャット村で育てるという寸法だ。


この領地では、大量の肉をよその領地より安く売っているので、手に入り易いんじゃないかと思ったのだ。


だが、僕の期待とは反対の応えが返ってきた。


「残念ですが、家畜は簡単に売って貰えませんよ」


「どうしてですか?」


「今は価格が安定してますが、二十年位前に家畜の売買が原因で、価格競争が起きたんです」


「価格競争ですか?」


「家畜を買い集め年数掛けて増やし、お肉やなんかを安く売り始めた人がいたんです。買う側にとっては、嬉しい事なんですけどね」


「へー」


「それからも、似たような事がいろんな商品で起こって、この領地の物価は安くなったという経緯があります」


「誰かの意図で、操作されてるみたいですね」


「大きな声では言えませんけど、これらを仕組んだのは、現在の領主様という噂です」


「それ、僕に話していいんですか?」


「あくまでも、噂ですよ。ここだけの話しにしてくださいね。そういう訳で、よっぽどのコネが無ければ、家畜は売って貰えませんね」


「コネですか。そんなの無いですね」


僕の目論見は、困難なものとなった。


「そっ、そんなに、落ち込まないでください」


僕がよっぽど落ち込んだ顔をしたのか、受付嬢が気使ってくれた。


「はい、ありがとうございます。それじゃ、失礼します」


「また、来てくださいね」


この後買取りカウンターに並んで、塩と胡椒を売って商業ギルドを後にした。



その頃、受付嬢はというと。


『あーあ、行っちゃった。食事にでも、誘いたかったな。イケメン君ったら落ち込んだ顔をして、私の母性本能をくすぐるんだもん』


こんな事を、考えていた。



僕は馬車を取りに、商業ギルドの駐車場へ向かった。


「参ったなー。お金を出せば買えると思ってたのに、コネが必要だとは」


「ご主人、落ち込んでどうしたニャ」


周りに人がいないので、シロンが話し掛けてきた。


「家畜を買うには、コネが必要なんだってさ」


「コネは無いけど、ネコならいるニャ」


「そうだな。ネコなら、目の前にいるな。それじゃ、シロンに何とかして貰うか」


「そんな事、ネコには無理ニャ」


「そうだよな。知ってた」


シロンの駄洒落に応えただけで、別に期待はしてなかった。


「ヒヒーン! ヒヒーン!」


「ウマはいるけど、ウマくいかないって言ってる二ャ」


シャルロッテも、動物駄洒落で乗っかってきた。


「そうだな。上手くいかないな」


上手い言葉が見つからず、適当に応えてシャルロッテを撫でてやった。


「ヒヒーン!」


それでも、シャルロッテは喜んでくれたみたいだ。


この後、鍛冶屋のゴーシュさんのところへ、寄って行く事にした。



ゴーシュさんに鋼のインゴットをまとめて卸した後、家畜関係にコネが無いか聞いてみた。


「兄ちゃん。力になれなくて、すまねえな」


「いや、いいんですよ。駄目元で聞いただけです」


だが、ここでも期待した返事は、返って来なかった。


この後、繁華街で仕入れをしながら、同じ事を聞いて回った。

しかし、どこも同じで、よくある《ご都合主義》的な事は起こらなかった。


「やっぱり、直談判するしかないのかな?」


この日は仕入れを済ませ、シャルロッテを説得して宿に泊まった。



翌朝、領都の門をくぐり壁の外に出た。


そして、大規模な酪農家・養豚場・養鶏場を探した。


最初に、乳牛を育てている酪農家に足を運んだ。


「あんちゃん。いくら金を積まれても、牛は売れねえよ。この領地じゃ、どこに行っても無駄だぞ」


「そうですか。失礼しました」


次は、養豚場に足を運んだ。


「兄さん、帰んな。仕事の邪魔だ」


その次は、養鶏場に足を運んだ。


「お兄さんは、食肉用とたまご用のどっちの鶏が欲しいんだ? うちのは食肉用だぞ。種類が違うんだ。まー、どっちにしろ売らないけどな」


その後いくつか足を運んだが、どこも断られてしまった。



「やっぱり、駄目かー。 しかし、肉用とたまご用の鶏がいるなんて、初めて知ったよ。そう言えば前世で、野生の鶏がいるって聞いた事があるな」


「野生でも何でも、美味しければいいニャ」


「そうだな。探してみよう」


早速、《検索ツール》で探してみた。

すると、ダンジョンの街プラーク付近の森に、結構な数の《野鶏》を見付けた。


「シロン、やったぞ。プラークに、結構いるぞ」


「プラークはダンジョンで肉が手に入るから、狩られてないニャ」


「それ、当たってるかもしれないな。この際、肉用とかたまご用とか言ってられない。兎に角、確保しに行くぞ」


僕達は、《転移魔法》でプラークの街に向かった。

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