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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第五章 エシャット村発展編
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第二十九話 仕入れの旅、再び

二日間掛けてミーリアに白パン作りの作業指導をし、三日目にマルコさんに引き渡した。


「マルコさん、ミーリアを頼みますよ」


「ああ、任せてくれ。ミーリアちゃんは、筋がいいから助かるよ」


「ミーリア。みんなの言う事を、ちゃんと聞くんだぞ」


「うん、分かった」



パン工房を後にすると、僕は直ぐに建築中の服飾工房に取り掛かった。


中途半端にしておくのは嫌なので、行商に出る前に建物だけは完成させたかった。

建物は平屋で、シンプルな造りにした。


そして、三日後に建物は完成した。


「よし、できたぞ。設備や道具は、帰って来てからでいいな」


魔道具のミシン・裁縫道具・型紙・マネキンなんかは、既に作ってあった。

ミーリアはしばらくパン工房で働いて貰うので、服飾工房が稼動するのは当分先である。


「九月に入った事だし、去年仕入れたところへ行くには、丁度いいな」


そんな独り言を呟いていると、シロンがやって来た。


「ご主人、終わったのかニャ?」


「ああ、今完成したところだ。これで、行商に出れるぞ」


「それは良かったニャ。それで、いつ行くニャ?」


「そうだな。明日は休みにして、明後日の朝だな」


「そうか、明後日ニャ」


厩舎へ行き、シャルロッテにも同じ事を伝えた。


「ヒヒーン!」


「そうか。そんなに、遠出が嬉しいのか」


シャルロッテは、喜びのあまりステップを踏んだ。


「ハァ。後は、母さんの説得だな」


自然と、溜め息が出てしまった。



一昨日の夜、母さんに行商に出る事を伝えた。


案の定、母さんに駄々を捏ねられ、引き止められてしまった。


そして今まさに、僕達はエシャット村を、旅立とうとしている。


「母さん。その風呂敷は、何なの?」


「母さんも、ニコルちゃんと一緒に行くのよ」


母さんは、満面の笑顔で応えた。


「えっ、マリアおばさんも行くの? だったら、私も行く!」


見送りに来たミーリアも、母さんの言葉に反応して、そんな事を言い出した。


「母さんも、ミーリアも、連れていかないからな」


「「やだ、連れてって!」」


「母さんね。一度でいいから、ニコルちゃんとお出掛けしたかったの」


「私もニコルちゃんと、また旅をしたい」


二人は、真剣な顔で懇願して来た。


「僕は仕事で行くんだから、駄目だよ」


「ニコルちゃん。母さんは若い時、お父さんと領都に行ったきりなの。だから、お願い」


僕はそこで、この場を凌げるいい案は無いか考えた。


「母さん。今回は、我慢して。行商から帰って来たら、考えるから」


「ホントに?」


「本当だよ」


「ニコルちゃん。私もいい?」


「ああ、いいよ。だから、二人は今回留守番だ」


「「うん!」」


仕方なく、こんな約束をしてしまった。


僕は御者台に乗り、二人に声を掛けた。


「それじゃ、行くよ」


「「気を付けてねー!」」


馬車を走らせると、二人は手を振って見送ってくれた。



僕達が最初に向かった場所は、《ヤッチマッター街》だった。


一気に《転移魔法》で、馬車ごと飛んでしまった。


「ヒヒーン! ヒヒーン!」


「ご主人を乗せて、もっと走りたかったって言ってるニャ」


「ごめんな。時間を、あまり掛けてられないんだ」


シャルロッテは、ちょっと不服そうにしていた。


「それじゃ、ミルフィーユお婆さんのところに行くぞ」


「ヒヒーン! ヒヒーン!」


「『およよー』の御婆さんのところね。任せてって言ってるニャ」


「ああ、任せたぞ」


馬車を走らせると、シャルロッテの機嫌は直ぐに良くなった。



「ミルフィーユお婆さん、お久しぶりです」


「およよー、イケメンのお兄ちゃんじゃないか」


「また、落花生を買いに来ました」


「およよー、嬉しいねー。でも、今年も豊作たけど、去年程じゃないんだよ」


「ええ、流石に同じ値段にしろとは、言いません。でも、安くして貰えたら、嬉しいです」


「分かったよ。十箱までなら、半額にするよ。およよー」


「はい、それでいいです」


僕はこうして、去年回った街や村を中心に、いろいろと仕入れていった。


そして、《転移魔法》で頻繁に訪れている《ノーステリア大公爵領》にも、いつもと違う用件で足を運んだ。

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