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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第五章 エシャット村発展編
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第二十二話 お嬢様達との再会

貴族街へは、ラングレイ伯爵家から貰った通行証を見せると、すんなり入る事ができた。


相変わらず街並みは綺麗で、屋敷はでかく豪奢だ。

やはり、僕には場違いである。


歩いてラングレイ伯爵家へ向かい、到着するといつぞやの執事が出迎えてくれた。


「お待ちしておりました。ニコル様」


僕を呼び出し、いずれ訪れる事は聞いていたらしい。

しかし、伯爵様もエミリも屋敷にいないので、応接室で待つ事になった。


エミリの方は学園が終わり、じきに帰って来るそうだ。



『ドンッ!』


お茶を飲みながら待つと、ドアを勢い良く開け、エミリが応接室に入って来た。


「酷いよ、ニコル君。全然、顔も出さないで!」


エミリは僕の顔を見るなり、声を張り上げた。


「久しぶり、エミリ。元気だった?」


「見ての通り、元気よっ! それで、何普通に挨拶しちゃってるのよっ! こっちは、怒ってるんだからね!」


「やっぱり怒ってるんだ。それなら謝るよ。ごめん」


「ニコル君、本心から謝ってないでしょ。『取り敢えず、謝っとけ』っていうのが、見え見えよっ!」


『やばっ、《魔眼》スキルの持ち主だった』と、心の声。


「ほら、僕にも事情があってさ。村を発展させたり、行商の仕事も忙しいからね」


「だからって、少しくらい時間作れるでしょ!」


『コン、コン!』


エミリと言い合いをしていると、ドアがノックされた。


「どうぞ」


エミリが返事をすると、メイドに案内されて、ユミナが入って来た。


「お久しぶりです。ニコル君。元気そうですね」


久しぶりに見たユミナは、益々綺麗になっていて見蕩れてしまった。


「久しぶり。ユミナも、元気そうだね。少し、背が伸びたんじゃないか?」


「うん、五センチ位。でも、ニコル君も伸びたでしょ?」


「座ってても、分かるんだ。僕も、五センチ位伸びたかな」


「何かそこだけいい雰囲気に、なってるわね」


エミリが、二人の再会に横槍を入れて来た。


「そんな事無いよ。普通に、挨拶してただけじゃない」


「二人共、立ち話も何だし座って話そうか?」


「そうね。そうしましょ」


二人がソファーに座ると、メイドさんが来て紅茶を淹れてくれた。



メイドさんが部屋を出ると、エミリがとんでもない事を言い放った。


「ねえ、《ガーランド帝国》の進攻で、《エステリア王国》の二度の危機を救った《英雄》って、ニコル君だよね?」


「えっ! 何それ、何の事?」


「私に、嘘は通じないわよ。それに、ステータスの称号に《影の英雄》ってあるしね」


「うっ! これって、何か知らないうちに付いてたんだよね」


「白を切るつもりね。でもね、ユミナが《未来視》でガーランド帝国が攻めてくる事と、ニコル君が関わる事を見てるのよ」


「そんな事言われてもなー」


「ニコル君は認めないけど、もう分かってるんだから」


「ニコル君は、エステリア王国を救った英雄です!」


「困ったなー」


「ふふっ、内緒にしたいようね。弱みを握ったわ」


「うっ、嫌な予感がする」


「何を言ってるの? とてもいい事よ。また私達と、《ダンジョン》に行けるのだから」


「やっぱり、思った通りだ」


「不服なの?」


「僕には、仕事があるんだ。それに、君らはもう充分強いんだから、僕がいなくても大丈夫だろ?」


「だって、後二年で《魔王》が来るじゃない。だから、強くならないといけないのよ。ニコル君となら、むちゃできるでしょ」


「強くなりたいなら、学園なんか行かず毎日ダンジョンに行ったらいいんじゃないか? それに魔王なら、既にこの大陸に大勢いるぞ」


「えっ、魔王ってもういるの?」


「ああ、ダンジョンの数だけいるぞ。しかも、みんなレベル300オーバーだ。対策とかしても、今更どうしようもないよ。それに、魔王達はこの世界を襲う気は無いらしい」


「どうやら、ニコル君の言ってる事は本当みたいね。でも、どうしてそんな事知ってるの?」


「二人には内緒にしてたけど、この間のスタンピードで魔王に会ったんだ。スタンピードの原因も、勇者が魔王に干渉したからなんだって」


「それを聞いたら、ダンジョンに行くの怖くなってきたわ」


「この情報は、秘密だよ。下手に魔王を刺激すると、またスタンピードが起こりかねない」


「脅かさないでよ!」


「ニコル君。ダンジョンに一緒に行くのは、無理なんですか?」


「ユミナ、ごめん」


僕は村の改善を優先したいので、たとえユミナの《お願い》が発動しても、今回は断るつもりだ。



「話しは変わるけど、私のお父さんとユミナのお父さんが、ニコル君に会いたがってたわよ」


「何で?」


「私の剣とエミリの杖を、改造してくれたお礼がしたいんだって」


「私のお父様ったら、『杖を譲ってくれないか?』って、言ってました。もちろん、断りましたけど」


「王都だったら、もっといいのが売ってるんじゃないか?」


「そんな事、ありません。ニコル君のした《付与》は、凄いんです」


「そうかなー?」


「そうです!」


「ところで、ここに呼び出したのは伯爵様、それともエミリ?」


「私だけど」


「だったら、伯爵様に会わなくてもいいよね?」


「えっ、会わないの? 私達の急成長と改造した武器を見て、報酬が少なかったと嘆いてたわ」


「別に、気にしなくていいよ。大事な書物を、見せて貰ったからね」


「そんな事言って、私達やお父さん達から逃げようとしてるんじゃないの?」


『ギクッ!』


「そ・ん・な・こ・と・な・い・よ」


僕は図星をつかれ、言葉が片言になってしまった。


「それは嘘ね! そうか、ニコル君はそう思ってるんだ」


「だって、しょうがないじゃないか。貴族と関わると、高確率で厄介事に巻き込まれるだろ!」


「それを言っちゃうのね! 否定できないから、余計に悔しい!」


その後も話しは続いたが、結局ダンジョンに同行するのも親に会うのも断った。


ただ、僕に用事がある時は、ダニエル商会支店経由で連絡を貰う事になった。

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