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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第五章 エシャット村発展編
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第二十一話 呼び出し

収穫祭の片付けも終わり、僕は厩舎で余韻に浸っていた。


「収穫祭、少しは盛り上がったな」


「シロンのアドバイスのお陰ニャ」


「ふっ、そうだな」


「ヒヒーン!」


今年のエシャット村の収穫祭は、ワインや肉の登場でいつもより盛り上がった。

収穫や脱穀が早く終わり、例年より早い時期に行われたが、疲労感など無くむしろ元気だった。


「村が豊かになる為には、こういった行事はもっと盛り上げた方がいいな」


そう呟くと、人の気配を感じた。


「ニコルちゃん、お疲れ様」


「ミーリアか。今日は、一緒にいてやれなくてごめんな」


「いいよ。ニコルちゃん人気者だし、一緒にいたらやきもち妬いちゃう」


「そうか。ところで、ウェンディのお守り大変だったな」


「うん。お肉の行列に、三回も並んじゃった。二回目と三回目は、私の分をウェンディにあげたんだから」


「ハハッ。ウェンディは、本当食いしんぼだな」


「うん。それでウェンディがね、『このお肉料理、絶対ニコルっちが作ったんだ』って、言ってたよ」


「うっ、バレてるのか」


「だって、唐揚げがあったもん。ダンジョンで食べたの、美味しかったから覚えてるよ」


「そうだったな。明日から、大変そうだ」


この後もしばらく話し、ミーリアは『夕食の手伝いがある』と言って、家に帰っていった。


僕の方もシャルロッテに食事を食べさせ、シロンと一緒に実家で食事をした。



翌日、僕はウェンディから逃げるように、王都に来ていた。


そして、昼食時に《御食事処やまと》に足を運び、食事を済ませてから《一味唐辛子》を卸した。


「おい、どうだった?」


「ピリ辛が食欲をそそって、美味しかったですよ。この後仕事が無かったら、ビールを飲んでました」


「おお、そうか。兄ちゃんにそう言って貰えて、嬉しいぜ」


僕が食べたのは、《手羽のピリ辛焼き定食》だった。

店ではピリ辛が流行りつつあり、ビールの売れ行きが上がってるそうだ。


「それじゃ、ご馳走様でした」


「ああ、またな」


今回は御代を払って、店をお暇した。


その後、商業ギルドに足を運び、忘れていた年会費の十万マネーを支払った。



商業ギルドの後は、ダニエル商会支店に足を運んだ。


「こんにちは、メゾネフさん」


「いらっしゃい、ニコルさん。待ってましたよ。トランプですが、家族で遊んでみたら嵌りましたよ。実に面白いです」


「それは、良かった」


「ダニエルオーナーにも遊び方を説明したら、嵌りましてね。販売の方も、凄く乗り気でしたよ。ニコルさん、早速卸していただけないですか?」


「そうですね。ぜひ、お願いします。でも、その前に金額を決めてからですね」


「おお、そうでした。私とした事が、事を焦ってしまった。金額は、既にダニエルオーナーと決めてます。後は、ニコルさん次第です」


「そうですか。それでは、商談といきましょうか」


商談の結果、トランプは二万マネー、遊戯マニュアルは五万マネーの卸値になった。

そして、トランプと遊戯マニュアルを二百ずつ卸す事になり、これだけで千四百万マネーになった。


その後、他の商品も卸しお金を受け取ったのだが、その金額は商品が増える度どんどん大きくなった。


『順調過ぎて、怖いな』


そんな事を考えていると、メゾネフさんから思いも掛けない事を伝えられた。



「ニコルさん。商談が終わったところで、伝えなければならない事があるんです」


「メゾネフさんに、改まってそう言われると怖いですね」


「すみません。実は《ラングレイ伯爵家》の使いの方がこちらに見えて、ニコルさんが来たら『絶対、屋敷に来るよう伝えてください』と、言われました」


「ラングレイ伯爵家の方ですか?」


「ええ。何でもニコルさんは、お抱えの行商人だとか。それで、用事があると言ってました。でも、その時疑問に思ったんですよね。お抱えなのに、何でわざわざうちに言伝を頼むのだろうと」


「はあ、どうもすみません。ラングレイ伯爵家には、グルジット伯爵家経由で一度だけ商品を売った事はありますが、他にお抱えの行商人がいるのに僕がしゃしゃり出るのはどうかと思いまして、ずっと御伺いしてなかったんです」


「そんな事で、大丈夫なんですか?」


「さー、どうですかね」


「今回は、伺って下さいよ。ダニエル商会の立場もありますし」


「でも、何か嫌な予感がするんですよね」


「ニコルさんっ!」


「分かりました。そんな事、言ってられないみたいですね」


「お願いします!」


こうして僕は、ラングレイ伯爵家へ赴く羽目になってしまった。


「たぶん、あの件だと思うんだよな」


あと一ヶ月も経たないうちに、夏休みを迎えるのだった。

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