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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第五章 エシャット村発展編
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第十八話 商品の売り込み

僕は一ヶ月振りに、王都のダニエル商会支店に来ていた。


《トランプ》の《遊戯マニュアル》が完成し、そろそろトランプとセットで売り込もうと考えている。

遊戯マニュアルは、分かり易くイラスト解説入りである。


新作のグラスの方はどうなったかというと、昨年の十月から既に卸している。

今までの色に濃淡のグラデーションを付けて芸術性を増した結果、現行品より五千マネー高い二万五千マネーになった。


売れ行きの方は、高額になったにも関わらず好調だった。

また、ボックスティッシュの売れ行きも良く、貴族の屋敷で必需品になりつつあった。



卸した商品の代金を受け取り、僕はいよいよトランプの売込みを始める。


「メゾネフさん。今日は新商品を、お持ちしました。ご覧になっていただけますか?」


「ええ、勿論です。ニコルさんの商品なら、喜んで拝見しますよ」


メゾネフさんは、にやりと笑う。


僕は魔法袋から商品を取り出し、テーブルの上に置いた。


「こちらは、《トランプ》という名の遊戯を目的としたカードです。遊戯方法はいろいろあり、こちらの《遊戯マニュアル》と言う本にまとめました」


そして、カードを箱から出して、一枚一枚テーブルに並べた。

スペード・ハート・ダイヤ・クラブ各十三枚とジョーカーを二枚。


まずはカードの種類の説明をし、遊戯方法を実際に遊びながら説明していった。

そして、『勝敗でお金を掛けて遊ぶ事もできますが、のめり込むと破産する危険性をはらんでます』と説明した。


そこまで聞くと、メゾネフさんは『ごくり』とつばを飲み込んだ。


「まあ、《賭け事》をするしないは、本人の責任ですがね。本来は、《楽しく遊ぶ》ものです」


「まだ、遊戯方法も含めて理解が及びませんが、何やら売れる気配がします」


「これは預けますので、実際に遊んでみてください。そうしないと、売る時大変でしょうから」


「そうですね。おっしゃる通りです」


この後、トランプと遊戯マニュアルの預り証を受け取ってお暇した。



「丁度、昼飯時だな。《御食事処やまと》に、寄って行こうか」


店に入りテーブル席に着くと、ギョーザとチャーハンを頼んだ。


しばらくすると、店主自らチャーハンとギョーザを運んで来た。


「よー、兄ちゃん久しぶりだな。元気そうで、何よりだ」


僕は店主の顔を見て、ある事を思い出した。


「ええ、お陰さまで。ところで店長さん、《一味唐辛子》の原料の《唐辛子》を、まとまった量収穫できたんですけど欲しいですか?」


そう会話をしながら、話しとは関係無い《ラー油》を魔法袋から取り出した。

これは、今から食べる餃子用のものである。


「勿論だ。手に入るんだったら、多少高くても買うぞ。って言ってるそばから、また何か出しやがったな!」


「ああ、これはラー油と言って、餃子用の醤油に数滴垂らして使うんですよ。一味唐辛子と数種類の調味料と油を、混ぜたものです」


「おいおい、また俺の感が疼いてるぜ。これを、食わなきゃならねえと。兄ちゃん、餃子一皿やるから食わせてくれ!」


「またですかー。しょうがないですね」


前世の食堂のように、自由に使える調味料は、客のテーブルには置いてない。

この世界で調味料は貴重なので、醤油は予め小皿に出された。


僕はその醤油の小皿に、専用の極小スプーンで掬ったラー油を垂らす。

そして、箸を持って待ち構えている店主に勧めた。


「どうぞ、食べてください。その代わり、餃子一皿お願いしますよ」


「ああ、もう作らせてる。それじゃ、いただくぜ」


店主はラー油の混ざった醤油に、餃子を付けて口に運んだ。


「かれー! でも、うめーぞ。すげー餃子と合う。もう一個くれ!」


「いいですよ。あと、二個までなら」


皿には元々、大ぶりな餃子が六個乗っていた。


「かたじけねー。もぐもぐ、カーッ、ビールが欲しくなるぜ!」


すると、店主はビールをコップに注ぎ、飲み始めてしまった。


『この人、大丈夫なのか? これくらいじゃ酔ったりしないだろうけど、『店主が客から料理を貰って、ビールを飲んでる』なんていう、悪評の方が心配だ』


そんな僕の心配を他所に、店主は餃子をもう一個食べて、ビールを飲み干した。


「プハー! こりゃ、ビールが進むぜ。食事が終わったら、声を掛けてくれ。俺は、調理場にいるからよ」


「はい」


今更だが、『もう少し、落ち着いて食べたかったなー』と、心の中で思った。



食事が終わると、店主を呼んで貰い商談が始まった。


その結果、一味唐辛子を一月に一キロずつ卸す事になり、金額は二十万マネーでまとまった。


以前売ったのが、百グラムで十万マネーなので、今回はその二割の額である。

それでも、店で採算が取れるのか、こっちの方が心配になった。


商談が決まった事もあり、お近づきの印にラー油を小瓶に入れ分けてあげた。

ついでにレシピも渡し、アレンジした《食べるラー油》の情報も教えてやった。


「兄ちゃん、ありがとな。これで、考えていた新作料理をメニューに増やせるぜ」


「いえいえ、こちらこそありがとうございました。また、一ヶ月後に来ます」


「おう、待ってるぜ」


そして、僕は店をお暇するのだが、店主は今回も御代をただにしてくれた。

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