第十四話 新たなダンジョンの街⑤
僕達は朝早くから、三ブロック目に来ていた。
「このブロックは、昨夜食べた《ニーワトリ》だけだ。村の為にも、いっぱい倒してくれよ!」
「「「「「おー(だぜー)!」」」」」
既に地図を買いに行った事はみんなに伝えたので、魔物の名前を言っても問題なかった。
だが、彼らは地図や魔物の名前なんてどうでもよく、『昨夜食べた唐揚げを、また食べたい』という気持ちで、いっぱいだった。
『ドロップ品は、全て僕の物』という約束は、いつしか崩れ掛けていた。
それは兎も角、彼らには実力を付けると共に、少しでも村のお肉事情を改善できるよう頑張って貰いたかった。
そんな事を思ってる矢先、サジが愚痴をこぼし出した。
「でもよー、ニコル。こんな鳥じゃなくて、もっと強そうな魔物が良かったぜ」
「サジ。ニーワトリを狩れるようになってから、文句を言ったらどうだ」
「ちぇっ、分かったよ」
そう言ってサジは、ニーワトリを追い掛けて行った。
「あーあ、一人で狩りに行っちゃったよ。動きが早いから、苦戦するぞ。みんなは、四人で協力したほうがいいぞ」
「「「「分かったー(だぜー)!」」」」
僕は昨日同様手出しをせず、怪我をしないようみんなを見守った。
◇
「一羽ゲットしたぞー!」
サジは一羽分の肉と魔石を持って、声を張り上げながら戻って来た。
「おっ、やっと戻ってきたか。お疲れ様」
「すばしっこくて、くたびれたぜ」
「一羽だけなの? 私達は、四人で六羽よ。もっと、頑張ってよ!」
「くそー、六羽かよ! お前らに負けるなんて、情けないぜ!」
「サジ。みんなで協力した方が、効率いいぞ。先のブロックに進んで、違う種類の肉も手に入れたいんだ。ここだけに、かまけてられないぞ」
「分かったよっ!」
サジにはこう言ったが、残りの四人も決して順調だった訳ではない。
ミーリアは攻撃魔法が無いので、魔力を込めて引き金を引くと、圧縮した《空気弾》が出る《魔法銃》を与えた。
ウェンディとクルートは、攻撃用で唯一覚えた魔法を使用した。
だが、三人の攻撃がニーワトリに命中する事は無かった。
そこで、クルートに盾を、ウェンディとミーリアに網を渡した。
そして、四人でニーワトリを囲み、攻撃はスギルに任せた。
スギルは盾役だが、剣もそこそこ使えた。
その後、その成果もあり、ようやくニーワトリを仕留める事ができた。
王都で出会ったエミリやユミナのように、日々鍛錬している人と単なる村人では、同じ初ダンジョンでも比べ物にならなかった。
彼らの成長は、長い目で見る必要があった。
◇
僕達は昼食の後三ブロック目を抜け、四ブロック目に到達した。
ニーワトリは肉以外に《たまご》をドロップし、決まって十個ドロップしてくれるので、それはそれで嬉しかった。
そして、このブロックの魔物と対峙すると、今までと違って攻撃を仕掛けてきた。
『ガンッ!』
「スギル、ナイスブロックだ」
「へへっ、任せろだぜー!」
「このブロックの魔物の《ウーコッケイ》は、今までと違って攻撃的みたいだ。みんな、気を引き締めろよ!』
「「「「「おうー(だぜー)!」」」」」
「スギルが盾で魔物の動きを止めて、サジと魔法組み三人は、上手く連携して攻撃するんだ」
「「「「「分かったー(だぜー)!」」」」」
このダンジョンに来て、初めて戦闘らしい戦闘が始まろうとしていた。
戦闘が始まると、スギルとサジが活躍した。
スギルがウーコッケイを盾で止め、直ぐさまサジが剣でぶった切った。
動きの鈍った相手なら、サジの攻撃は当った。
魔法組の出番が無い為、二手に分かれて僕が面倒を見る事にした。
「ほら、《魔法盾》で動きを止めたぞ。今のうちに、魔法を当てるんだ」
「えいっ!」と言いながら、ミーリアが魔力銃で《空気弾》を放つ。
「*****、*******、*****、*******、*******、石弾」
続けて、クルートが《土属性魔法》の《石弾》を放つ。
「*****、*******、*****、*******、*******、水弾」
止めに、ウェンディが《水属性魔法》の《水弾》を放った。
「やったな。三人共命中だ。ウーコッケイを倒したぞ」
「「「へへー」」」
三人は、照れくさそうに笑った。
三人は先程まで、動く魔物に攻撃を当てられず苦労していた。
ウェンディなんか、野菜や果物と同じように、杖で殴り掛かろうとしたほどだ。
「魔力が切れる前に、補充するから集まってくれ」
「「「はーい」」」
こんな感じで、僕達はダンジョンを攻略していった。
◇
ウーコッケイ以降、僕達のダンジョン攻略は、順調に進むかと思われた。
五ブロック目、兎の魔物の《ホーンラビット》。
六ブロック目、山羊の魔物の《ヤーギ》。
七ブロック目、羊の魔物の《ヒツージ》。
そして、八ブロック目に豚の魔物の《ブータ》が現れた。
ブータは力が強く、スギルでは押さえ込む事ができなかった。
攻撃も決め手に掛け、戦闘を断念するしかなかった。
その結果、七ブロックに戻る事を余儀なくされた。
また、ブロックの数が増すごとに擦り傷が増え、ミーリアの《回復魔法》が活躍する事が多くなった。
そして、僕達はダンジョンで十日間過ごし、帰る事になった。
彼らは村の仕事を休んで来ているので、帰る頃には丁度一ヶ月と切りが良かったのだ。
サジが『もっと、いさせてくれ』と頼んだが、僕はきっぱり断った。
彼らの成長だが、元々彼らのレベルは2とか3だった。
それが、派手なレベリングをせずに、全員《レベル7》まで上がった。
これでも、エシャット村の大人と比べると高い方だった。
翌日プルート街を一日グルメ観光し、翌々日帰路に就いた。




