表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第五章 エシャット村発展編
122/401

第十三話 新たなダンジョンの街④

昼食後、充分に休憩しダンジョンに戻った。


先へ進むと、そこは《果物》ブロックだった。


サジ達は飛び跳ねて動き回る果物の魔物を、剣で切り裂き魔法の杖でボコ殴りして倒した。

魔石は野菜と同様砂粒程しかなく、売り物にも魔道具に使う事もできず回収しなかった。


そして、この場所では、ちょっとした困った事が起こった。


「これ、凄く美味しいよ」


手に入れた果物が美味しくて、ウェンディのつまみ食いが止まらなかった。



夕食の時間が近付いたところで、三ブロック目に辿り着いた。


《亜空間農場》に戻る前に、次は何の魔物か確認したところ、そこにいたのは《鶏》そっくりの魔物だった。


「鳥がいるぞ」


「今度は、肉だぜー」


「でもこんな鳥、見た事無いよ」


「この鳥、飛ばないのかな?」


「一羽くらい、捕まえようよ」


みんなは、鶏の事を知らなかった。


養鶏の利権を持った領地の街や村で飼育されていたが、エシャット村にはいなかった。

だが、僕が《ノーステリア大公爵領》で大量に買い込んだ加工肉なら、村で既に売られていた。


「これは村のスーパーでも売ってる、鶏の魔物みたいだ。一羽だけ、捕まえて行こうか」


魔物を《鑑定》すると、《ニーワトリ》と言う名前だった。

やはり、美味しいらしい。


その後、みんなはニーワトリを追い掛けたが、逃げ足が速く捕まえる事も倒す事もできなかった。


「そんなんじゃ、夕食の時間が遅くなるぞ」


そう言いながら、僕は剣でニーワトリの首を切り落とした。


すると、淡い光りの中から、大きな葉っぱに包まれた物体と直径五ミリ位の魔石が現れた。

葉っぱの中身を確認すると、首と足先と羽の無い状態の肉の塊りが現れた。


「やったー! お肉ゲットー!」


ウェンディが、それを見て凄く喜んでいた。



僕がシャルロッテとシロンに食事を与え家に入ると、ミーリアが夕食を作っていた。


せっかくだし、ダンジョンでドロップした食材を、味わってみようという事になったのだ。


そこでミーリアは、『最近、料理の勉強をしてるの』と言って、料理を買って出てくれた。

ウェンディが勉強してる理由を訊ねると、『ニコルちゃんの為』という答えが帰ってきた。


「ミーリア、僕も何か作るよ」


「ニコルちゃん、手伝ってくれるの。やったー!」


僕は今まで、錬金術の《調理》能力を彼らに見せてない。


今更だが、知られたら面倒な事になる気がしたのだ。

特にウェンディが、以前スーパーで売ってるケーキを僕が作ったと知って、もっと作れとしつこかった。


なので、ここでも能力は使わない。

前世の記憶で、作れる物を作るだけだ。



料理ができあがり、みんな食卓に着いた。


「この茶色いのなーに?」


「これは、鳥の魔物の肉で作った《唐揚げ》という肉料理だ。王都で食べたのを、まねしてみた。美味しいぞ」


「本当に? それじゃ、早く食べよ。いただきまーす」


「「「「「いただきまーす(だぜー)!」」」」」


ウェンディの掛け声で、食事が始まった。

ミーリアが作った野菜料理もあったが、みんな初めて見る唐揚げに、真っ先に手を伸ばした。


「「「「「美味しいー(だぜー)!」」」」」


みんな、夢中になって唐揚げを貪り始めた。

僕は試食をしたので、ミーリアが作った野菜スープと野菜サラダを食べた。


「うん、美味しい。みんな、野菜も美味しいから食べろよ」


「でもよ、この肉うめーぞ!」


「何よこれ。何でこんな美味しい物を、隠してたのよ!」


「兄ちゃん、美味しいよー!」


「だぜー!」


「ニコルちゃん。今度、作り方教えてね」


「うん、教えてあげるよ」


山盛りに作ったから揚げは、直ぐに無くなってしまった。

その後に食べたミーリアの料理も、みんなに好評だった。



夕食後の自由時間、僕はこっそり一人でダンジョンに向かった。

日中はみんなの為に、手出しをしなかったのだ。


「ふー、こんなもんかな」


超高速で二時間位動き回り、野菜や果物を大量に収穫した。

特にシャルロッテが気に入った《トウモローコシ》は、三百本手に入れた。



それと、《素材の買取り場所》に行って、地図を買って来た。


地図にはブロックごとに生息する魔物の名前や特徴、そして買取りの標準価格等が書かれている。

朝、その存在に気付いたが、『《鑑定》すれば分かるし、僕には必要ないな』なんて思って買わなかった。


だけど、ダンジョンに入ってしばらくすると、『みんなに魔物の名前を説明するのに、必要だったな』と後悔した。

《検索ツール》や《鑑定》の事は、みんなに内緒にしてるのだ。



《亜空間農場》の家に戻ると、玄関の外にサジがいた。


「おい、ニコル。どこに行ってたんだ!」


サジは僕を見つけるなり、問い詰めてきた。


「えーと、ダンジョンに行ってた」


「何で俺達を、誘わないんだよ!」


「そりゃー、たくさん野菜や果物を確保したかったからだ」


「俺達がいたら、邪魔だって言うのか?」


「サジ達じゃ、僕の移動に付いて来れないよ」


「ニコル、俺達を舐めてるな。いったい、どれだけ収穫したってんだ!」


「えーと、君達の二倍はあるかな」


「ウソだろ。この短い時間で、俺達の二倍だと」


「これが、ダンジョンで力を手に入れた人と、そうでない人の違いさ」


「くそっ! 俺も直ぐに、追い付いてやるからな!」


「頑張れ」


僕はダンジョンで力を手に入れた訳では無いが、『ダンジョンで頑張れば、こうなれる』と、サジに発破を掛けた。


ダンジョン帰りに彼らのステータスを確認したら、一日を通してレベルが上がった者はいなかった。

野菜や果物は経験値が極端に低く、一ポイントにも満たないようだ。


僕は彼らのレベル上げの為にも、明日からは経験値の事も考えながら先に進む事にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ