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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第五章 エシャット村発展編
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第十二話 新たなダンジョンの街③

僕達はパーティーで《ダンジョン探索者試験》を受け、見事合格した。


今回、武器や防具は全て僕が用意した。

高性能の武器や防具を使って、実力を勘違いさせると困るので、一般的な仕様にしてある。


その他にも、この旅で掛かる費用は、全て僕が負担する事になっている。

その代わり、ドロップ品は全て僕が貰う事になっていた。



講習会を受けて分かった事は、このプラークのダンジョンは地下一階だけで、平面に広がっていた。


階段を降りると、外側から中心に向かって、右回りの渦の形をしていた。

ダンジョンは十五のブロックに区切られていて、中心に近付く程強い魔物がいた。


入場料は一人三千マネーで、エーテルのダンジョンに比べ安かった。


そして、出口の手前でドロップ品の買取りをしてくれるなど、ダンジョン探索者に優しかった。

ドロップ品が溜まったら、売ってまた戻れるので、入場料の節約ができた。



翌日になり、僕達はダンジョンへ入場した。


「ニャー!」


シロンは、僕達と一緒に歩けて上機嫌だった。

実はミーリアが職員に確認してくれて、犬くらいの大きさまでの動物なら、連れても大丈夫という事が分かった。


一方シャルロッテは入場できないので、《亜空間農場》で待ってて貰った。


「よーし、やってやるぜ!」


「サジ! 気を付けろよ。調子に乗ってると、怪我をするぞ」


「分かってるよ。でもよ、興奮が治まらないんだ!」



一階の通路を突き当りまで進み、地下一階だけのダンジョンにしては、結構深くまで階段を降りた。

そして、一ブロック目に入ると、皮付きの《トウモロコシ》がぴょんぴょん飛び跳ねていた。


「何だ、これ」


そう言いながら、サジが剣で真っ二つにしたら、淡い光と共に一本のトウモロコシになった。

注意して見ると、砂粒のような魔石も転がっていた。


「サジ、やったな。このトウモロコシも、ちゃんとした魔物だ。初収穫、おめでとう」


「初収穫って、馬鹿にしてるだろ。いいさ、今に見てろよ」


この後、他のみんなも収穫を始めた。

どうやら、こいつは跳ねるだけで、攻撃はしてこないようだ。


《鑑定》すると、名前は《トウモローコシ》という名で、甘くて美味しいらしい。



三十本ほど集まったところで、サジが話し掛けてきた。


「なあ、ニコル。こんなんじゃなくて、もっとつえーのと戦いたいぜ!」


「サジ、舐めてると死ぬぞ。ダンジョンでは、慎重さが大事だ」


「それは、分かるけどよー」


「サジが言いたい事は、分かってる。今は、準備運動だ。もう体がほぐれた事だし、先に進もう」


だがこのブロックは、ずっと野菜しか出現しなかった。

キュウーリ・ナース・トマート・ピーマーン・ニンジーン・ジャガイーモ・レタース・キャベツー・カボーチャ等の野菜系の魔物を、収穫するだけだった。



昼食時になり《亜空間農場》に入ると、僕に気付いたシャルロッテが近付いてきた。


「僕はシャルロッテに食事を与えるから、みんなはこの中から取り出して、先に食事してていいよ」


そう言って、食糧が入った魔法袋をミーリアに渡した。

ドロップ品は、また別の魔法袋に入れて、僕が持っている。


既に、僕が複数の魔法袋を持っている事は、みんな知っていた。


「数に限りがあるから、昨日みたいに食べ過ぎは駄目だよ」


「うん、分かった。ウェンディが、食べ過ぎないように気を付ける」


「ちょっと、ミーリア。何で、私だけなのよ!」


「一番、食べてたじゃない」


「うー!」


そんな会話をしながら、みんなは家に入っていった。



一方シャルロッテの方はというと、寂しかったらしく凄く甘えてきた。


充分に撫でた後、食事の用意をしてやった。

今回はいつもの食事に加え、ドロップしたトウモローコシを、皮ごと与えてみた。


「ヒヒーン! ヒヒーン! ヒヒーン!」


「何これ、凄く甘くて美味しい。もっと頂戴って、言ってるニャ」


「そんなに美味しいのか? 僕も食べてみるか」


僕は《調理》能力で、茹でた状態にしてみた。

そして、それを口に運んだ。


「あっ、甘い。何だこれ。美味しいぞ」


シャルロッテにも、茹でた状態にしたのを与えた。


「ヒヒーン!」


「さっきより甘くなったって、言ってるニャ」


「そうか。今度からは、茹でた状態にした方がいいな。シロンも、食べてみるか?」


「食べるニャ」


「ちょっと、待ってろ」


僕の食べ掛けのトウモローコシから粒を取って、皿の上に置いた。


「ほら、ほぐしてやったぞ」


「やったニャ。ご主人の食べ掛けニャ。もぐもぐ。甘くて美味しいニャ」


「何が『やった』なのか分からないけど、シロンの口にも合うようだな」


ここのダンジョンの食材は、昨日の肉といい侮れなかった。



シロンにもちゃんとした食事を与え、僕は《焼きトウモローコシ》を作ってみた。

そして、人数分を皿に盛って、食堂に向かった。


「食欲をそそる、いい匂いがするー」


食いしん坊のウェンディが、焦げた醤油の匂いに反応した。


「シャルロッテが美味しそうに食べてたから、早速調理してみた」


「これ、さっき倒した魔物なの?」


「そうだぞ」


「私、それ食べたい!」


「食べていいぞ」


僕はそう言いながら、皿をテーブルに置いた。

ウェンディは、一本手に取って口にする。


「何これ、美味しい。甘さと醤油の香ばしさが、たまらない」


「「何っ!」」


それに反応したのは、肉を食べていたサジとスギルだった。

そして、焼きトウモローコシを手に取り、口に運んだ。


「うめー! こんなに美味いなら、もっと狩っときゃ良かった」


「村のトウモロコシより、断然甘いんだぜー!」


二人も、気に入ったようだ。


そして、クルートとミーリアと僕も食べた。


「うん、美味しい。茹でただけのより、こっちの方がいいや」


食事の後、午後から戻ってトウモローコシを収穫するか、先に進むかでみんなで話し合っていた。


「先には、もっといい物があるかもよ」


だが結局、僕の一言で先に進む事になった。

お読みいただき、ありがとうございます。


作者の都合により、投稿ペースを落とさせていただきます。

週末を中心に、週に三本から五本を目指します。

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