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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第五章 エシャット村発展編
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第十一話 新たなダンジョンの街②

僕が《亜空間》をどう説明しようか悩んでいると、みんなが帰って来てしまった。


「これ、見てくれよ。上手そうなのが、たくさんあったぞ!」


「この街、凄いんだよ。美味しそうな屋台や食堂が、たくさん並んでるの。私、ここに住みたい!」


「肉が、大漁だぜー!」


「兄ちゃん。この街、肉が安いぞ!」


「ニコルちゃん、御釣り渡しておくね」


僕はミーリアから御釣りを受け取り、いくら残ったか確認した。


「結構買い込んだのに、随分余ったな」


「うん。本当に安かったんだ」


みんなが手に持つ五つの籠の中には、結構な量の食べ物が入っていた。


良く見れば、どの籠も肉料理が多かった。

普段食べれないから、肉に飢えているのかもしれない。


みんなが馬車に乗り込むと、落ち着いて食事の出来る場所を探した。



街の外れに原っぱがあったので、そこにシートを敷き、食器と魔法道具の水ポットを並べた。


「「「「「「いただきまーす(だぜー)!」」」」」


「さあ、肉を食うぞー!」


「やったー、肉だー!」


「肉だぜー!」


「兄ちゃん、美味しそうだよ。早く食べようよ!」


「ニコルちゃんは、どれ食べる?」


「僕はシロンとシャルロッテに、ご飯を用意してから食べるよ」


「それじゃ、私も」


「ミーリアは、遠慮しないで先に食べてていいよ」


「うっ、うん。分かった」



シャルロッテを荷車から外し、飼葉と野菜と果物と塩、それと水を与えて背中を撫でてやる。


「シャルロッテ、お待たせ」


「ヒヒーン!」


嬉しそうにするシャルロッテを《鑑定》すると、またレベルが上がっていた。

人数が多くて負荷が大きいのに、道中疲れた様子を見せなかった。


ちなみに、荷車は人数に合わせて改造した。


多少の揺れは吸収し、座席の座り心地は抜群で、トイレが付いていた。

しかも、防音・防臭の洗浄式だった。


「シロンは、何食べる?」


「買って来た物から、美味しそうなのを見繕ってニャ」


「分かった」


僕はシロンが好みそうな物を、選んで取ってきた。


「ほら、鶏もも肉。食べ易いように、ほぐしてやったぞ。それと、バナナと水も置いとくぞ」


「ありがとニャ」


シロンはシャルロッテと並んで、仲良く食事を始めた。


今は人語を話しているが、みんなの前では普通の猫を装っている。



「よし、僕も食べるぞ」


「ニコル! この串焼きうめーぞ!」


「それじゃ、僕もその串焼きをいただこう」


見た目は、日本で言うところの大ぶりな焼き鳥だった。


それを口に運ぶと、塩ダレ味に炭の香りがした。

肉自体も良質で、ジューシーで旨味があり凄く美味しかった。


串焼きを《鑑定》すると、《ウーコッケイ》という名の魔物の肉だった。

これだけ美味しければ、魔物とか関係ないよね。



屋台で買った食べ物は、どれも美味しかった。


五つの籠にあんなにあったのに、全部無くなったてしまった。

ウェンディとスギルが大食いなのだが、今回は食べ物が美味しくて、いつもよりみんな食べていた。


食材はどれもダンジョンのドロップ品のようなので、是非手に入れたくなった。

エシャット村で売るのも、いいかもしれない。



そして、食事が終わったところで、僕はみんなに打ち明ける決心をした。


「みんな! お願いがあるんだ」


「何だニコル。あらたまってお願いなんて、珍しいな」


「これから使う魔法の事を、内緒にして欲しいんだ。できれば人に見せたくないんだけど、ダンジョンで便利だから、約束を守れるなら使おうと思う」


「今までもスゲーと思ってたけどよ、やっぱりまだ隠してたんだな。俺は、守るぜ!」


「僕も守るよ!」


「当然、おいらも守るんだぜー!」


「ニコルちゃん。私も守る!」


「私はねー、たぶん守る」


「ウェンディは、『たぶん』なんだな」


ウェンディは、エレナ姉さんと似たタイプだ。自分でも、自身が無いのかもしれない。


「まあ、いいか。みんな、ありがとう。信じるよ」


そう言いながら、《無詠唱》で周りの視界を遮る《結界》を張った。

みんなは恐らく、《結界》に気付いていない。


「心構えしていても驚くと思うけど、覚悟してね」


僕の忠告に、みんなは無言で頷いた。


「ゲート、オープン!」


声にする必要はないのだが、みんなに分かりやすいように声にした。


すると目の前に、《亜空間農場》に通じるゲートが現れた。

これは、《過去の勇者》が開発した《空間属性魔法》の一種、《亜空間創生》で昔作ったものだ。


みんなは、それを見て『ポカーン』としている。



「みんな。この向こうは《亜空間》と言って、魔法袋の中のようなものなんだ。そこに、人が入れる仕組みになってる」


「ニコル。何か訳分かんねーけど、スゲーな」


「ニコル兄ちゃん。向こうに、家と畑があるよ」


「そうだな。移動するから、取り敢えず馬車に乗ろうか」


僕達は馬車に乗り、《亜空間農場》へと移動した。



「この家と畑、ニコルっちのなの?」


「そうだぞ、ウェンディ。この中の物は、全部僕のだ」


「「「「「スゲー(スゴーイ)!」」」」」


スギルは驚いて、語尾に『だぜー』を付け忘れていた。


「この街にいる間、ここで食事や寝泊りをするから、宿は借りないよ」


そう説明して、この後みんなで畑や家を見学して回った。



「なあ、ニコル。旅の途中も、ここで寝泊りさせてくれたら、良かったんじゃないのか?」


「そうなんだけど、みんなには旅やダンジョンの厳しさを、肌で感じて欲しかったんだ」


「そうなのか?」


「『旅やダンジョンなんて楽勝』なんて思い込んで、後で痛い目を見て欲しくないんだ。だから、ここを使うって事は、言ってる事とやってる事が本来矛盾してるんだよね」


「そうか。ニコルは俺達の為に、気を使ってくれてるんだな」


「まあ、そういう事かな」


見学が終わると、この街の《ダン防》に行って、試験の申込みをした。

この街では試験を毎日やっているらしく、明日試験を受けられる事になった。


『ご都合主義が、また出た』と思いつつ、帰りに屋台を回って、ダンジョンで食べる食料を買い漁った。

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