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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第五章 エシャット村発展編
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第十話 新たなダンジョンの街①

母さんが僕の家によく来るようになり、自然と子供達の面倒を見てくれるようになっていた。


その代わりロッシとニーナが、スーパーのアルバイトとして雇われる事になった。

二人共見込みがあるので、『成人したら、このまま正式な従業員になってくれたらな』と思っている。



その一方僕は、これからの《村の防衛》の事も考えていた。


エシャット村が発展すれば、余所から人が来るかもしれない。

そして、その人達が善人だとは、決して限らなかった。


ワン太達に村の警護を任せているが、『やはり村人にも、力を持った者がいた方がいい』と、思っていた。


僕は真意を伝えず、ダンジョンや魔法に興味のある若者の中から、実力者を選抜して鍛えていた。


《少し遡ったある日》


「ヤーッ!」


『カンッ! カンッ! カンッ! カンッ! カンッ! カンッ! カンッ! カンッ!』


「くそっ! ニコル、お前強すぎだぞ!」


「サジ、頑張れ。お前、剣の才能があるぞ。ダンジョンに行きたいなら、弱音なんか吐くなよ」


「やってやるよ! 俺は、もっと強くなるんだ!」


『カンッ! カンッ! カンッ! カンッ! カンッ! カンッ! カンッ! カンッ!』


この後サジは、ダンジョン選抜に選ばれた。



「ニコルちゃん、どお?」


「凄いぞっ! ミーリアには、《聖属性魔法》と《生活属性魔法》の適正があるよ」


「本当? 私、嬉しい」


僕は《魔法適正》を検出する魔道具を作り、村人達に使った。


「これなら、魔力操作と呪文を唱える練習をすれば、いずれ魔法が使えるぞ」


「ニコルちゃん。私、頑張るから教えて」


この後ミーリアは、頑張って魔法が使えるようになった。



五月になり、僕はダンジョン選抜に選んだ村人を連れ、二つ隣りの領地のダンジョンの街 《プラーク》に来ていた。


エシャット村からは、シャルロッテの引く馬車で九日掛かった。


僕は先月、既に十六歳になっていた。

身長もいつの間にか伸び、去年の誕生日より五センチ高く、今は百七十五センチある。


僕がプラーク街のダンジョンを選んだ理由は、初心者向けで一番近くにあり、ダンジョンに入れる年齢も十三歳以上だったので都合が良かった。


それに、食料を百パーセントドロップするという美味しい情報を知って、俄然行く気になった。

大量に獲れたら、『スーパーで、売ってもいいかな』なんて考えている。



道中は宿に泊まらず、テントで済ませた。


僕がいない時、自分達で行くと言い出しかねないから、旅の厳しさを少しでも知って貰いたかったのだ。

だけど、彼らは思ったよりも苦にせず、楽しそうにしていた。


僕がいろいろと、世話を焼いたからかもしれない。


「ニコル。上手そうな臭いが、あちこちからするぞ。何か、食わせてくれよ」


そう言うのは、《剣士》で十五歳男子のサジ。

もう直ぐ十六歳になるので、僕と同じ歳だ。


「兄ちゃん。腹減ったよー」


ちょっと甘えた感じで僕を兄と言うのは、《土属性魔法》使いで十三歳男子のクルート。


「腹が減ったんだぜー」


無理に語尾に『だぜー』を付けて、キャラを立てようとしているは、《盾役》で十六歳男子のスギル。


「私も、私も、すっごいお腹空いたー!」


空腹を強調するこの娘は、《水属性魔法》使いで十三歳女子のウェンディ。


「ニコルちゃん。みんなお腹空いてるし、ご飯にしよ」


そう言うのは、《聖属性魔法》と《生活属性魔法》使いで十四歳女子のミーリア。

以前にも触れたが、この娘は僕の嫁候補である。


「そうだね、僕もお腹空いた。でも、馬車だから屋台で我慢して。その代わり、好きなだけ買っていいよ」


「「「「「やったー(だぜー)!」」」」」


僕は彼らにお金と籠を渡し、買い物するのを馬車で待った。



「ご主人、シロンもちゃんといるニャ。このまま、終わるかと思ったニャ」


「そうだったな。最近、シロンの出番が少なかったな」


「この後、出番あるのかニャ?」


「さあ、それはどうだろうな」


「ヒヒーン!」


「シャルロッテも、出番が欲しいって言ってるニャ」


「ここまで、僕達を運んでくれたじゃないか」


「ヒヒーン!」


「このままでは、忘れ去られると、言ってるニャ。それには、シロンも同意するニャ」


「ダンジョンに、しばらく行くんだよな。シャルロッテは、留守番だな」


「ヒヒーン! ヒヒーン!」


「一人で何日も待つのは嫌、ご主人と一緒にいたいって、言ってるニャ」


「シロンが、一緒にいてやってくれよ」


「嫌ニャ! ご主人に、付いてくニャ」


「困ったな」


「ヒヒーン!」


「ご主人なら何とかなるって、言ってるニャ」


「そんな事、言われてもなー。最悪、《亜空間》に入れて連れて行けるけど、皆に能力の事を打ち明ける必要がある」


僕は無言で、どうするか考えた。



「今回のメンバーなら、いいかな? 打ち明ければ、ダンジョンでも使えるしね」


「結論が、出たのかニャ?」


「うん。シャルロッテには、《亜空間農場》に入ってて貰う。ご飯や休憩の時だけは、会いに行ってやるよ」


行商の旅の途中、《亜空間農場》に建てた家に何度も寝泊りしていた。

シロンもシャルロッテも、その存在を知っている。


「ヒヒーン!」


「ありがとうって、言ってるニャ」


「ああ。僕も、シャルロッテの気持ちを考えてなかった。ごめんな」


僕はこの後、みんなになんて説明するか悩んでいた。

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