第八話 給料増額と増えたスーパーの商品
僕が家を建てている間、村では何度か会合が開かれた。
その時父さんは、村人から給料を上げる理由と資金の出所を問い立だされた。
嘘を付く訳にもいかず、僕が王都で大金を稼いだ事も、街や村でいろいろ仕入れて来た事も打ち明けた。
「という訳なんだ」
「いやー、ニコルは以前から凄いと思っていたが、本当に凄いな!」
「ニコルは、エシャット村の希望だ!」
「ジーン。お主の息子は、たいしたもんだ!」
「それじゃ、みんな賛成してくれるんだな」
「「「「「おう!」」」」」
「それじゃ、細かい事を詰めていくぞ」
会合に集まった人達は、この先村が変わっていく事を感じていた。
◇
会合の結果、給料は一月末日の支給分から《三倍》に増額される事が決まった。
僕が父さんに渡したのが《大金貨》だったので、両替を頼まれるなんて事もあった。
だが、村人の給料が三倍になったからと言って、街に出かけて贅沢できる訳ではなかった。
一番の働き手の大人の男性でも、今まで《三万マネー》しか貰ってなかったのだ。
それでも、主婦や成人前の子供や年寄りも、仕事に就いていればそれに見合った給料が支払われたので、家族合わせればなんとかやっていけた。
給料増額に伴って、二月から村で採れた農産物や狩りで獲れた肉は、スーパーで《三倍》の価格に引き上げられた。
その代わり、高額商品の隣街で仕入れた物は据え置きの値段で、今までより買い易くなった。
そして、村人の生活を楽にする為、僕の提供した魔道具の貸し出しも行われた。
「スーパーで、魔道具の貸し出しをするの? でも、お高いんでしょ?」
「えっ、どれでも一年間千マネーですって! そんなに安いの!」
「本当は目玉が飛び出るくらい高いけど、ニコル君が安くしてくれたんですって!」
「ニコル君って、本当太っ腹なイケメンよね」
魔道具は、照明器具・水用蛇口・お湯用蛇口・簡易シャワー・着火具・一口コンロ・冷蔵庫・洗濯機・暖房器具・扇風機といろいろ揃えた。
魔道具の貸し出しが落ち着いた頃、僕の仕入れた商品の販売も少しずつ始まった。
「きゃー! 何この下着、凄く可愛い。これも、ニコル君が仕入れたの? でも、ちょっとお高いわ」
「何ですって! 『よその街の物だから、しょうがない。その為に、給料を三倍に上げた』そう言いたいのね」
「それじゃ、文句は言えないわね。上下一組、この値段で買うわ!」
仕入れた商品は、洋服・生地・糸・下着・牛乳・たまご・栗・松茸・まいたけ・エリンギ・椎茸・落花生・薩摩芋・里芋・トマト・生姜・蓮根・梨・柿・ワイン・エール等がある。
これらの売値は、うちの家族が検討して、僕に赤字が出ないようにしてくれた。
基本、隣街で仕入れてる物と、同じような価格設定の仕方だ。
それと仕入れた材料を使って、モンブランケーキ・ピーナッツバター・トマトケチャップを作って販売してみた。
すると、これらは直ぐに人気商品になってしまった。
モンブランケーキは材料費が結構掛かるので、数量限定でちょっとお高目にしてある。
そして、仕入れた物の中で、《玄米》だけは売らずにいた。
村ではパンが主食で、小麦粉が安く手に入るのだ。
『そのうち、少しずつ普及させようかな』なんて、思っている。
そして、僕が作ったり育てた日用品や食品の販売も、順次行った。
石鹸・シャンプー・リンス・歯ブラシ・歯磨き粉・食器洗剤・洗濯洗剤・ボックスティッシュ・トイレットペーパー・食器類・爪楊枝・ノート・鉛筆・塩・砂糖・唐辛子・バナナ・パイナップル・農具・鏡・家具と結構揃っている。
この中には、既に隣街で仕入れた商品だと言って、売られている物もあった。
これらはどれも、いずれ行商で売ろうと思っていた商品だ。
「最近、村が充実してるわね」
「これも、ニコル君のお陰よ」
「ニコル君は、神様みたいなイケメンよね」
「本当に、そうね」
それを偶然聞いた僕は、『人を神様扱いしないでほしい』と、呟いていた。




