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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第五章 エシャット村発展編
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第七話 ニコルの引越し

家が完成すると、翌日の朝スーパーの開店前に引越しをする事にした。


「母さん。その風呂敷は、何?」


母さんが風呂敷を担いで、ニコニコしながら僕に付いて来ようとした。


「これは、母さんのお着替えよ」


「遊びに来るだけなんだから、着替えなんていらないよね」


「ニコルちゃん。母さんも、一緒にお引越しするの」


「母さーん、勘弁してよー!」


『昨日帰る時、母さんニコニコしてたから、怪しいと思ったんだよね』と、心の声。



「母さん、何やってるの?」


そこに、エレナ姉さんがやって来た。


「エレナ姉さん。母さんが、僕の家に引っ越すって言うんだ。止めてよ」


「母さん、駄目でしょ。父さんは、どうするの?」


「母さんは、ニコルちゃんがいないと駄目なの。お父さんは、みんなに任せるわ」


「何、言ってるの。お父さん、泣いちゃうわよ」


「うえーん! だって、ニコルちゃんがいないと、母さん寂しいのー!」」


「母さん。もういい加減、《ニコル離れ》しないと駄目よ!」


「うえーん!」



「ニコル、どうしたんだ?」


そこに、ジーク兄さんとルチアナ義姉さんがやって来た。


「母さんが、僕と一緒に引っ越すって言うんだ」


「母さん、何言ってんだよ。母さんの家は、こっちだろ」


「お義母さん。ニコル君、困ってるわ。諦めましょ」



「おいおい、みんな集まって何してんだ。って、母さん泣いてるじゃないか!」


そこに、父さんもやって来た。


「母さんが、我がまま言ってるのを止めてるんだ」


「我がまま? 何て言ってるんだ?」


「ニコルの家に、引っ越すんだとさ」


「母さん! それは、本当なのか? 俺は、どうなるんだ?」


「だって、ニコルちゃんのお世話をする人が、いないじゃない」


「俺の世話は、してくれないのか?」


「エレナとルチアナちゃんに、任せるわ」


「そっ、そんな。俺は、母さんがいないと駄目なんだ。思い直してくれ!」


その後もしばらくこのやり取りは続き、僕が『風呂敷を置いて来ないと、出禁にするよ』と、言った言葉が決め手となり、騒ぎは収まった。



数日後、図書室を開放した。


図書室の本棚には、絵本・文字の教本・算数・歴史・農業・土木・建築・鍛冶・料理、魔法・錬金術等の書物がずらりと並んでいる。

これらは《複製》した物で、同じ物が《亜空間収納》にもあった。


「ニコル、遊びに来たぜ」


「遊びじゃなくて、勉強だろ!」


「そうだったな。でもよ、俺字が読めないんだよな」


「だから、勉強するんだろ!」



「ニーニー、これなにー?」


ニーニーは、『ニコル、お兄ちゃん』の略である。

この子は、幼くて言えないのだ。


「これは、本だよ。そうだ、絵本を読んであげるよ」


僕は子供達を集めて、絵本を読み聞かせた。



それから、一週間が経った。


「にーにー、おはよー」


「ニコルおにーちゃん、えほんよんでー」


「よんでくだちゃい」


子供達は、字が読めないので結局こうなる。

毎日、僕にねだりに来る。


こうなる事は覚悟していたんだが、このまま母さんに引き継いだら負担が大きすぎる。

軌道に乗るまで、母さんに引き継ぐのは、待ったほうがいいだろう。


「分かった分かった。でも、自分で読めるように、字の勉強をするんだぞ」


「「「「「はーい!」」」」」


子供達は元気良く返事をするが、勉強をする気はあるのだろうか?

ずっと読み聞かせするのは、結構大変なのだ。


何にせよ、まずは文字の読み書きに、興味を持って貰わないといけなかった。



「お前達年長組みは、こっちの問題集をやっとけ!」


「「「「「はーい!」」」」」


「ニコル先生、良い点取ったらご褒美ちょうだい!」


「分かった、考えとくよ」


「「「「「やったー!」」」」」



《別の日》


「算数ができないと、商売はできないぞ。できのいいやつは、行商しに街に連れて行ってやる。手伝った分、小遣いもやるぞ」


「僕、頑張るよ!」


「私もー!」



《また、別の日》


「剣が使えて強いやつは、ダンジョンに連れて行ってやる。魔法の素質があるやつも、連れてくぞ」


「ニコル。剣の相手してくれよ!」


「ニコルちゃん。私に魔法教えて!」



《またまた、別の日》


「ニコルちゃん、大丈夫? 母さんも手伝うわよ」


「そお? それじゃ、手の空いてる時でいいから、来てくれないかな?」


「分かったわ」


僕が母さんを呼ぶ前に、心配して来てくれるようになった。


僕は家を建ててから、同年代から下の子供達に、いろいろと教えるようになった。

子供達が勉強したりいろいろ経験して、農業や狩り以外の仕事に就いて貰いたいと思っている。


それが原因で、狭い村を出て行くかもしれないけど、それはその時に考える事にした。

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