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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第五章 エシャット村発展編
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第六話 ニコル、家を建てる

村人の給料を上げて仕入れた商品を販売するには、まだ時間が掛かりそうだった。


そんな訳で、商品の半分を魔法袋に入れて父さんに預けて、売値の設定と販売も全て任せてしまった。

僕は売上金から、仕入れ額+αを貰うという事だけ決めた。


魔道具の貸し出しは、僕の意向で一年間一個千マネーにして貰った。

その内スーパーの経費は、半額の五百マネーになった。


そして、賃料を安くする代わり、魔石の魔力が切れたら魔石を購入して貰うようにした。


魔石は購入しやすく、一番価格の安いGランク(-)という物にしてある。

《検索ツール》で調べると、ダンジョンの買取り価格が千マネーだったので、それに店の利益を幾分乗せる事になっている。


魔石の魔力は、魔道具の種類や使用頻度による違いはあるけど、二ヶ月から一年は持つはずだ。


ちなみに、魔道具の仕様や能力は、市販品と同等にしてある。



商品の販売や貸し出し業務を父さんに任せた事で、僕は家を建てる時間ができた。


僕が行商人になる前の数年間は、主に土木と建築の作業をしていた。


その時に錬金術を使って、道路や雨水用の側溝や家庭用排水設備を整備し、住居を建てたりもした。

村を改善するには、『僕の能力の全てを見せない』という訳には、いかなかったのだ。


なので、自分の家を建てる間に、村の人に多少能力を見られても問題無かった。


「さて、どんな家を建てるかな?」


地球のハウスメーカーの設計図を参考に《錬金術》で作ったり、実家を《複製》してしまえば簡単に家を建てられたが、そこまでの能力を村の人達に見せられないので、《錬金術》を使いながらも一から段階を踏んで建てる事にした。


「まずは、間取りを決めなくちゃな」


一階・・・図書室兼教室、洗面所、トイレ、厩舎、車庫兼倉庫

二階・・・リビング、ダイニングキッチン、風呂、脱衣所、物置、洗面所、トイレ

三階・・・寝室×3、書斎、物置、洗面所、トイレ

屋上・・・洗濯物干し台


「まあ、こんなものかな。一階の間取りが違うけど、実家と似ているな」


この後寸法の入った設計図面を書いたが、実家を建てた時の図面があったので、それほど時間は掛からなかった。



数日後、建築資材を揃え建築作業に取り掛かった。


「よし、やるぞ!」


最初に岩や石ころを建築現場に山積みにし、《錬金術》を使って一気に基礎と外壁を石造り調で積み上げた。

勿論、ちょっとやそっとでは崩れない強度にしてある。


「こんなもんかな」


こんな感じなら一日でできちゃいそうだが、ここからは通常の建築の工程を想定して、丁寧に少しずつ作る予定でいた。



大雑把に説明すると、次のような工程になる。


・外壁の内部に、木材を使って屋上までの柱と梁を組む。


・屋上部分を石材を使って、《錬金術》で塞ぐ。

 一緒に、屋上の階段部屋の建築も行う。


・一階から順番に階段や間仕切り、天井や床を木材で組む。

 床を張り終わる前に、事前に排水設備は整えておく。


・扉や窓を取り付け、間仕切りの壁を綺麗に仕上げる。


・キッチン・お風呂・トイレ・洗面台・換気扇・冷蔵庫・照明等の魔道具と家具の設置。


これらの工程を経て、一ヶ月を掛けてようやく家ができあがった。


その間に、ダニエル商会には商品を卸しに行っているので、ご心配無く。



「やっとできた! こんなに、拘るつもりは無かったのにね」


「ニコルちゃん、お家が完成したのね。おめでとう」


僕の後ろには、いつの間にか母さんがいた。


「ありがとう。母さん、家を案内するよ」


家を建てる事は、結局事後報告になってしまった。

気付かれた時は泣かれてしまったが、『いつでも遊びに来ていいよ』と言って宥めた。


「うん、凄く楽しみ」


母さんを一階に案内して、村の人に図書室と教室として開放する事を伝えた。

そして、『定期的に、子供達に勉強会を開いて欲しい』と頼んだ。


「母さんが、先生をするの?」


「うん。この村で一番教養があるのは、母さんだと思うんだ。一週間に一回位、できないかな?」


母さんは隣街の出身で、学校にも通っていた。

家族も、母さんから勉強を教わっている。


「母さん。責任感じちゃうわ」


「そんなに、重く捉えなくていいよ。授業の形になるまで、僕も一緒に教えるよ」


「そうね。ニコルちゃんが協力してくれるなら、母さん頑張ってみるわ!」


「やったー! 母さん、ありがとう」


「いいのよ、ニコルちゃんの為だもの。それにしても、この広い家で一人じゃ寂しくない?」


「シロンとシャルロッテがいるから、大丈夫だよ」


「母さんも、こっちに住んじゃおうかしら?」


「母さん、勘弁してよ!」


「うふっ」


母さんの事だから、本当に住み着きそうだった。


家を一通り見終わると、母さんは『夕飯の仕度をしなくちゃ』と言って、ニコニコしながら帰って行った。

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