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第十話 村の改善と嘘の宝箱

2020/09/06 一部内容の修正をしました。

僕と父さんはどうやって僕の能力を知られずに、村を改善するか話し合った。


「今ある畑で収穫量が増えれば、村人に配給する量が増えるよね」


「ああ、そうだな」


「そうすると、やっぱり栄養のある土作りだね。僕の錬金術だけでも良くできるけど・・・」


「どうした、ニコル?」


「うん。村の人達にも手伝ってもらって、何をして収穫量が増えたか分かって欲しいんだ」


「それはかまわないが、どうするんだ?」


「ちょっと面倒かもしれないけど、山で腐葉土を集めて収穫後の畑に撒くんだ。その後、僕がこっそり錬金術で更に改良する」


「でも、全部の畑の腐葉土を集めるのは大変だぞ」


「それは最初、僕が集めるよ。この間作った魔法袋に詰めれば、運搬は楽だし。その代わり、魔法袋の存在を村人に打ち明ける必要があるけど」


「魔法袋か。あれは便利だが、災いの元にならなければいいが」


「でも、魔法袋の存在は村の発展の為に隠せないよ。時間経過の無い魔法袋なら肉を保存したり、収穫した野菜を大量に保存したり、街に野菜を売りに行ったりできる。領主様に納める小麦の運搬も、凄く楽になるよ」


「そうだな。いろいろと使い道がある分、隠すのは難しいな。だけど、どうやって入手したか聞かれるだろう?」


「そうなんだよね。村人が《魔法袋の価値》をどこまで知ってるか分からないけど、買ったとも僕が作ったとも言えないよね。いっその事、山で《宝箱》を見付けて、中から出てきたという事にする?」


「おいおい、こんな僻地に誰が隠すんだ?」


「そうだけど、他にいい案はある?」


「・・・」


「無さそうだね。取り合えず、準備だけしておくよ。いい案が思いついたら、変更すればいいし」


「そうだな、頼んだぞ。取り敢えず腐葉土の事は、魔法袋の件を何とかしてからにしよう」


「うん」


「それでニコル、収入を増やすのに他に何か案はあるか?」


父さんは自分で考えず、僕に聞いてきた。まあ、ここはスルーしよう。


「んーとね、父さん。村で作って無くてもいいんだけど、街で高額で売ってる農作物って何かな?」


「そうだな。たまにメロンという物が、高値で売っていたな。すごく甘い臭いがして、涎が出た記憶がある」


「メロンか。いいね」


「ニコル、メロンを知ってるのか?」


「うっ、うん。神様に授かった能力で、分かるんだ」


「そうか、凄いな」


「うん」


僕は前世の記憶でメロンを知っているのだが、《転生者》という事は誰にも言ってなかった。


「待てよ、ニコル。メロンより、高い物があったぞ」


「何? 父さん!」


「胡椒だ。黒胡椒の実。あれは店の奥の塩の横にあったが、少ない量で塩の何倍もの値がした。塩だって、必要最低限しか買えない高額だというのにだ」


「黒胡椒、いいかもしれないね。それに塩か」


塩なら海に行けば少ない魔力で大量に作れそうだけど、五歳の僕には遠くて行けない。


たとえ僕が《転移魔法》を使えても、一度行った場所にしか行けなかった。

これは、異世界物のお決まりなのだ。


「ニコルは、黒胡椒の事も知ってるのか?」


「うん。だからって、僕の事を変に思わないでね」


「大丈夫だ。父さんは、何だって受け入れるぞ」


「ありがとう父さん。それじゃ、僕は黒胡椒の実を何とかするよ。そうすれば、畑で育てて収入が増えるしね」


「黒胡椒の実も、作れるのか?」


「多分、大丈夫」


「そうか。それじゃ、頼むぞ!」


「うん。他にもいろんな日用品を用意できるけど、黒胡椒で収入を得てからの方が良さそうだね」


「そうだな。この間ニコルが置いた農具は誤魔化したが、収入が無いのにいろいろ増えたら、誤魔化しきれんからな」


能力をいつまで隠しきれるか分からないけど、こんな感じで僕と父さんで、村の改善を進めて行く事になった。


僕の《異世界のんびり生活》の為に。

第一章 幼少期編 は終わりです。

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