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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第四章 行商仕入れ旅編
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第十七話 影に隠れた英雄

崖崩れが起きて騒ぎが収まった頃、《ノースブルム大峡谷の砦》ではこんな会話がされていた。


「先程の崖崩れの原因は、エステリア兵の仕業だと!」


「さようでございます。《ノーステリア総司令官》」


この国の総司令官とは軍で最高位の名称であり、その役職は《ノーステリア大公爵》が担っていた。

領地から二万の軍と傭兵を率いて、昨日到着したばかりだ。


「その情報は、どこからだ」


「十人のガーランド兵が捕縛された状態で、例のトンネル近くに放置されていました。『崖崩れの犯人』と書置きがあり、その者達に口を割らせました」


「書置き? 軍の者が、捕らえたのではないのか?」


「分かりません。捕らえたガーランド兵からの情報ですと、《仮面の男》と申しておりました」


「仮面の男? そやつの正体は、分からぬのか?」


「はい。申し訳ありません」


「分かった。どちらにせよ、このような隙を突かれるとは失態だな。また、同じ手を使ってくるやもしれん。見張りを立てておくのだ」


「はっ! 申し訳ありません。既に準備を進めております」



「それで、ガーランド帝国軍に、未だ動きは無いのだな」


「はい。崖崩れの混乱で、一気に攻めて来るものと思ったのですが、今は小競り合い程度です」


実は、ガーランド帝国軍が予定していた岩山の爆破は、明朝のはずだった。

ガーランド帝国軍は、エステリア王国軍が爆破で混乱している隙に、大規模な戦闘を企てていた。


しかしガーランド帝国軍は、作戦失敗の赤い狼煙と、早められた爆破を防がれた事を確認していた。

ガーランド帝国軍は打つ手がなくなり、最早多くの犠牲を覚悟で、正面から壁を越えて突破するしかなかった。



「砦と街に《防御壁》を張り、落石からの危機を救った《英雄》の方は分かったのか?」


「申し訳ありません。未だ、分かっておりません」


「この件も、軍の者ではないのか?」


「はい。これ程の規模の《防御壁》は、《集団魔法》でも不可能です。砦の壁のように大規模装置が無ければ、この規模は張れません」


「もしや、ガーランド兵を捕らえた、仮面の男の仕業か?」


「はい。私めも、そのように考えておりました」


「トンネルの侵攻の危機を救った《英雄》も、見つかってはおらんのだろう?」


「はい」


「三つの案件、同じ人物の仕業か?」


「『姿を見せない』という共通点から、その可能性が考えられます」


「この地に、アレン殿が来ているのではないのか? 私は見ていないが、強力な《光玉》を数時間にわたって放ったと言うではないか」


「はい。ですが、《光の英雄》アレン殿の姿を見た物は、おりませんでした」


「今回の戦も《影に隠れた英雄》のお陰で、被害が少なくて済んでいる。この戦が終わったら、探し出して勲章をやらねばならんな」


「そうでございますね」


しかし、その《英雄》は勲章を受け取る機会は無かった。



僕は爆弾魔を置いて来た後、二人(二匹)を迎えに行き、今は馬車に揺られている。


「ガーランド帝国って、手の込んだ作戦を仕掛けてくるけど、大丈夫かな?」


「ご主人、そんなに心配なら戻るニャ」


「ヒヒーン!」


僕は結局、国の明暗を見守るよりも、自分の都合を選んで帰路についた。


今はもう、十月後半である。

このまま長期戦になれば、その内冬になってしまう。


その土地の秋の味覚を仕入れるのに、長くは待てなかったのだ。

帰り道は遠回りになるけど、新たな道を通って街や村に寄る事にした。


「だけど、一日中何もしないで見張ってるのも大変なんだよね。戦場にはさっき言った通り、一日に何回か見に行くよ」


「しょうがない、分かったニャ。でも、ピンチにはヒーローが必要ニャ!」


「ヒヒーン!」


そんな会話をしながら、僕達は馬車を走らせた。



旅の途中、《転移魔法》で戦場を見に行った。


ガーランド帝国軍は、砦の壁の前に可動式の大きな塔を設置し攻めていた。

しかし、攻めきれずに何度も後退を余儀なくされていた。


「決着は、つきそうもないな。面倒だから、早く終わってくれないかな」


無責任だが、思わずそんな言葉が漏れてしまった。


村に帰ったらする事があるので、それまでにはと思っていた。



まず、仕入れた物を実家のスーパーで、安く売り出す。

そして、今まで《亜空間収納》にしまっておいた《生活用魔道具》を安く貸し出し、《農業用魔道具》を村の共有物として無料で貸し出す予定だ。


当然どうやって手に入れたか聞かれるだろうけど、『行商で大儲けして、ノーステリア大公爵領で手に入れた』と適当な事を言って誤魔化つもりでいる。

これらがあれば、生活や農業が飛躍的に楽になる。


そして、パン工房や裁縫工房や鍛冶工房など、街にあるようなものを徐々に増やしていこうと思う。


僕はこの旅が終わってからが、《エシャット村の本当の発展》が始まると思っていた。

お読みいただき、ありがとうございます。

《第四章》は、ここまでです。


作者には戦争やバトルを描く技量も知識も無いので、盛り上げられず済みません。


これまで毎日投稿を続けてきましたが、少し休ませていただきます。

次は土曜日か日曜日に、投稿しようと思います。

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